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ホークス田中正義、プエルトリコ武者修行で1勝目!T-岡田も斬った

田尻耕太郎スポーツライター
4年目こそ、飛躍を!

 期待の大器が、覚醒のきっかけ作りへ。

 ソフトバンクの田中正義投手が今月から来月末までプエルトリコで行われているウィンターリーグに参戦している。「Gigantes de Carolina」に所属し、幸先のいいスタートを切っているようだ。

 現地15日(日本時間16日)の開幕戦でリリーフ登板すると2イニングを無安打無失点、しかも5奪三振という快投を見せた。

 そして現地22日(日本時間23日)の2度目の登板は先発としてマウンドに上がった。対戦相手の「Atenienses de Manati」の先発はオリックスの鈴木優という日本人対決となった試合で、田中はまたしても好投した。

プエルトリコで日本人対決

 立ち上がりからゼロを並べた。二回には1アウト二塁で相手6番に座るオリックスのT-岡田を迎えたが空振り三振。T-岡田とは五回の打席でも対戦して再び空振り三振に仕留めた。その五回にソロ本塁打を浴びるも5回2安打1失点、4奪三振1四球と上々の結果でお役御免。チームが6対1で快勝したことで田中は1勝目を手にした。今リーグは2試合1勝0敗、防御率1.29の成績だ。

 2016年に5球団競合のドラフト1位で入団しながら、プロ3年間の通算成績は11試合0勝1敗、防御率8.16。今季も春季キャンプの最後に右肩の張りを覚えて出遅れた。6月に2軍戦で復帰し好投を続けた頃にはプロ入り後一番と言っていい力強いボールを投げ込んでいた。試合前には「今日投げるんで見ていてください」と威勢のいい言葉を口にしたこともあったし、7月9日に一軍昇格を果たした際には「迷いなく投げられている」と自信を口にした。

 しかし、翌10日に登板したシーズン初マウンドでは西武の外崎に2点適時三塁打を浴び、続くイニングで2四球を与えて降板した。それまでのピッチングが嘘のような弱気に映る24球。らしくない「かわす投球」では首脳陣の評価を得られずに2軍落ちすると、その後上に呼ばれることはなかった。

「思いっきり」の良さを取り戻せるか

 弱点はメンタルだ。それを克服する意味でも、プエルトリコ参戦は一つのきっかけになる可能性がある。昨年も若鷹数名がプエルトリコに送り込まれたが、その中にいたのが高橋純平だった。同リーグで好成績は残せなかったが、高橋純はこう振り返る。

「あっちは速いピッチャーばかり。僕が思いっきり投げてもチームでせいぜい真ん中くらいでしたが、それでも相手は空振りしたりファウルになったりした。開き直って真っ直ぐでいった場面もありました」

 それまで失っていた思いっきりの良さを取り戻した。ガムシャラに腕を振ることを思い出したことで、今季4年目のブレイクにつなげたのだ。

 田中に必要なのも、まさしく「思いっきり」だ。

 “未完の大器”が殻を破れるか。そろそろ本来の姿を我々に見せてほしい。心から待っている。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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