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意外な奪三振マシーン、マエケン。奪三振率はメジャー全体で隠れ2位

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
24日のマーリンズ戦で、6回4安打1失点7奪三振と好投した前田健太(三尾圭撮影)

 二刀流で野球界の話題を独占するエンゼルスの大谷翔平が、昨季のワールド・チャンピオンのアストロズを相手にヒューストンで先発マウンドに上がった4月24日(日本時間25日)、ロサンゼルス・ドジャースの前田健太も本拠地のドジャー・スタジアムでのマーリンズ戦に先発した。

 

 初回を3者凡退に抑えた前田だが、2回は2本の安打で1死一、二塁のピンチを迎える。先制点を許したくない前田は気合いを入れ直して、ミゲル・ロハスを中直、ルイス・ブリンソンは空振り三振に仕留めて無失点で切り抜けるとガッツポーズを見せた。

2回のピンチを無失点で切り抜け、ガッツポーズをする前田健太(三尾圭撮影)
2回のピンチを無失点で切り抜け、ガッツポーズをする前田健太(三尾圭撮影)

 前田の気迫ある投球に応えるかのように、その裏の攻撃でドジャース打線は2本の2塁打で1点を上げ、前田に先制点をプレゼント。リードをもらった前田だが、3回表2死から「アウトコースを狙ったボールが甘く入った」と悔やんだがボールをJT・リアルミュートに右中間へ運ばれ同点に。

リアルミュートに同点のソロ本塁打を許して天を仰ぐ前田健太(三尾圭撮影)
リアルミュートに同点のソロ本塁打を許して天を仰ぐ前田健太(三尾圭撮影)

 

 その後は6回まで危なげない投球で、6回を投げてリアルミュートのソロ本塁打の1点のみに抑えて降板。6回を4被安打、1失点、7奪三振に抑え、今季4度目の先発で初となるクオリティースタート(6イニング以上を投げ、自責点3以下)を記録した。

 

 今季の前田はここまで20回1/3を投げて、31個の三振を奪っている。9イニング平均の奪三振率は13.7で、11.5の大谷をも上回っている。前田は規定投球回数に僅かに満たないが、もし規定投球回数を投げて同じ奪三振率を維持していればメジャー2位にランクインする。

 制球力も素晴らしく、31三振に対して与四球は6。三振/四球率は5.17で、これもナショナル・リーグで11位に値する数字だ。

メジャー隠れ2位となる驚異の奪三振率を誇るドジャースの前田健太(三尾圭撮影)
メジャー隠れ2位となる驚異の奪三振率を誇るドジャースの前田健太(三尾圭撮影)

 前田が驚異の奪三振率を誇る鍵はボールの回転数にあるので、24日に先発した前田と大谷の回転数を見てみよう。

 大谷はフォーシームを37球投げて、最速101.0マイル(161.6キロ)、平均でも98.0マイル(156.8キロ)とスピードで打者を威圧したのに対して、30球投げた前田は最速が93.9マイル(150.2キロ)、平均は92.1マイル(147.3キロ)と平凡だった。

 だが、回転数は大谷の最高が2369RPM(毎分の回転数)、平均は2189回転だったが、前田は最高2504、平均2365回転と大谷よりもキレのあるフォーシームを投げる。前田のフォーシームは球速が遅くても、打者の手元で伸びるので平均的な球速でも三振を奪える。

 また、前田のチェンジアップを11球投げたが、こちらは平均84.5マイル(135.2キロ)で、フォーシームよりも7.6マイル(12.2キロ)遅い。チェンジアップは1509回転と回転数を抑えている。回転数が少ないことで打者の手元で沈み、チェンジアップの効果をより高めている。

 前田には100マイルの豪速球も、机から落ちるようなフォークボールもないが、「すべての球種をうまく使いながら打ち取っていけた。試合前のプラン通り投げた結果」と本人が語るように頭脳的な投球で三振の山を築いている。

 

 

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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