｜食のプラットフォーム「THE RESTAURANT」

「食事」や「料理」といっても様々なジャンルがありますが、とりわけレストランでの食体験には特別なものがあります。ビジュアルの美しさはもちろんのこと、新しい味わいに出会えたり、季節感や地域色、文化や伝統なども感じさせてくれたり、時に一皿一皿がアートのようであり、ストーリーを辿る観劇のようでもあります。

様々な要素が溶け込み、それを確かな技術と抜群のセンスで紡ぎ出すプロの方々には、尊敬の念に堪えません。

まずこのレストランの大きな特徴であり、他のレストランと異なる点は、「THE」のコンセプトである“食のプラットフォーム”という発想に基づいている点です。「プラットフォーム」とはサービスなどを提供・運営する際に必要な「共通の土台（基盤）となる環境」という意味です。つまり、この「THE」が食の発信基地であり、新しい取り組みを行うラボ（研究所）的な存在でもであり、食を提供する基盤となる場所ということでしょう。

それを裏付けるように、レストランのキッチンはフルオープンで客席側からも調理の様子が良く見える構造になっています。お客様自身もこのプラットフォームで新たな食体験をするクルーという位置づけなのかもしれません。

｜フレンチ・イタリアンをベースとしたグローバルスタイル（無国籍料理）

オープンは今年の４/1で、料理ヲタクの私は、早速ディナーを体験。ぜひ一度家族を連れてきたいなあと思い、夫、義母の3人でランチをしに訪れました。

お料理は、フレンチ・イタリアンをベースとしたグローバルスタイル（無国籍料理）で、ランチはAコース 3,850円、Bコース 5,500円の他、期間限定で夏の冷たいパスタフェア 3,000円の3つのコースがあります。※価格はいずれも税込。

前菜とメインは好みのものを選ぶプリフィクススタイル。メニューはお魚系、お肉系とバリエーションが豊富。各々メニューを選び、いざオーダー。

＜前菜＞

スタートは旬真盛りの桃を使った「福島県産桃の冷たいヨーグルトスープ 生ハム添え」です。ほんのり甘みのあるスープに生ハムの旨味と塩味が食欲をそそります。

もう1つ前菜に私が選んだのは「麓山高原豚のトントロ炙り焼き、佐助茄子、山芋のミルフィーユ仕立て、ラズベリーチリドレッシング」です。トントロの炙り加減が絶妙で、生の茄子がとってもみずみずしい！ちなみに佐助茄子は郡山ブランド野菜で生でも美味しくいただけます。さらには長芋のシャキシャキ感、フレッシュなトマトやレタス、そしてほんのりエスニック風味を感じるドレッシングがとっても夏らしい一皿でした。

主人は、前菜に「請戸産の本日の魚と夏野菜のフリットサラダ、青胡椒ドレッシング」をチョイス。フリットした請戸産の鮮魚（この日は鯛と平目）はフワフワで、爽やかな辛味が効いた青胡椒のドレッシングは夏野菜もモリモリ食べさせてくれる一品でした。

この他にも、魚介好きな義母は「叩きイカの春巻き揚げと野菜のマリネ、スパイス風味」をオーダー。春巻きの皮のパリパリとした食感とプリっとしたイカのコントラストが良く、色鮮やかな夏野菜のピクルスも清涼感を与えていました。さらに福島市のワイナリー吾妻山麓醸造所のオークチップを使った「スモークの香りをつけた、鰹のタタキ風サラダ」は、かすかに漂う樽香がワインに合いそう。このように地域の生産者とのコラボレーションもさりげなく取り入れたお料理にTHEのコンセプトが反映されていると感じました。

＜メインディッシュ＞

さらにメインディッシュは夏らしいアレンジで、美味しくて楽しいお料理ばかり。主人がチョイスした「骨付きスプリングラムとパプリカのスパイシーブレゼ、クスクス添え」は、ややスパイスが効いたソースで、クスクスをソースに絡めるとこれまた美味。カラッと暑いモロッコへ訪れたような気分になりました。

こちらは色鮮やかなオレンジがトッピングされた「天使海老とムール貝、メカジキのオレンジ・トマトソーススパゲティー」です。甘みのあるトマトソースにオレンジの酸味がとっても爽やか。これには終始、「美味しい、美味しい」とつぶやく義母。

私は「請戸産白身魚と海老、ムール貝のブイヤベースソース」に。魚介とトマトでじっくり煮込んだ濃厚なソースをまとったお魚と海老のまた美味しいこと。レストラン特製のフォカッチャで余すことなくソースをぬぐっていただきました。

＜デザート＞

デザートは、カシスのソース、マンゴーのムース、チャイのアイスクリーム、パッションフルーツ、パイナップル。これまた南国果実をたっぷり使ったデザートで、「盛夏」を感じさせます。フルーツの甘酸っぱさとチャイ特有のフレーバーで口中が引き締まり、食事のフィナーレとして最高でした。

｜月単位で変わるメニュー、選べる前菜とメインで月に何度でも

メニューはランチもディナーもおおよそ1カ月で変わるそうです。コース料理は3種類ですが、前菜やメインは複数あるメニューから選択肢できますので、月に2回でも3回でも楽しめます。

その時々の季節を食で楽しませてくれるお料理に、毎月行きたいくらい。そうそう、ドリンクもアルコールやソフトドリンクも種類があります。お隣のテーブルではお父さんがスパークリングワインを飲まれていて、羨ましかった・・・です。

ランチは木・金・土のみで、なるべくご予約される方がよいでしょう。

とにかく家族からも大絶賛で、帰宅してからも興奮冷めやらぬといった感じでした。「THE RESTAURANT」は、郡山市民ならずとも一度は訪れて欲しいレストランです。