【前橋市】店主は医学博士。心が癒される昭和チックな本屋さん
「本が売れない時代」と言われています。街では書店の閉鎖が相次ぎ、全国で書店が1店舗もない自治体は今年3月時点で482市町村。全体の27.7%に上るそうです(出版文化産業振興財団調べ)。
前橋では煥乎堂さんをはじめ、大型書店が現在もしっかり営業してくれていますが、それでも「子どもの頃から通っていた近所の本屋さんが閉店してしまった」という寂しい経験をされた方は多いのではないでしょうか。
「水と緑と詩のまち」から書店を消してはいけません!
そんな中、異彩を放つ書店があります。
中央前橋駅からほど近い「前橋ハレルヤブックセンター」さんです。
お店に入ると本の香りが
お洒落な赤いドアから店内に入ると、漂うのは本の香り。同時に「ああ、昔の本屋さんってこんな感じだったなあ」というノスタルジーな世界感。
思わず遠くを見る目になってしまうのは、私だけでないはずです。
開業は2019年4月。令和の時代になる直前に、しかもこんな昭和チックな雰囲気のある書店を経営されているのはどんな方なのでしょう。
店主は医学博士
店主の福島和子さんにお話をうかがったところ、そのご経歴にビックリです。実は医学博士であり言語聴覚士という意外で凄いキャリアをお持ちでした。
カナダのビクトリア大学大学院で学び、その後は国際基督教大学大学院、群馬大学医学部神経内科の研究生としても10年ほど学んでおられたとのこと。
「中学生くらいだったでしょうか。人間の脳ってどうなってるんだろうと興味を持ち始めたんですね。それで脳について勉強したいと思ったんです」
なるほど。それでカナダの大学まで行かれたわけですね。
「でも私が大学に進んだ頃、脳はまだブラックボックスと言われていて、詳しいことが分かっていませんでした。私は障がい児について学んでいたのですが、脳の働きは行動に影響が出ます。私は脳がどう働けばどう行動するのかを勉強しました」
現在でも依頼があれば子どもたちの言語障害についての勉強会で講師をされたり、認知症セラピーもされているそうです。
最初は病院勤務とかけ持ちだった
それでなぜ本屋さんを?
「言い出したのは夫なんです。もともとミシン屋をやっていて、改装して本屋をやりたいと。私はその頃まだ週に一度、病院の非常勤として働いていました。私は『手伝うくらいならできるよ』と、一年くらいは病院と本屋かけ持ちで働いていました。ところが……」
ところが?
「本屋を本格的にやった方がいい、それには私が中心になってやった方がいいと感じるようになったんです。それで本屋に専念することを決めました。私自身も以前、認知に関する本を何冊か出していますし、本が好きだったこともありますね」
それで店主になられて今に至るわけですね。お店の品揃えはどんな感じなのでしょう。
前橋にはない専門書店
「聖書に関する本、人生や将来に悩んでいる人にお読みいただきたい本が中心です。こういう専門書店って前橋には他にないと思います」
それでも本が売れない時代ですから正直大変ではないですか?
「お客様や応援してくださる皆さんに助けられながら楽しく、感謝を込めてやっています。もちろん本をお買い求めくださるお客様はいますが、どこからか私の噂を聞きつけて認知症や言語障害のことを相談に来られる方もいます。大歓迎ですし喜んでお話しさせていただきますよ。とにかくお店に来てくださることが嬉しいんです」
今どき珍しい、コミュニケーションのある本屋さんというわけですね。
しかし書店なのに、本が目的でないお客様を歓迎するお店って......(汗)
本自体、今の時代はいつでもネットで購入できます。でも、根っからの本好きって本屋さんで本を手に取りながら探したり選んだりすることが楽しいんですよね。
そして、お店の店員さんといろんなお話をすることも楽しみ!
「ぜひぜひ、気軽にお立ち寄りください」と、福島さんからの伝言です。
福島さんとお話するだけでも、何かいいことありそうですね。
前橋ハレルヤブックセンター
住所:群馬県前橋市城東町2-5-3
アクセス: 上毛電鉄 中央前橋駅から徒歩3分
営業時間:営業時間 11:00~17:00
定休日:日曜・水曜・祝日
駐車場:4台あり