九州南部梅雨明け 関東甲信地方は梅雨入りが遅いと梅雨明けが早いという傾向通りになる
九州南部梅雨明け
令和3年(2021年)の梅雨は、5月5日に沖縄・奄美地方が平年より早く梅雨入りしました。
その後、九州南部から東海地方まで、平年より、かなり早く梅雨入りしました。
梅雨の統計がある昭和26年(1951年)以降で、1位とか、2位という早い梅雨入りです(表1)。
しかし、関東甲信、北陸、東北地方では平年より遅い梅雨入りでした。
そして、6月末から7月上旬は、梅雨前線に向かって暖かくて湿った空気が流入したため各地で大きな被害が発生しています。
しかし、その梅雨は、7月2日の沖縄地方、3日の鹿児島県奄美地方の梅雨明けに続き、11日には九州南部でも梅雨明けとなりました(表2)。
九州南部の梅雨明けは平年より4日早い梅雨明けでした。
太平洋高気圧が強まったことにより、沖縄付近に停滞することが多かった梅雨前線が北陸地方まで押し上げられ、しばらくは九州南部まで南下してこない予報のためです(図1)。
各地の10日予報
梅雨前線は北陸地方まで北上しましたが、しばらくは、前線に向かって流れ込む暖かく湿った空気や日中の昇温の影響も加わり、西日本から東日本を中心に大気の状態が不安定となる見込みです。
このため、局地的に積乱雲が発達する見通しで、梅雨明けした九州南部でも雲が多い天気になりそうです。
7月12日昼過ぎの発雷確率を見ると、東北から九州まで50パーセント以上もあります(図2)。
土砂災害に厳重に警戒し、低い土地の浸水、河川の増水、落雷や竜巻などの激しい突風、降ひょうに注意が必要な状態が続きます。
各地の10日間予報をみても、お日様マーク(晴れ)が多いのですが、白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)が少なく、黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)が多くなっています(図3)。
7月11日の関東地方では局地的に激しい雨が降りました(図4)。
7月11日夕方の関東地方のように、晴天が一転して激しい雨が降るという状況は、九州から東北地方では、7月12日以降も続く見込みです。
梅雨明けをした鹿児島でも同様です。
逆に言うと、令和3年(2021年)は、太平洋高気圧が強まって梅雨前線を北に押し上げるという梅雨明けではなく、梅雨前線の活動が次第に弱まって梅雨明けになりそうです。
それだけ、梅雨明けをいつにするか、気象庁の予報官を悩ませることになると思います。
関東甲信の梅雨明けは
ウェザーマップでは、16日先までの天気予報を発表しています。
これによると、黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)があるのは、7月17日までです。
今週は、降水の有無の信頼度が5段階で一番低いEがほとんどという予報ですが、傘マーク(雨)があるのは7月13日だけです(図5)。
7月18日以降は、お日様マーク(晴れ)と白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)が続き、しかも、降水の有無の信頼度が5段階で一番高いAがほとんどです。
来週には梅雨明けになっていそうですし、場合によっては、今週中に梅雨明けになるかもしれません。
いずれにしても、梅雨明けの平年(平成3年(1991年)から令和2年(2020年)の30年間の平均)である7月19日よりは早そうです。
梅雨の統計がある昭和26年(1951年)以降の70年間で、梅雨明けが一番早かったのは平成30年(2018年)の6月29日、逆に一番遅かったのは昭和57年(1982年)の8月4日です。
最早と最遅がともに最近であることから、関東甲信地方の梅雨明けは、年による差が大きくなっているといえそうです。
また、梅雨は夏の現象であることから、立秋までに梅雨明けがない年は、「梅雨明けが特定できない」としています。
平成5年(1993年)が梅雨明け特定できずと、これも最近です。
関東甲信地方で、梅雨入りが早かった年と、梅雨入りが遅かった年をおのおの20年ずつ選び、梅雨明けの日をみると、梅雨入りが遅かった年のほうが、梅雨入りの早かった年より、若干ですが梅雨明けが早い傾向があります(図6)。
関東甲信地方の梅雨入りは、平年より7日遅い、6月14日でした。
今年は、「関東甲信地方は梅雨入りが遅かった年は梅雨明けが早い」という傾向の通りになりそうです。
ただ、各地とも、梅雨明けするかどうかにかかわらず、大気の状態が不安定な状態が続くことには変わりがありません。
しばらくは、発達した積乱雲には注意が必要です。
図1、表1、表2の出典:気象庁ホームページ。
図2、図3、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。
図6の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。