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3年前の夏に獲得したスラッガーを再びトレードで手に入れる。3年前はワールドシリーズMVPを受賞

宇根夏樹ベースボール・ライター
ホルヘ・ソレーア(中央)Nov 2, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月29日、アトランタ・ブレーブスは、タイラー・マツェックサビーン・セバイオスを放出し、サンフランシスコ・ジャイアンツからルーク・ジャクソンホルヘ・ソレーアを獲得した。リリーフ投手とA+の三塁手の2人と交換に、リリーフ投手とDHあるいは外野手の2人を手に入れた。

 3年前、ブレーブスは、ワールドシリーズ優勝を飾った。今回のトレードで動いた4人のうち、セバイオス以外の3人は、当時の優勝メンバーだ。

 マツェックは、2019年の夏にブレーブスとマイナーリーグ契約を交わし、その後は移籍することなく在籍していた。

 トミー・ジョン手術から復帰した今シーズンは、5月初旬に再び肘を痛めるまで、11登板の10.0イニングで11失点(自責点11)。ここからも欠場したまま、オフにFAとなる見込みだ。にもかかわらず、トレードで動いたのは、両球団が支払う年俸の金額を調整するためだと思われる。

 前回、ジャクソンがブレーブスで投げたのは、2017~21年だ。2022年は、開幕直後にトミー・ジョン手術を受けて全休。そのオフにFAとなり、ジャイアンツに入団した。

 今シーズンは、36登板の35.0イニングで奪三振率8.49と与四球率3.86、防御率5.40を記録している。今月の8登板は、9.0イニングを投げて13三振を奪い、与四球は1。サンプル数はわずかながら、復調の兆しのようにも見える。

 ソレーアは、3年前、夏のトレードでカンザスシティ・ロイヤルズからブレーブスへ移り、55試合で14本のホームランを打った。ポストシーズンの途中で新型コロナウイルスに感染し、一時離脱したものの、ワールドシリーズで打率.300(20打数6安打)と出塁率.391、3本塁打、6打点を記録し、MVPに選ばれた。そのオフのFA市場に出て、3年3600万ドル(2022~24年)の契約でマイアミ・マーリンズに入団。昨オフ、この契約を打ち切り、ジャイアンツと3年4200万ドル(2024~26年)の契約を交わした。

 今シーズンは、93試合で打率.240と出塁率.330。ホームランは12本だ。2019年の48本塁打はア・リーグで最も多く、昨シーズンは36本のホームランを打っている。

 昨シーズン、ブレーブスでは、7人が20本塁打以上を記録した。50本台が1人、40本台と30本台と20本台が2人ずつだ。一方、今シーズンは、105試合を終え、15本塁打を超えている選手は、31本塁打のマーセル・オズーナしかいない。

 ただ、オズーナとソレーアをラインナップに並べるには、どちらか一方に外野を守らせる必要がある。2人とも、守備は得意ではない。今シーズンは、一度も守備についていない。

 3年前、オズーナはレフト、ソレーアはライトを守っていたが、そもそも、2021年のナ・リーグにはDHがなかった。オズーナは、5月下旬にシーズンを終えたので、揃い踏みはしていない。

 なお、ブレーブスは、ソレーアの前に、3年前のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズでMVPを受賞したエディ・ロザリオも、呼び戻している。

 ロザリオは、昨オフにブレーブスから球団オプションを破棄され、ワシントン・ナショナルズとマイナーリーグ契約。開幕ロースターに入ったものの、今月初旬に解雇され、マイナーリーグ契約でブレーブスに入団した。今のところ、復活には疑問符がつく。ブレーブスに戻ってからの17試合は、打率.175(57打数10安打)と出塁率.197、3本塁打だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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