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集中治療室でファイトするWBAスーパーミドル級指名挑戦者

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Esther Lin/SHOWTIME

 16戦全勝11KOの戦績を誇り、WBAスーパーミドル級1位として先週末、同タイトルに挑んだカザフスタン人ファイター、アイドス・イェルボスヌイ(30)。最終ラウンドにKO負けを喰らい控室までは自分の足で移動したが、その後昏睡状態に陥り、集中治療室にいる。

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https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20221107-00322840

 第12ラウンドに2度ダウンを喫したイェルボスヌイのダメ―ジは確かに深刻だった。

 一度目のダウンの後、何とかファイトを続けたかったイェルボスヌイは、チャンピオンのデビッド・モレルにしがみついて時間を稼ぐ。レフェリーはその行為に減点を与えた。

 ノックアウトシーンが訪れたのは、その直後だった。

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 一人のジャッジは、6、7回を挑戦者有利と採点したが、他は全てチャンピオン。残る2名はフルマークでチャンピオンを支持していた。

 イェルボスヌイのアシスタントトレーナーを務めたエマニュエル・サボイは11ラウンドが終了した時点で、試合終了を望んでいたとESPNに語った。

 「タオルを投げ込もうかと手にしていました。でも、アイドス本人は戦いたがっていましたし、チーフセコンドのカナット・オラクバイフも、続行と判断したのです」(サボイ)

 どんな世界でも、アシスタントはチーフの決定に逆らえないことがほとんどであろう。サボイの忸怩たる思いが伝わってくる。

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 イェルボスヌイと契約するスーエイマン・プロモーションは、「Boxing Scene」にコメントを求められ、「彼は危篤状態じゃないし、生命が脅かされている状況でもない。健康に戻るであろう。でも、最低2週間は経過観察が必要だ」と述べた。

 その言葉を信じたい。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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