Snapchat(スナチャ)の株価が1日で約27%下落、いったい何が起きたのか
10月22日(米国時間)、写真共有ソーシャルアプリ「Snapchat(スナップチャット)」を運営する米Snap Inc.の株価が1日で約27%下落したことが話題になっています。iOS 14.5で導入された「ATT」の影響に加え、世界的なサプライチェーンの混乱も拍車をかけているようです。
Snapは2017年にニューヨーク証券取引所に上場後、コロナ禍で大きく業績を伸ばし、2021年9月に株価は80ドルを超えました。しかし10月22日の終値は前日比26.59%安の55.14ドル。コロナ前に比べればまだ3倍程度の株価を維持しているとはいえ、わずか1日で企業価値の4分の1を失ったことになります。
いったい何が起きたのでしょうか。前日に発表した7-9月期決算では売上高が10.67億ドル(約1212億円)と、四半期ベースで初めて10億ドルを超えたものの、予想の11億ドルを下回りました。
なぜ予想に届かなかったのか、Snapが最初に挙げた理由はiOS 14.5で導入された「アプリトラッキングの透明性」(ATT)機能の影響です。iOSユーザーの多くは選択画面で「拒否」を選んでいるとされており、ユーザーを追跡できなくなることでiOSのアプリ広告収入に悪影響を与えることが懸念されていました。
Snapによれば6月から7月にかけてiOSのアップデートが進み、7-9月期にその影響が表れたとのこと。ATTには広告業界の常識を覆すほどのインパクトがあり、さらにアップルが提供する広告効果測定用のツールも期待外れだったとしています。
Snapは独自のソリューションを開発することで回避する方向性を打ち出しています。これはATTによる短期的な混乱に対処するだけでなく、パートナー企業がプライバシー重視の動きに適応することを長期的に支援するものになると位置付けています。
実際のところ、ATTでトラッキングを許可するかどうか決めているのはアップルではなくユーザーです。Snapのコメントからは、アップルの考え方にかかわらず、世の中のプライバシー重視の流れに乗っていくニュアンスを感じます。
サプライチェーンの混乱が拍車をかける
Snapは広告売上の悪化につながる懸念事項として、iOS以外の要因も挙げています。それがコロナ禍における世界的なサプライチェーンの混乱や人手不足の影響です。
これから1年でいちばんモノが売れるホリデーシーズンが到来するにもかかわらず、商品の在庫不足は深刻化しています。さらに人手不足により、モノがあっても捌けないという状況です。これでは広告を打っても意味がないということになり、広告売上に依存するアプリの会社も打撃を受けるというわけです。
Snapのアクティブユーザー数は順調に伸び続けており、初めて3億人を超えたというポジティブな数字もあります。しかしさまざまな要因を総合した10-12月期のガイダンスでは売上高予想を11.65〜12.05億ドルとしており、前年比で約30%の増加にとどまる成長鈍化を示唆しました。
Snap同様にATTの影響を受けることを予告してきたFacebookやTwitterといった企業も、10月22日には株価を5%前後下げています。来週はいよいよGAFA各社が決算発表を迎える中で、広告事業の動向が大きな注目を集めそうです。