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函館本線山線は「輸送密度1.2倍、売上1.3倍」に JR北、2023年度第3四半期の線区別収支を公開

鉄道乗蔵鉄道ライター
函館本線倶知安駅(筆者撮影)

 2024年4月23日、JR北海道は2023年度の4月から12月までの第3四半期の線区別収支状況を発表した。発表資料では、札幌圏の路線と北海道新幹線の営業損失は縮小した一方で、黄色線区全体の営業損失が拡大したことが明らかにされた。

 札幌圏や北海道新幹線の営業損失が縮小した要因については、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行されたことによる需要回復、さらにインバウンド需要の取り込みを含めた利用回復に取り組んだ結果とされた。一方で、黄色線区については5類移行やインバウンド需要の取り込みに加え、観光列車の運行による増収を図れたものの、線路の修繕費や新型車両の減価償却費が増加したことにより全体の営業損失が拡大したとされた。

 この中で、注目すべきポイントは、北海道庁が主導する北海道新幹線並行在来線対策協議会で、廃止の方針が決定された函館本線(山線)の長万部―小樽間について輸送密度が前年比約1.2倍、売上が約1.3倍に増加していた点だ。当区間のうち特に倶知安―小樽間では慢性的な混雑が発生しており、2024年の年明け以降は余市駅で乗客が乗り切れなくなる積み残しも発生。JR北海道では2月から日中の一部列車は2両編成から3両編成に増強するなどの対策を行っていた。

 こうした状況に対して、余市―小樽間の鉄道存続を訴える「余市駅を存続する会」は、「(山線の混雑は)第4四半期がピークなので、今後、どのくらいの数字が出るのか興味深い」と話す。並行在来線のバス転換協議は、沿線のバス会社が深刻化するドライバー不足から鉄道代替バスの引き受けに難色を示し、1年近く協議がストップしたままだ。

 しかし、これに対して北海道庁は、地元紙が報じたところによると、並行在来線のバス転換について「他のバス会社やタクシー会社にも協力を求める」という方針を示している。さらに倶知安町でも新幹線新駅の整備に支障することを理由に並行在来線の2025年での廃止を求めている。

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。

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