Yahoo!ニュース

井岡一翔「まだ目指すべき場所がある」4階級制覇の先にある新たな挑戦とは

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
全てスタッフ撮影(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

今年の大晦日にボクシングトリプル世界戦が行われ、WBO世界スーパーフライ級チャンピオンの井岡一翔 (30=Reason大貴)が、指名挑戦者1位のジェイビエール・シントロン(プエルトリコ)を迎え初防衛戦を行う。

試合前の恒例行事となる公開練習が26日に行われ、世界戦に向けての意気込みを語った。

8度目の大晦日

試合まで5日ほどとなったが、井岡はコンディションも良く落ち着いた様子で会見に望んだ。

大晦日の試合は、2011年の年末から今回で8度目。ボクシングといえば年末というイメージがあるが、その先駆けとなった存在だろう。

井岡は「頭のどこかに大晦日に試合をする意識がある。一年の最後を締めくくる任務を負うため、今年最後を盛り上げる」と意気込みを語った。

今回の試合に向けては、ラスベガスで2ヶ月の合宿を行い、試合に向けてコンディションを整えてきた。

合宿での主なトレーニングメニューは、心肺機能と下半身強化を目的に山を往復するトレーニングと、長い時間の走り込みだ。

ボクシングだけに集中できたようで、「ボクシング漬けの生活をおくれた。慣れない環境だと気持ちを引きしめることができる」と話していた。

画像

サウスポー対策

今回は久しぶりのサウスポーの相手(6年7ヶ月ぶり)となるが、「苦手な感覚はない。できることはやってきた」と話している。

試合に向けてのスパーリングは週に3回ほど行ってきて、パートナーには、五輪2大会メダリストのロベイシ・ラミレス(キューバ)を中心に、

トップアマチュアボクサーを含め、120ラウンドに及ぶスパーリングを重ねてきた。

特にラミレスとのスパーリングは良い経験になったようで「技術の高いサウスポーと拳を交えたのは、自分のボクシング人生のいい経験になった」と話した。

今回の相手のシントロンは、アマチュア時代にプエルトリコ代表として、オリンピック2大会連続出場している。

そのため仮想シントロンとして、いい対策ができたようだ。

井岡の大学の先輩にあたり、トレーナーをしている佐々木修平氏は、

「どういう形になっても対応できるように練習してきた。シンプルにプレッシャーをかけていき、心を折るような試合にもっていく。

KOは狙ってはいないが、ハマればKOするだろう」と話していた。

ラスベガスで寝食を共にした佐々木トレーナーも「完璧な状態」と太鼓判を押した。

画像

激戦のスーパーフライ級

今回の試合に向けて、「2年8ヶ月ぶりに王者としてリングに上がる。チャンピオンだからこそ続くものがある。大晦日にできるのはアピールになるし、次に繋がる」と話した。

また「この階級には、充実したいい選手が揃っている。世界的に名のある選手と試合をしたい」とビッグネームとの対戦を望んだ。

スーパーフライ級は、軽量級でもタレントが揃う注目の階級で、以下の王者が君臨している。

WBA カリッド・ヤファイ(イギリス)

WBC ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)

IBF ヘルウィン・アンカハス(フィリピン)

それに加え、先日行われたトリプル世界戦の前座では、元パウンド・フォー・パウンド(全階級を通じてナンバーワン)の、

ローマン・ゴンザレス(ニカラグア)が、怪我からの復帰戦を勝利で飾った。

試合後のインタビューでは「井岡、エストラーダ、ヤファイに挑みたい」と井岡も標的となっている。

また同じ大晦日に試合をする、3階級王者の田中恒成(24=畑中)も以前行ったインタビューで、

「井岡選手がどう思うかは別として、俺は、やりたいなという気持ちはあります」と話していた。

知名度と実績がある井岡は、この階級の選手から熱いラブコールを受けている。

井岡も「一戦一戦が重たい試合。これからやっていく自信もあるし、まだ見たい景色がある。そのためにも次の初防衛戦をクリアする」

と、今回の試合に向けてのモチベーションも高い。

この試合の先に、統一戦やビッグネームとの試合など、井岡が待ち望む試合に繋がっていく。そこにたどり着くためにも、負けられない試合だ。

今回の試合をクリアして、ぜひ次のステージへ進んで欲しい。

今年の締めくくりとなる、井岡の試合に期待したい。試合は12月31日18:00からTBS系列で生放送される。

画像
元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

木村悠の最近の記事