フレディ、南半球史上もっとも長寿なサイクロンに
型破りなサイクロンが南インド洋に発生しています。名前はフレディ(Freddy)といい、南半球の記録をことごとく塗り替えています。
いったい何が型破りなのでしょうか。
①最長寿
熱帯生まれの強い渦巻きで、南半球に発生するものをサイクロンと呼びます。
サイクロンの平均寿命は1週間ほどです。ところがフレディは発生してから8日(水)で30日目を迎えました。これは、2000年に29日間存在したサイクロンの記録を抜き、南半球の観測史上1位の長寿記録となりました。
なお、世界の最長記録は1994年に発生したハリケーン・ジョンの31日間です。この世界記録もまもなく破られることとなりそうです。
移動距離も異次元で、なんと11,000キロ近くに及びます。2月6日にオーストラリア近海で発生、インド洋の端から端までを渡りきって、アフリカ大陸南東部のモザンビークに上陸しました。
②最多発達
フレディは、インド洋を東西に横断している間に幾度も急激な発達を遂げました。
「急速強化」と呼ばれる現象で、24時間で最大風速が15メートル以上増えることをいいます。フレディの場合、「急速強化」が6回も起きました。これは、南半球のみならず、世界記録でもあるようです。
③最強
また放出されたエネルギー量も、南半球における最大記録です。
サイクロンが存在している全期間中の強さを表す指標に「ACE(エース)」というものがあります。これは日本語では「熱帯低気圧積算エネルギー」などと訳され、最大風速の2乗を6時間ごとに足していって計算します。
フレディのACEの値は、これまで1位だった2016年のサイクロンのそれを大きく上回っています。つまり南半球の観測史上、最強のサイクロンといえます。
モザンビークに再上陸へ
影響を受ける国々にとって、フレディはこの上ない脅威となっています。
フレディは21日にマダガスカルを直撃、少なくとも4人の死者を出しています。その後24日にはモザンビークに上陸し、ここでも死者を出しました。
今後フレディはどう動くのでしょうか。
実は、またUターンをして10日(金)にもモザンビークに再上陸する見込みです。
そもそもモザンビークに上陸するサイクロンは、南インド洋で発生するサイクロン全体の5%しかありません。にもかかわらず、フレディは2度も上陸しようとしているのですから、その型破りさに、ただただ呆気にとられるばかりです。