月あたりの週刊誌や雑誌、書籍の購入実情をさぐる(2023年2月分)
雑誌や書籍のような紙媒体はどれほど買われているのか。総務省統計局による家計調査の報告書の最新版(2023年2月分、記事執筆時点)を基に、二人以上世帯における実情を確認する。
次に示すのは二人以上世帯(一般的には夫婦世帯)における、紙媒体の世帯単位での購入実情(※)。世帯購入頻度以外に購入世帯率、支出金額、そして新聞以外では一人あたりの支出金額も算出する。
・「世帯購入ルートで」一人も新聞を読んでいない(二人以上の)世帯は5割近く。
・雑誌を一人も購入しない世帯は約8/9。購入する人がいる世帯は、月2回近く買い求めている(21.0%÷11.6%≒1.81)。
・一人あたりの雑誌購入金額は66円90銭。通常の週刊誌の価格は200円後半から300円なので(例えば週刊少年ジャンプは税込290円)、平均して月に1冊も買われていない計算になる。4か月でも1冊ぐらい。
新聞は月ベースで契約して配達してもらう以外に、駅売りなどで時々購入しているパターンもある。その場合、家計には把握・算出されない場合が多い(サラリーマンの場合は自分のこづかいで買うため、家計としてのカウントは難しい。「世帯主こづかい(使途不明)」の一部に収められているものと考えられる)。そのため「新聞購入」のみを確認する今件データと比べ、実情はもう少し上乗せされることになる。
今データを見る限り、とりわけ雑誌・週刊誌の購入額・頻度の少なさには、あらためて驚かされる。仮に週刊誌を1誌、毎週購入したとすれば、1か月で1200円程度(上記の週刊少年ジャンプを購入したとして、290円×4週=1160円)。二人以上世帯の構成員に限定されるが、週刊誌を定期購入している人が1人いれば、その人に連動する形で約16人(16.34人)の「1か月間雑誌や週刊誌は何も買わない人」が存在して、ようやく平均値に達する計算になる。
もちろんこれは二人以上世帯のみの話で、趣味への購入性向が強い単身世帯では、もう少し上乗せした値になる。とはいえ、世帯全体において多分を占める二人以上世帯の実情としては、目をそらしたくなる現実でもある。
ここまで雑誌や週刊誌への出費が減っている理由としては、インターネットやモバイル端末の普及による、情報取得元の多様化が挙げられる。移動中における「時間つぶし」のツールが多数用意され、週刊誌や雑誌を選ぶ必要性が薄れたのが大きな要因。通勤時間帯の電車を見回して、どれだけ週刊誌を読んでいる人がいるか、一方でモバイル端末の類を操作している人がいるか、確かめてみれば、その現状がよく分かるだろう。
■関連記事:
【1店舗あたり208万円…コンビニの出版物販売額(全体編)(最新)】
【食品、雑誌、たばこ…コンビニから無くなったら困るものとは?】
※用語解説
「購入世帯率」は純粋に購入者が一人でもいた世帯の割合。1世帯内で複数の人が購入していても、購入世帯としては1件としてカウントする。「世帯購入頻度」は世帯単位での月あたりの購入頻度。例えば特定の世帯において1月中に誰かが2回雑誌を購入すれば、その世帯の世帯購入頻度は200%になる。非購入世帯も含めての計算であることに注意。また今回の検証は2023年2月分であるため、その1か月分のみでの値。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。