日本人初のランジェリー・フットボール選手が誕生!
下着風のユニフォームを身にまとった女性たちがアメリカンフットボールをプレーすることで注目を集めたランジェリー・フットボール・リーグ(LFL)。
アメリカで絶大な人気を誇るNFLの王者決定戦、スーパーボウルのハーフタイムショー中に有料チャンネルで裏番組として初めて放送されたのは2004年のことだった。それから3年間は、スーパーボウルのハーフタイムショーにぶつける裏番組として、年に1回の試合が行われたが、2009年には10チームによるリーグが結成された。
2013年にはLFLの略称はそのまま残しながらリーグ名をレジェンズ・フットボール・リーグに改名したが、未だにレジェンズ・フットボールよりもランジェリー・フットボールとして認識している人の方が多い。
リーグ結成当初は女性のお色気を売り物にしていたLFLだが、プレーする選手たちの身体能力の高さは本物だ。学生時代に陸上、バスケットボール、サッカーなどで活躍していた選手たちばかりで、フィールド上では白熱あるプレーが繰り広げられる。
今季はLFLにとって10度目の記念すべきシーズンだが、待望の日本人選手が誕生した。
2010年にはアメリカの女子アメリカンフットボール界で本物のレジェンドとして知られる鈴木“ベティ”弘子がトライアウトには合格したが、契約条件が合わずに入団を拒否している。
アメリカの女子アメフト界で20年近くも現役選手としてプレーする鈴木は、2016年にパシフィック・ウォリアーズのオーナー兼選手に就任。その年にウォリアーズに加わったのが、アメフト未経験者の濱口芙由紀だった。
日本では小学生のときからバスケットボールで活躍したスポーツ少女で、鋭いボール勘を誇っていた。そのセンスは初挑戦したアメフトでもすぐに開花して、アメフト2年目の2017シーズンにはワイドレシーバー(WR)としてリーグのオールスターにも選ばれた。
昨季まで濱口がプレーしていたのはNFLと同じ11人制の女子アメフトだが、今季からプレーするLFLは7人制。
LFLには8チームが所属しているが、各チームのロースターは20選手しかいない狭き門だ。
昨年12月に行われた入団テストには約50名が参加。激しいテストをくぐり抜けて10人がテストに合格したが、本当の勝負はここから始まる。この時点でテストを合格した11人は、昨季のロースター選手と合流して2ヶ月間のトレーニングキャンプに突入。今季の20人登録枠を目指して、熾烈なサバイバルゲームが行われた。
「自分の働き場所を奪われることを危惧して、ライバル心を剥き出しにしたベテラン選手から激しいタックルを何度も受けましたが、キャンプが進むに連れて、徐々に認められていきました」
トレーニングキャンプでの働きぶりが高い評価を得た濱口は、見事に20人のロースター枠を獲得。
3月上旬にはチーム、リーグと正式契約を交わして、晴れて日本人初のランジェリー・フットボール選手となった。
「チームと契約を済ませて、ようやく本当の意味でチームの一員となれました。チームメートからも受け入れられ、加入を歓迎してくれました」
LFLの公式ツイッター・アカウントで発表されたロサンゼルス・テンプテーションの2019年シーズンのロースター。日本人初のLFL選手となった濱口は、10番WRとして登録された。
LFLが結成された2009シーズンからリーグに加盟するテンプテーションは、リーグ初年度から生き残っている3チームの中の1つ。リーグ初年度から3連覇を果たしたが、近年は成績が低迷している。
濱口のLFLデビュー戦は、4月5日(日本時間6日)にロサンゼルス近郊のオンタリオにあるシチズン・ビジネス・バンク・アリーナで行われるシアトル・ミストとの今季開幕戦となる予定だ。