7年前のサイ・ヤング賞投手が、今シーズン3度目の解雇。これはキャリアの終焉を意味するのか
9月4日、テキサス・レンジャーズは、ダラス・カイクルをDFAとし――40人ロースターから外し――その日のうちに解雇した。
カイクルが解雇されるのは、5月30日(シカゴ・ホワイトソックス)と7月22日(アリゾナ・ダイヤモンドバンクスダイヤモンドバックス)に続き、今シーズン3度目だ。最初の解雇とダイヤモンドバックス入団については、「もうすぐ解雇されるサイ・ヤング賞投手は、新天地を見つけることができるのか」と「解雇されたサイ・ヤング賞投手は、受賞当時のコーチがいる球団で復活をめざすが…」でそれぞれ書いた。
今シーズン、カイクルは、14先発の60.2イニングで防御率9.20を記録している。ホワイトソックスの8先発が防御率7.88、ダイヤモンドバックスの4先発が9.64、レンジャーズの2先発は防御率12.60だ。
50イニング以上を投げ、防御率7.20以上の投手は、他にいない。カイクルだけが、2.00以上も突出している。クオリティ・スタートは2度しかなく、半数の7先発は自責点6以上。直近の3先発は、いずれも自責点7だ。ここから、シーズン終了までに、カイクルと契約を交わす球団は、ないかもしれない。
ただ、カイクルの実績は、7年前のサイ・ヤング賞だけではない。例えば、20先発以上&防御率2点台のシーズンは、2014~15年と2017年の3度。近いところでは、短縮シーズンの2020年に、11先発で防御率1.99を記録している。
また、カイクルは、ハードボーラーではなく、ゴロを打たせるグラウンドボーラーだ。スタットキャストによると、例年よりはやや低いものの、今シーズンのゴロ率も50%を超えている。これは、ファングラフスのデータでもそうだ。
今シーズンは、四球の多さが目につく。与四球率は、昨シーズンまでの通算が2.70、今シーズンは4.60だ。与四球率4.00以上は、メジャーリーグ1年目の2012年に4.11を記録して以来。2013~21年は与四球率3.30以上すらない。ちなみに、サイ・ヤング賞の2015年は与四球率1.98、防御率1点台の2020年は2.42だった。
制球が元に戻れば、復活の可能性はあるように思える。年齢は34歳。来年の1月1日に35歳の誕生日を迎える。カイクルに投げ続ける気があれば、マイナーリーグ契約かもしれないが、今オフに新たな球団を見つけることはできるのではないだろうか。