自転車のまちづくりを進めるオスロに賞
北欧の大都市では、自動車よりも自転車が魅力的な交通手段となるまちづくりが進んでいる。「自転車の街」として有名なデンマークの首都コペンハーゲンの後を追うのがノルウェーの首都オスロだ。
13日、オランダで開催中の自転車の国際会議「ヴェロ・シティ2017」で、「デンマーク自転車大使館」よりオスロに「サイクリング・プロモーションにおけるリーダーシップ賞2017」が授与された。
オスロはつい最近も、「欧州で最もグリーンな都市」に選ばれたばかり。
評価されたのは、一般車を首都中心部から減らすためのカーフリー計画、市議会による野心的な目標、今後数年間に実行が計画される自転車乗りを増やすための様々な取り組みだ。
(実際に達成されるかは別の話だが)野心的な政治家たちの目標や勇気、イノベーションに溢れたアイデアなど、その姿勢が評価された。
車よりも他の手段で移動しよう、シティバイク制度
オスロでは、市民に自転車を貸し出す「シティ・バイク」制度も健闘している。スマートフォンのアプリがあればすぐに借りることができ、デジタル化されたサービスは、市民からのフィードバックをもとに頻繁にサービスが改善されている。
路面電車やバスなどを使わずに、短距離の移動にシティバイクを利用する人が増えており、人々が乗る時間は平均8分43秒と短い。車以外の交通手段を市民が選びやすくするための対策に、シティバイクは貢献している。
2017年にオスロ市民がシティバイクを利用した移動回数はすでに83万回以上。
デンマークの首都コペンハーゲンでのシティバイクの年内利用回数28万9千回を超えている。
オスロの関係者はコペンハーゲンの記録を超えていることを誇りに思っているが、コペンハーゲンのほうが自転車道の整備は圧倒的にリードしており、レンタルではなく私物の自転車を使う市民が多い。
オスロは電気自転車の街へ?
オスロは坂道が多いため、普通の自転車よりも電気自転車のほうが移動が楽な場合がある。しかし、電気自転車は金銭的な負担も大きい。
市議会は電気自転車や、荷物を運ぶ電気自転車カーゴバイクの購入者への補助金制度などを導入。
電気自動車への優遇政策が浸透しているノルウェー。一方、電気自転車への優遇政策は一般的ではなかったため、反対勢力からは批判も浴びた。
電気自動車協会によると、電気自転車の売り上げは増加しており、2015年には2万2千台売れ、2016年には3万5千台を記録した。
これまでの交通政策の常識を打ち破るようなオスロ市議会行政部の取り組みは、国内では批判も多く浴びている。しかし、今や選挙では、各政党が自転車政策にどれほど力を注ぐかが票に影響を与えるようになった。
車よりも他の交通手段が魅力的な街となるように、議論を重ねながら政治家たちの取り組みは続いている。
Photo&Text: Asaki Abumi