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6000個の荷物が行き場を失う ~ 東京駅のコインロッカー25日から4日間・全面使用禁止

中村智彦神戸国際大学経済学部教授
コインロッカー休止を知らせる貼り紙(筆者撮影)

・25日から28日の間、東京駅のロッカーが全面使用禁止に

 トランプ大統領の来日に合わせて、東京駅の警備体制が強化され、駅構内のコインロッカーが全面的に使用禁止になる。さらに、駅構内の手荷物預かり所「グランスタクローク」での手荷物預かりや宅配便の受付も、同様に25日から28日の間、休止される。

 25日から4日間、東京駅構内で手荷物を預けることは不可能になるので、この期間に旅行などを計画している人は注意が必要だ。特に、東京駅に到着後、東京駅で荷物を預けてから目的地に行く計画を立てている場合は、計画変更が必要だ。

 こうしたロッカーの全面使用禁止は、26日にはJR両国駅でも実施される予定となっている。

手荷物預かり所も閉鎖される(撮影筆者)
手荷物預かり所も閉鎖される(撮影筆者)

・実際には24日午後5時から

 24日の金曜日の夕方、東京駅では荷物をもって途方に暮れている人たちが何人もいた。「25日から使用禁止と聞いていたが、実際には24日の17時までしか使用できないと係員に言われた。得意先に営業に行くのに、出張の荷物を入れていたのをいったん取りにくるはめになった」と50歳代の男性会社員が言う。「テロ対策などで、こうした措置を取るのは理解するが、ならばもう少し新幹線の車内のアナウンスとか、立て看板を作るとか、係員を配置して説明をするとできないのだろうか。」と嘆く。

 実際、コインロッカーの一つ一つにはコピーした説明文が貼り付けられているが、東京駅に着くまでこうした措置を知らず、到着してから予定を変更しなくてはいけなくなったという人も多い。

・約6000個以上の荷物が行き場を失う

 東京駅のコインロッカーは約5600個、それ以外に手荷物預かり所が土日限定営業も合わせると4か所あり、これらの預かり可能荷物の個数約330個だ。単純計算しても、6000個以上の荷物が預け先を失うことになる。混乱が発生することは想像に難くない。

 近隣の駅のコインロッカーは使用できると言っても、東京駅を訪れ荷物を預けるのは、地方や海外から来た観光客など、東京の地理に明るくない人たちが大半である。こうした対策を取るのであれば、事前に新幹線など幹線の駅や車内に告知や注意を促すアナウンスなどを行うべきではないだろうか。

東京駅のすべてのコインロッカーが使えなくなる(撮影筆者)
東京駅のすべてのコインロッカーが使えなくなる(撮影筆者)

・自衛手段としては予定を変更するしかない

 「東京駅に着いたら、荷物を預けて、軽装でディズニーランドに直行。夜、東京駅に戻ってきて、荷物をピックアップして都内の宿泊先へと計画していたのに」と20歳代の関西地方の女性は困惑した感じで言う。観光だけではなく、ちょうど就職活動真っ盛りであり、地方から宿泊を伴って上京する学生たちは、面接会場に荷物を持ち込まねばならなくなる。

 いずれにしても、自衛手段は予定を変更して、早めに東京に着き、近隣の駅のコインロッカーに預けるか、宿泊先に早めに行って荷物を置いてくるなどする必要がある。

 「テロの危険性というのは理解しますけど、東京駅だけを4日間も規制する必要があるのでしょうか。なにかテロの予告みたいなのが入っているのじゃないかと、逆に不安になります。」中部地方から出張で訪れていた公務員は苦笑いする。

・影響が大きい規制は周知方法に工夫を

 東京駅は一日に45万人超が利用する巨大ターミナルだ。近年では、外国人観光客の利用も多い。そうした巨大ターミナル、それもロッカー数が5000を超すところで、実質4日半も手荷物預かりを全面停止することの影響は計り知れない。

 筆者は、何人かに話を聞いたが、その多くが「テロ対策であれば致し方ない」という意見だった。しかし、その周知の方法には、もう少し工夫があっても良いのではないかという批判が多いのも当然である。これだけ一般の観光客などに影響を及ぼす以上、東京駅に向かう新幹線車内でのアナウンスや各駅での掲出など広く告知することは重要だ。さらに仮に東京駅だけの警備強化であるのならば、駅構外や近隣の駅に臨時の荷物預かり所を配置するなども必要ではないだろうか。

 今後、オリンピックの開催も控え、こうした危機管理とそれによる問題の発生への対処、規制の周知方法などを関係機関には再度、検討してもらいたい。

神戸国際大学経済学部教授

1964年生。上智大学卒業後、タイ国際航空、PHP総合研究所を経て、大阪府立産業開発研究所国際調査室研究員として勤務。2000年に名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程を修了(学術博士号取得)。その後、日本福祉大学経済学部助教授を経て、神戸国際大学経済学部教授。関西大学商学部非常勤講師、愛知工科大学非常勤講師、総務省地域力創造アドバイザー、京都府の公設試の在り方検討委員会委員、東京都北区産業活性化ビジョン策定委員会委員、向日市ふるさと創生計画委員会委員長などの役職を務める。営業、総務、経理、海外駐在を経験、公務員時代に経済調査を担当。企業経営者や自治体へのアドバイス、プロジェクトの運営を担う。

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