「乳牛を蹴る行為」の動画を投稿して炎上。虐待行為の背後にある問題とは?
島根県の牛舎で男性が乳牛を蹴ったり殴ったりするような様子が映った動画が、TikTokに投稿され(いまは消去されています)その後、SNSで拡散され炎上しています。島根県警がこの男性を動物愛護管理法違反(動物虐待)の疑いで捜査を始めたとJ-CASTニュースは伝えています。
虐待行為 乳牛を蹴る
日本海テレビ【虐待行為】「あり得ない行為」牛虐待動画で関係者謝罪 従業員が牛を蹴るなど 従業員の解雇を検討 島根県大田市
上の動画を見ると、白い長靴を履いた作業着姿の男性が、牛の鼻などの顔付近を複数回、蹴り上げています。
この動画がSNSで拡散されているので、ネット上で見ることができます。筆者は、大学時代に乳牛の治療の一環で、酪農家に実習に行ったことがあります。そんな体験があるものからすれば、ショックで信じがたい虐待行為の映像です。
乳牛なら、蹴ってもいいの?
この動画を見て、乳牛を蹴っているぐらいで、そんな大騒ぎしなくてもいいのでは、と思っている人がいるかもしれません。犬や猫を虐待しているのではないので、もっとおおらかに見てもいいのでは、と考えている人もいるでしょう。
しかし、乳牛は、犬や猫と同じように、愛護動物※になります。そのため、牛をみだりに蹴ったりする行為は、虐待になり動物愛護法に違反する可能性があるのです。
愛護動物をみだりに殺し又は傷つけた場合は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処されます。また、虐待を行った者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます。
※愛護動物とは
1 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
2 その他、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの
乳牛にも丁寧な飼育を
乳牛は話すことはできませんが、痛みを感じたり精神的なダメージを受けたりすることがあります。虐待によるストレスによって、ミルクの量が減少する、胃腸疾患を引き起こす可能性もあります。
酪農家にとって乳牛は生活の糧ですので、愛情を持って接しています。酪農実習で乳牛の世話をしたとき、乳牛は人の意図を理解して協力してくれることが分かりました。酪農家の人なら、乳牛に従順に行動してもらうことができます。獣医学生だった頃の筆者が、乳牛を他の場所に誘導しようとすると、無視して通り過ぎて行きました。「見習いのいうことなんか聞かないよ」と、乳牛たちはいいたげでした。
産業動物である乳牛にも、感情があり、丁寧な扱いが必要なのです。産業動物でもアニマルウェルフェアである動物の幸福が必要なのです。
酪農に携わる人には、教育を
読売新聞は、この男性は外国人従業員で、外国人実習生として約3年間働き、2022年12月にこの牧場の正社員となったと伝えています。言葉が違う国で働いているのでストレスがあり、乳牛にあたってしまったのかもしれません。それでもこの行為は許される行為ではありません。なぜ、このような虐待の行為に至ったのかを解明してほしいです。
国によって、動物に対する法律が違い、日本では牛などの産業動物も愛護動物になり、蹴るなどの行為は動物愛護管理法に違反する可能性があるということをきちんと教育すべきです。もちろん、日本人でもこのようなことを理解していない人もいるかもしれません。
乳牛にも気持ちがあり、かわいそうという前に、日本では愛護動物は、法によって守られていることを知ることが大切です。日本は、欧米諸国に比べるとまだまだ動物に対する愛護の精神が進んでいません。
産業動物は、犬や猫に比べて飼育頭数も多いです。ひどい環境での飼育や扱いを受けている可能性もあります。産業動物のアニマルウェルフェアの向上を考えてみませんか。