テレワークに向いている人の性格とは、どんな「性格」か?
なぜテレワークは期待どおりに普及しないのか?
テレワークとは、「テレ=離れた場所」「ワーク=働く」を足した造語。インターネットを活用して、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を指しています。在宅勤務のみならず、移動中やカフェ、サテライトオフィスでの仕事も「テレワーク」と呼びます。日本政府は「働き方改革実行計画」で、テレワークの普及を加速させていく方針です。柔軟な働き方、多様な働き方を推し進めるうえでテレワークは欠かせない考え方だからです。
私自身も日本全国を飛び回っていますので、オフィスに出勤しなくても仕事ができるテレワークという働き方は、とても便利だと感じています。ただ、テレワークはニーズが高くても、まだまだ普及しているとは言いがたい状況。2017年に公表された総務省の「通信利用動向調査」によると、企業のテレワーク導入率は13.3%。テレワークの導入をとりやめた企業も出てきているようです。
日本型と欧米型
日本において「働き方改革」が遅々として進まないのは、「仕事に人をつける」欧米のジョブ型ではなく、「人に仕事をつける」メンバーシップ型労働をとっている日本企業がほとんどだからです。あらかじめ仕事の内容を決めてから雇用契約を結ぶことを「ジョブ型」と呼びます。つまり「仕事に人をつける」欧米型。いっぽうで、人の能力やスキル、将来性を見込んで雇用契約を結ぶことを「メンバーシップ型」と呼びます。つまり「人に仕事をつける」日本型。
日本企業は面倒見がいいのです。外部環境の変化によって、たとえその人の仕事がなくなったとしても、ご縁があって入社したのだから、企業サイドは他部門への異動を促したり、教育プログラムを充実させるなどして、雇用維持に向けて柔軟に動きます。
名前のとおり、多くの日本人は「日本型」の雇用に馴れています。企業も、欧米の「就職型」ではなく、日本の「就社型」の文化がなじんでいます。このような、日本人独特の考え方、日本独特の企業文化がある以上、なかなかテレワークは普及しないのではないか。これが私の考えです。
他人の目が気になる日本人
テレワークはとても便利な働き方です。いっぽうで、テレワークで企業が求めるような成果を出すには、その働き方をする人の考え方や習慣を変えなければなりません。たとえ「メンバーシップ型」の雇用をしている日本企業に勤めたとしても、テレワークを選んだ以上、当然「ジョブ型」の働き方になるからです。
したがって、性格も「欧米型」であるべき。
移動中やカフェ、自宅で仕事をしていると、誰の目にもさらされていないため、ついつい「仕事のようで、仕事ではないこと」にも意識が向いてしまいます。20分も30分も、なんとなくネットサーフィンをしたり、ソーシャルメディアに投稿したり、「いいね!」を押してみたり……。正しく自分を律することができないと、とても生産性が悪くなります。
他人の目がないと、ついつい気持ちが緩んでしまう――なんて人は、まるでテレワークに向いていません。集団の中にいたほうが本来のポテンシャルを発揮し、維持しやすい多くの日本人には、酷な環境です。
テレワークに向いている人は、自分を律することができる人です。自分を律することができる人は、集団同調バイアスにかかりづらい人とも言いかえられるでしょう。つまり「長いモノに巻かれない」人。会議中でも手を挙げて発言するような、自己主張をハッキリとする人。他人にどう思われようが、自分を曲げない芯が強い人……。
他人の目を気にする人は、他人の目がなくなった瞬間にグダグダになります。柔軟な働き方とは、グダグダな働き方を指しているわけではないのです。テレワークという働き方をするのなら、インフラ環境を整えるだけでなく、考え方や価値観も変えることが重要ですね。