「空自空上げ(くうじからあげ)」をご存じでしょうか？航空自衛隊の各基地の給食で提供されている鶏の唐揚げのことで、数年前からちょっと話題になっています。「揚げ」ではなく「上げ」と表記しているのは、航空自衛隊全体で “上を目指す” という想いをこめているからなのだそう。各基地それぞれに特色やこだわりがあるようで、航空自衛隊のウェブサイトではそのレシピを見ることができます。

基地内の給食なので、一般の人たちが食べる機会はあまりありません。しかし、その味を可能な限り再現した唐揚げを味わえるお店があります。東京・市ヶ谷にある『やっぱりカレーは金曜日だよね』です。その名の通り、カレーがメインのお店ですが、唐揚げも一緒に味わえるんです。

お店に入ると、まずは券売機で食券を購入。空自空上げは月替わりでいろいろな基地の味を楽しめます。私が訪れたとき（2024年12月）は愛知県にある高蔵寺分屯基地の「高蔵寺空自空上げ」（単品・800円）でした。

せっかくなのでカレーも一緒にいただくことに。カレーは海上自衛隊にちなんだ、月替わりの海自カレーです。この日は「護衛艦おおよど ほたてカレー」（並・1,200円）。食券を店員さんに渡して、しばし待機です。

まずは唐揚げが着陸…いや登場です！ブルーインパルスの飛行機をイメージしたお皿がオシャレでかわいい！食べずにしばらく眺めていたくなります。「お皿は当店のオリジナルです」とマネージャーの山村可名さん。1個40gほどはありそうな唐揚げが “機体” の上に5個。かけられているのは油淋鶏ソースです。

さっそくひと口ガブリ。衣にはコーンスターチを使っているそうで、見事なまでに薄く仕上がっています。コーンスターチは片栗粉などに比べて粒子が小さいため、衣が薄くなるといわれ、使用するお店も多いですね。

その薄さのおかげか、残留油感もなく、サックリさっぱりした衣。歯を立てると「カリッ」とした歯触りが一瞬感じられますが、あっという間に肉と一体化してくれます。しかも肉がフワフワ！クッションの上で跳ねるような弾力すら感じます。柔らかくて肉汁も豊富。山村さんによると「水分が抜けないように工夫している」とのこと。衣が肉汁になじんで、肉と一緒にとろけていく感じがたまりません。ちょいピリの油淋鶏ソースがいいアクセントになっています。

空自空上げ以外にも「オリジナル唐揚げ」（単品は700円）というものがあります。今回はお店のご厚意で特別にご提供いただき、味見をさせていただきました。

オリジナルのカレーソースにディップして食べるスタイルのもので、これまた美味。見事な薄衣とフワフワ食感の肉。濃いめでピリッとした刺激のあるカレーソースはけっこう辛いのですが、そのスパイシーな味わいは白いごはんを求めてしまいそうになります。カレーと唐揚げって合うんですよねえ。カレーのトッピングに唐揚げを用意しているお店が多いのもわかります。

海自カレー「護衛艦おおよど ほたてカレー」は、ほたての美味しさが存分に出ているもので、ちょっとシーフードカレーっぽい味わいです。スコップの形をしたスプーンでいただきました。

さてこちらの空自空上げは、あくまでも航空自衛隊ウェブサイトで公開されているレシピをもとにその味を再現したものとのこと。そのため実際に各基地で提供されているものとは少し味が異なるかもしれません。それでも美味しさには何の問題もなし。これはこれでアリです。ちなみに過去には八雲分屯基地（北海道）の「ハーブ香る空上げ」や百里基地（茨城）の「さっぱり梅(うめー)空上げ」、岐阜基地の「信長ハイカラ上げ」などが月替わりで登場しています。今後、どの基地のどんな空上げが出てくるか、楽しみです。

ところでこちらのお店は2階は航空自衛隊を、1階は海上自衛隊をそれぞれイメージしているそうです。なかなか面白いコンセプトのお店ですね。ブルーインパルスや潜水艦の器はお店で販売しているとのこと。購入すれば自宅で空上げや海自カレーの気分が味わえそうです。「陸上自衛隊のものはないの？」なんて声が聞こえてきそうですが、ご安心ください。戦車の器に入った陸自カレーがありますよ。

※「オリジナル唐揚げ」は『やっぱりカレーは金曜日だよね』さんのご厚意で特別にご提供いただいたものです。