3度ダウンを奪っても勝者になれなかったベネズエラ人ファイター
ベネズエラとメキシコの血を引くエンドリ・サベードラ(33)とオーストラリア人であるマテオ・タピア(26)がダウンの応酬を繰り転げたミドル級10回戦は、94-92でタピア、93-93、93-93のスコアでドローとなった。3度ダウンを奪ったサベードラは、判定を告げられた後、怒りを隠そうとしなかった。
第3ラウンドに連打からの右フックで、サベードラがダウンを奪う、ダメージの残るタピアのボディを攻め、同ラウンド終盤にも再度オーストラリア人ファイターの腰を落とした。
試合後、サベードラは振り返った。
「私はメキシコの勇者だ。自分がリングを支配できると信じていた。私はできる限りのことをし、力を振り絞った。が、彼が2度目のダウン後に立ち上がったことに驚いたよ」
そのまま流れに乗るかと思われたサベードラだが、5回終了間際にカウンターの右ストレートを浴び、腰からキャンバスに沈む。
タピアも言った。
「ヤツはインサイドでショートパンチを放ってきたね。俺は足があまり動かなくなっていたので、踏みどどまって手を出すしかなかった」
打ちつ打たれつとなった同ファイトだが、後半に向けてサベードラが粘りを見せる。執拗にボディブローを放って、タピアを削った。そして第9ラウンドに、3度目のダウンを奪う。
ダウンの数で言えば3−1。それでも、サベードラの勝利と見るジャッジはいなかった。
17勝無敗1分となったタピアは、言葉を続けた。
「10ラウンドの厳しい戦いに備えていた。どちらに転んでもおかしくなかったと思う。苦しい戦いだった。彼が前に出てくることはわかっていたし、チャンスがあれば、カウンターをと考えていた。ファンに素晴らしい戦いを見せることができて嬉しいよ」
しかし、16勝(13KO)1敗1分けと、白星を逃したサベードラは、憤懣やるかたない思いでいっぱいという表情をしながら、話した。
「試合を見た皆さん、そして、ここにいるファンが私の勝利だと感じてくれていることはわかった。私は自分の仕事をするなんだけだ。ジャッジも己の義務を果たさねばならないはずだよな」
さて、サベードラはどう、この悔しさを晴らすか。いかに這い上がるのか。このベネズエラ人ファイターの動向を見守りたい。