Netflix第1位『クイーンメーカー』にハマったあなたに!GWに一気見したい、極上韓国サスペンス!
Netflixで4月に公開された途端、『ザ・グローリー 輝かしき復讐』と入れ替わるように再生回数1位を獲得、今もその座を守り続ける『クイーンメーカー』。金があれば何でも買えるし何でも解決できると思ってる傲慢な財閥企業「ウンソングループ」を相手に、「ソウル市長選」を舞台に、二人の女性が立ち向かうという物語です!ポッドキャストでは、作品の解説もしていますので、こちらもぜひ!
物語の主人公の一人、ドヒは、財閥企業ウンソングループで一族の尻ぬぐいと陰謀の画策をしてきた元広報室長(という名のフィクサー)。完璧な仕事ぶりで会長から絶大な信頼を得てきた彼女は、一方では「会長の犬」と蔑まれてもきたわけですが、社内で起こったレイプ事件のもみ消しを拒否したことで、あっさりクビに。おりしも始まったソウル市長選挙で、会長がレイプ事件の犯人である娘婿ジェミンを擁立すると知ったドヒは、これをつぶすために対立候補を立てて応戦。それが活動家で人権弁護士のギョンスクなんですけど、強く明るく、弱気を助け強きをくじき、信念のままに猪突猛進、「日本にもこんな政治家がいてほしい!」という人物。
ドラマの最大の面白さは、この二人が強烈に強い、そして財閥の連中をはじめとするめちゃくちゃムカつく悪を相手に、一歩も引かずに正々堂々と戦いを挑むこと。女性を人間と思ってないくせに「女性が輝ける社会に」とかいうようなスローガンを掲げて選挙活動するジェミンはもちろんのこと、「民衆のしもべ」と名乗りながら選挙資金で贅沢三昧の野党候補とか、ドヒやギョンスク本人に加えその家族に対する直接攻撃も仕掛けてくる財閥側の選挙参謀とか、悪役のワルっぷりは強烈。でもドヒがその上を行くのは、彼らのやり口を全部知ってるから。その戦略はまさに『ザ・グローリー』の主人公ドンウンばりのダーティーさと緻密さで、時にそれがギョンスクの良心とぶつかることもあるんですが……ラストにはお見事!と言いたくなること請け合いです!
ドヒ&ギョンスクを演じる二人の女優は、壮大なドロドロ夫婦喧嘩を描いた前作『夫婦の世界』をヒットさせたキム・ヒエと、大傑作『オアシス』でヴェネチア映画祭での受賞経験を持つムン・ソリ。ふたりとも韓国エンタメ界を代表する大女優です。つまり「ハラハラドキドキサスペンス」「上手い俳優だらけ」「強烈な悪役」などなど、面白い韓国ドラマのお手本のような作品です!
そもそも現実の政治がめちゃくちゃ熱くてエキサイティングな韓国の政治ドラマは、アクションものかと思うようなハラハラドキドキが連続する面白い作品ばかり。今回は『クイーンメーカー』を気に入った人なら気っと楽しめる政治エンタメ2本をオススメ!GWの一気見に是非!
『サバイバー 60日間の大統領』
会期中の国会議事堂が何者かによって爆破、唯一生き残った閣僚は学者出身の環境大臣パク・ムジンただ一人。法律によって定められた大統領補選までの60日間、まったくの政治素人であるムジンが、大統領代行を務めるハメに…。アメリカの台ヒットドラマのリメイクながら、向こうは大統領になっちゃうけど、こっちは60日間の代行で、さらに60日後の選挙を控えて与野党の思惑が入り乱れるという激動ぶり。爆破テロは何物の仕業なのか?というサスペンスに、人々の疑心暗鬼が起こり、取りざたされる北朝鮮の軍人の関与にミサイル危機に国内の分断に…と息をつく暇なし!
爆破テロで現役国会議員がほぼ全員死ぬ、という展開の中、大統領になるのが「融通が利かないほどの善良さと理系の天才的頭脳を併せ持つ政治の素人」というのが秀逸。前の大統領の事務官や補佐官たちは、彼に振り回されながらも「永田町(じゃないけど)の常識」に染まっていた自分たちに気づき、理想を取り戻していく姿にもグッときます!人気絶頂の俳優ソン・ソック(『私の解放日誌』)がちょりちょりの短髪で、ムジンに翻弄される側近役で登場。
『補佐官』
『イカゲーム』で俳優イ・ジョンジェを知った人は、「この人、こんなパリッとした役もできるんだ!」と思うに違いない政治サスペンス。政権与党・大韓党の有力政治家ソン・ヒソプの右腕、チェ・テジュンは、その情報収集力、分析力、コネクション、スピードと実行力、非情さで、周囲から「毒蛇」と恐れられる凄腕補佐官。分刻みで事態が変わる政治を舞台に、描かれる党内外の権力闘争はつねにギリギリのヒリヒリ!にしても、「なんでこんなにも権力と金にしか興味のない下品な爺さん=ヒソプのために?」ってところに、政治の矛盾があり、テジュンの矛盾――つまり、汚い手を使ってでも権力を得なければ、美しい理想の社会を実現できない――があるんですね!。ドラマは中盤からその矛盾がどーん!と真ん中に出てきて、テジュンが志を共にする人たち(ライバル陣営にいる女性議員と秘密の恋愛中!)とともに、ダーティーな上の世代を密かに出し抜いていこうとするわけですが!もちろん権力を持つ悪い奴ってのは、そんなに簡単にはいかないわけで、失脚!命狙われる!寝返る!あいつとあいつがまさかの結託!などなど、こちらも息もつけない展開です!そしてどうでもいい話ですが、「これ『クイーンメーカー』と全く同じ展開では…?!」というシーンもあります!
『シュルプ』
日本で時代劇といえば、わかりやすい勧善懲悪も含めたどこかのどかな感じがありますが、韓国の時代劇は恋愛ものも含めたほぼ全編が「王宮を舞台にした権力闘争サスペンス」と言って差し支えありません。最近の傑作が『シュルプ』です!李王朝には「後継者指名システム(王が存命中に次の王=世子(セジャ)を決めておく)」があり、基本的には「嫡流(王妃)の長男」から順番なわけですが、王妃に息子がいない、いても病弱、庶子(側室の息子)を世子と決めた後に正妻に息子ができる、そもそも王が庶子(=正当な世子は王の弟の息子)などのパターンで、「指名」をかけてバトルが起こることも。ここに母親の血筋(多くは政府高官の家系)が、権力求めて乗っかってくるわけですね。『シュルプ』では、人格も頭もいい嫡流の世子の突然死を巡り、そこから始まる世子選びのバトルが描かれてゆきます。主人公は、血筋は低いが頭がいい王妃で、「俺たちは政治なんてもう関係ないし~!」と呑気に生きてきた4人の王子たちをどうやってその気にさせるか?に手を焼きつつ、自分に都合のいい王子を世子にしようと陰謀をめぐらす絶対権力者・大妃(王の母、つまり姑)や、大妃と手を組む側室たちとやり合い、世子の死の真相を探り、そこにつらなる過去の陰謀にたどり着き、さらにさらに、実は王子たちもそれぞれに「露見すれば命取り」という秘密を抱えており、もうハラハラドキドキがとまりません!このドラマが大人の政治サスペンスといえるのは、王妃の目的が「悪事を晒す!」という単純な勧善懲悪ではなく、それによって傷つく人がでないよう、それでいて悪を抑え込んでゆくこと!主演は大ヒットドラマ『未成年裁判』で知られるようになった大女優キム・ヘス。同作と同じ迫力だけでなく、優しさと強さ、スケール感で、日本なら「理想の上司NO.1」とかに選ばれそうな!
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