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【前橋市】三島由紀夫作品を県内外のベテラン役者が演じる。演出するのは前橋文学館の萩原朔美特別館長。

高井透ライター(前橋市)

三島由紀夫の『近代能楽集』を前橋で上演

日本が世界に誇る文豪、三島由紀夫。

その三島が古典文学の永遠のテーマを現代的な視点から探求している『近代能楽集』という作品集があります。

つまり能の謡曲を近代劇風にアレンジした作品集になっており、中でも人気が高く、日本にとどまらず海外でも度々上演されているのが

「葵上(あおいのうえ)」と「弱法師(よろぼし)」の二作品。

11月24日(日)、なんと前橋文学館でその二作品が上演されるのです!

演じるのは県内外で活躍する役者さんたち。

演じるといっても舞台上で役者さんが立ち回るわけではなく、今回の上演はリーディングシアター。つまり朗読劇です。

稽古中の風景(撮影:前橋文学館)
稽古中の風景(撮影:前橋文学館)

なぜ、リーディングシアターなのか?

演出を担当される前橋文学館特別館長の萩原朔美さんはおっしゃいます。

「セリフを大事にした三島の書いた戯曲は、劇的な演劇として上演するのではなく、リーディングシアターのほうが向いていると判断しました。ラジオドラマのように聴くだけで意味が分かり、三島文学が味わえる朗読劇になっていますので、三島さんも喜んでくれると思います」

演出の萩原朔美さん(撮影:前橋文学館)
演出の萩原朔美さん(撮影:前橋文学館)

今回の企画は、前橋文学館リーディングシアターvol.24、特別企画展 「現在(いま)を編集する―月刊「新潮」創刊120周年記念展」 関連イベントとして開催されます。

豪華出演陣!

演じる役者さんたちも豪華です。

県内を中心に活動されている役者さんでは、前橋文学館リーディングシアターvol.01から制作・出演されている中村ひろみさんや、リーディングシアターのみならず朔太郎忌の脚本・演出、また出演もされた生方保光さんをはじめとした、県内で20~30年活動し、前橋文学館「演劇部門」の常連ともいえるベテランの役者さんたちが出演されます。

また今回は県外からも、俳優兼振付家として小劇場から広くエンターテイメント界で活躍中の中林舞さんが前橋文学館初登場。

大竹直さん(群馬県邑楽町出身)は本年夏の『イエスタデイ』(清水邦夫作・加藤真史脚色/演出)に続いて、二度目の前橋文学館リーディングシアター登場ですが、東京で活躍の傍ら、東毛地域を中心に県内の演劇振興にも携わってらっしゃいます。

稽古中の萩原さんのデスク。萩原さんは何処へ?
稽古中の萩原さんのデスク。萩原さんは何処へ?

三島由紀夫の深くて不思議な世界観がそこにはある

私も何度か朗読劇を観覧したことがあるのですが、役者さんはただ本に書かれているセリフを読むだけではありません。むしろ一般的な演劇よりも一つひとつのセリフをしっかりと、情感込めて語る姿に心を打たれます。独特の雰囲気がありますし、キャリアを積んだベテランの役者さんでなければ成立しないのではないか、そんなことも思いました。

今回は三島作品です。リアリズムを重視する近代劇では表現しきれない人間の内面や精神性、そして普遍的な問題を象徴的に描き出しています。

三島由紀夫の不思議な世界観と、ベテラン役者勢渾身のリーディングシアター。

前橋の演劇史に新たな足跡を残すような上演になりそうです。

特別企画展 「現在(いま)を編集する―月刊「新潮」創刊120周年記念展」 関連イベント 三島由紀夫作『近代能楽集』より 「葵上」「弱法師」

(前橋文学館リーディングシアターvol.24)

会場:前橋文学館3階ホール

観覧料:1演目券500円(当日展示観覧券付)

2演目券1000円(当日&~1/26展示観覧券付)

定員:100人

主催・お問合せ:前橋文学館 027-235-8011

ライター(前橋市)

前橋在住のおじさんライター。ブックライティングを中心に出版アドバイス、WEBライティングをしています。他には自分史講座の講師も少々。「水と緑と詩(うた)のまちまえばし」の魅力をどんどん発信していきます!

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