師走は北日本を中心とした冬型の気圧配置
冬型の気圧配置
令和2年(2020年)12月1日は、北日本を中心とした西高東低の冬型の気圧配置となりました(図1)。
北日本の日本海側と北陸では、北西の季節風で南下した寒気が相対的に暖かい日本海で水蒸気の補給を受けて発生した対流雲が流れ込み、雨や雪の天気の師走の入りとなりました。
一方、北日本の太平洋側から東日本の太平洋側、および西日本の太平洋側では対流雲が脊梁山脈にさえぎられて晴れました。
また、西日本の日本海側も、西高東低の気圧配置が北日本中心であったために大陸からの高気圧におおわれて晴れの所が多くなりましたが、逆に、大陸からの高気圧の南に位置した沖縄では北東の風が吹いて黒潮上で発生した雲が流入して雲が多い天気となりました。
日本列島は、日本海側と太平洋側、そして沖縄の3種類の天気に大別され、非常に寒く感じられる師走入りとなりました。
11月中旬には気温を観測している920地点の約3割で最低気温が0度未満の冬日となりましたが、日中は気温が上がり、最高気温が0度以上となったことから真冬日にはなりませんでした。
しかし、11月後半以降は、日中でも最高気温が0度以上とならない真冬日が増えています。
そして、師走の入りの12月1日は87地点(約9パーセント)が真冬日です(図2)。
加えて、11月中旬後半には、ほぼ全国的に気温が上がり、19日には最高気温が25度以上の夏日が、気温を観測している920地点のうち253地点(全体の約28パーセント)に達していますので、11月下旬から師走の入りは、よけいに寒く感じます(図2)。
12月前半の気象
日本列島に南下する寒気の目安として、上空約5500メートルの気温が使われます。
この気温が氷点下30度以下なら強い寒気、氷点下36度以下なら非常に強い寒気です。
12月前半の上空約5500メートルで氷点下36度以下の非常に強い寒気は周期的に北海道を通過しますが、氷点下30度以下の強い寒気は北海道から東北北部に南下したままです(図3)。
大きく見れば、師走入りの日に見られたような、日本海側と太平洋側、そして沖縄の3種類に大別された天気はしばらく続きそうです。
ただ、北日本を中心とした冬型の気圧配置で、北からの寒気の南下も東北北部までの予想です。
このため、関東地方では関東の南海上で発生した雲が流入するため雲が多く、教科書にあるように単純に「太平洋側は晴れ」とはいえません。
ウェザーマップが発表している東京の16日先までの天気予報によると、お日様マーク(晴れ)だけでなく、白雲マーク(雨の心配がない曇り)が多く、黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)もある予報です(図4)。
ただ、この予報は、降水の有無の信頼度は5段階で一番低いEや、二番目に低いDが多く含まれる予報で、信頼度はそれほど高くありません。
とはいえ、東京の最高気温は、ほぼ平年並みの寒さで12月に入ったものの、週末以降は平年より高い日が続きそうです。
しかし、もはや11月の暖かさには及びません(図5)。
一方、最低気温は平年より高く12月に入りましたが、中旬以降は平年より気温が低くなり、真冬並みの1度となる予想です。
雨が多い12月前半の新潟と那覇
新潟の16日先までの天気予報を見ると、全ての日に黒雲マークがあります。
そして、傘マークの日が多くあります(図6)。
寒気の南下が東北北部までであるため、冬型の気圧配置といっても、雪ではなく雨として降るからです。
雪ダルマのマーク(雪)が現れるのは再来週以降です。
新潟など、日本海側の地方の多くは、雨が多い12月前半になりそうです。
また、那覇の16日先までの天気予報を見ると、ほとんどの日は黒雲マークか傘マークです(図7)。
特に、来週は傘マークの日が続きますので、沖縄も雨が多い12月前半で、雨に注意が必要となる見込みです。
ただ、12月3日を除いて最高気温は25度にとどきませんので、「師走入りとともに沖縄の夏が終わった」といえるでしょう。
タイトル画像の出典:アフロ。
図1の出典:ウェザーマップ資料に著者加筆。
図2の出典:ウェザーマップ資料をもとに著者作成。
図3、図4、図6、図7の出典:ウェザーマップ提供。
図5の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。