業務中の「トイレスマホ」は「たばこ休憩」よりも経済損失が大きい?
「歩きスマホ」に「トイレスマホ」?
歩きながらスマホを眺めたり触ったりする行為を「歩きスマホ」と呼びます。危険な行為ですので、駅のホームなどで注意を呼び掛けてはいるものの、いっこうに「歩きスマホ」をする人が減りません。
「歩きスマホ」とは別に、最近「トイレスマホ」という言葉も聞くようになりました。トイレの中でスマホを眺めたり触ったりする行為を指すようです。混み合っているトイレで長時間「トイレスマホ」をされると迷惑ですが、「歩きスマホ」とは異なり、危険な行為ではありませんから、注意を呼びかけられることはありません。
ただ、「トイレスマホ」が原因で懲戒処分となった事例が過去にあります。埼玉県の職員が業務時間中、トイレで定期的にスマホゲームをしていたことが発覚。「職務専念義務」に違反したとしての処分だったようです。
業務中の「たばこ休憩」を禁じる会社
業務中に「トイレスマホ」を複数回、それなりに長い時間していたら、さすがに問題が出てきます。業務中に喫煙する「たばこ休憩」を例にするとわかりやすいでしょう。もしも1回10分の「たばこ休憩」を1日に5回したら、1日50分も業務から離れていた計算になります。これは単に業務効率の問題だけではありません。周囲の喫煙しない人が「不公平感」を募らせるという影響もあります。
(喫煙中にスマホを眺めていると、たばこ休憩の時間がさらに長くなる傾向があるようです)
横浜市では2016年、「市職員の喫煙者約4000人が1日35分のたばこ休憩を取った場合、年間で約15億4000万円の損失になり、時間にして計19日間休んだことに相当する」と公表し、波紋を呼びました。
このような背景もあり、業務中の「たばこ休憩」を禁じるため、喫煙ルームを設置しない会社が増えています。
さて「トイレスマホ」はどうなのでしょう。「トイレスマホ」をすることで、通常よりも10分長くトイレに滞在する回数が、1日に5回近くある人は、どれぐらいいるでしょうか。さすがにそんな人は多くないでしょう。そこまでいくと、周囲の人も「いつもトイレが長すぎる」「トイレの個室に引きこもっている」というレッテルを貼ることでしょう。したがって「たばこ休憩」ほどの、目に見える時間的損失があるとは言えません。
トイレスマホに効能はない?
愛煙家の方は「たばこ休憩をきっかけにお客様と仲良くなった」「上司や他部門の方との、情報交換の場だ」と主張する人もいます。つまり「損失だけではない」と言いたいのでしょう。「たばこ休憩」にはそのような効能があるかもしれませんが、個室でひとり引きこもっている「トイレスマホ」には、そのような効果はありません。
トイレにスマホを持ち込むと、スマホの表面に付着した菌が繁殖するといったデメリットや、トイレに水没させるといった「他人に言いづらい失態」をする確率も高まります。(トイレに水没させて、会社支給のスマホが故障した場合は明らかな損失として計上されます) 長時間トイレに滞在することで痔になる確率も高くなるなど、いろいろな問題があるようです。業務中の「トイレスマホ」はできる限り、控えたほうがよいでしょう。