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台風13号 予想が定まらないの意味

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
台風13号の進路予想図(8月3日午後3時現在,ウェザーマップ作画)

 3日午前、台風13号が発生した。今後、発達しながら北上し、来週半ばには日本列島に近づく可能性がある。猛暑をもたらしている太平洋高気圧の動向が台風の行き先を決める。

予報円の大きさは直径1900キロ

 台風13号は今後、海面水温の高い海域を北上するため、6日(月)には強い勢力となる見通しです。

 気になるのが予報円の大きさ。8日(水)の予報円は直径1900キロあり、予報円の大きさとしては最大です。進路が定まらないと言えば、そうなのだけれども、もう少し何とかならないものか、と思ってしまいます。前回の台風12号でも一時、予報円が九州から北海道まで覆いました。気象災害に敏感になっているときこそ、的確な予想が求められます。

 しかし、この時期は台風を動かす風「指向風」が弱く、わずかな気象状況の変化が台風の進路に影響します。台風をお盆に乗せた球に例えると、お盆をわずかに傾けるだけで、球は右に左に動きます。

台風を動かす風が弱いと、わずかな気象状況の変化が台風の動きに影響する(模式図,著者作成)
台風を動かす風が弱いと、わずかな気象状況の変化が台風の動きに影響する(模式図,著者作成)

 8月は台風を動かす風を的確に予想するのが難しい時期でもあるのです。

台風13号の行方 太平洋高気圧がカギ

 この夏の記録的な暑さは台風にも影響するでしょう。

 太平洋高気圧(亜熱帯高気圧)が北に偏って張り出し、冷たい空気の影響をほとんど受けない状況が続いています。さらに、台風は発生してから日本列島に近づくまで、高気圧の南側の風の弱い場所を進みます。

 こちらは上空約5千メートルのアンサンブル予想図です。5880と書かれた黒太線が太平洋高気圧の大きさ(張り出し)です。日本列島は図の中央にあります。

上空約5千メートルのアンサンブル予想図(上図は8月3日,下図は8月8日,著者作成)
上空約5千メートルのアンサンブル予想図(上図は8月3日,下図は8月8日,著者作成)

 太平洋高気圧は現在、中国北部から西・東日本までを覆っています。これが来週になると、日本の東側で高気圧が強まり、本州付近に張り出す予想です。台風は高気圧を横切ることができず、高気圧の縁に沿って移動します。

 高気圧が日本列島をすっぽりと覆うのか、それとも東西に分かれてしまうのか。台風13号の行方は太平洋高気圧が鍵を握っています。

【参考資料】

気象庁:平成30年 第13号に関する情報

気象庁ホームページ:過去の台風資料

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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