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「自分に足らない部分もいろいろ見つかった」王位戦七番勝負を制し防衛した藤井聡太王位(19)コメント

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

藤井聡太王位「(先手番で相掛かりを選択し、序盤27手目)▲8七歩(前例)は自然なんですけど▲7六歩と突いてみようかなと思ってました。(1日目、41手目▲7四歩は昼休をはさんで2時間1分の長考)7筋、8筋のあたりが、こちらの厚みになるか、あるいはキズになってしまうか、きわどい変化があるのかなと思っていたので。▲7四歩にすぐに(△6六角▲同歩の)角交換から△3三桂とかで動かれる手もあるので、考えていてもわからない変化が多い感じでした。▲7四歩に△4二玉と上がられたところで、本譜▲5八金としたんですけど、単に▲7七銀とかもっと強くいく必要があったのかなというふうに思ってました。ちょっと本譜、△4四角と上がられてみると、次に△3三桂があるので、少し損をしてしまったのかな、というふうに思ってました。△4四角と上がられてみるとやっぱり△3三桂を防ぐのが難しいので。ちょっと本譜、結果的に▲8八歩と受ける形になってしまったので、あまりうまくいってないのかな、という印象でした。(51手目)▲9七桂と跳ねて、△6六銀からの取り合いの変化でこちらの玉が寄らなければ、飛車を取るのが大きいのかな、というふうに考えていて、思いました。(本譜は銀得になって)駒得なので指せるかなとは思ったんですが、ただ▲9七桂と跳ねた形がキズなので。よさそうだとは思ったんですけど、あまり見通しが立っているわけではなかったです。(65手目)▲8二飛車と先手で打つ形になったので、そのあたりでけっこう、こちらに主張があるかなあ、というふうには思いました。(一局を振り返って)途中かなり長考した場面があったんですけど、そのあたりどう指すか、かなり難しくて。かなり長考したんですけど、少しわからなかったので。難しい将棋だったのかな、と思います。(4勝1敗で王位防衛、シリーズを振り返って)勝った将棋もけっこう苦しい場面が長い将棋が多かったので、内容的には押されていたのかな、というふうに思いますし。今回の番勝負でけっこう、自分に足らない部分もいろいろ見つかったかなと思うので、今後に活かしていけたらと思います」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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