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WBAスーパーミドル級レギュラー王者が最終ラウンドKOで防衛

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Esther Lin/SHOWTIME

 最終ラウンド残り45秒。サウスポーのチャンピオンが放ったワンツーが挑戦者を捉える。ロープに飛ばされたチャレンジャーに向かって、WBAスーパーミドル級レギュラー王者は更に左ストレートを浴びせた。

 グラつく相手にフォローの右フックが当たると、挑戦者はキャンバスに沈む。ここでレフェリーが試合終了を告げた。

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 気力を振り絞って起き上がった挑戦者だったが、足元が覚束ずよろける。すると勝者は肩を貸し、抱きかかえながら彼のコーナーに移動させた。 

 敗者を労わる王者の姿は、人間味を表していた。24歳のチャンプは、自身の戦績を8戦全勝7KOとした。

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 現地時間11月5日、ミネソタ州ミネアポリスで行われたWBAスーパーミドル級レギュラータイトルマッチは、12ラウンド2分34秒で王者デビッド・モレルがKO勝ちを収め、4度目のタイトル防衛に成功した。

 16戦全勝11KOと無敗を誇った指名挑戦者、アイドス・イェルボスヌイだったが、11回までの採点も99-110、99-110、101-108とリングを支配され、その差の大きさを示すこととなった。また、試合後は会場にほど近い病院に運ばれた。

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 快勝後、モレルは語った。

 「ミネソタの会場で支えてくれた皆さん、どうもありがとう。家族、そしてチームのメンバー全員にもお礼を言うよ。記者会見で、この試合は自分のものだと言ったよな。アイドスはダメージを負っていたし、まぁ、ノックアウトの時が訪れたって感じかな。8ラウンドで終わらせるつもりだったが、KOはKOだよね。

 スーパーミドル級の選手全員を尊敬しているが、怖いと感じる選手は見当たらない。彼らは俺の存在を意識しているだろう。デビッド・ベナビデスと戦いたいが、拘ってもいない。誰とだってやるぜ。次を見ているからさ」

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 キューバから亡命し、プロとして順調に歩を進めるモレルだが、戦いぶり以上に敗者を慮る姿が印象に残った。身長185cm、リーチ199cmの恵まれた体格にメンタルも強そうだ。どこまで上っていけるだろうか。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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