『オーネット』など広告10本に出演中の君島光輝。さわやかさの裏で“脱ネガティブ”を図る27歳の素顔
結婚相談所『オーネット』のCMで「趣味は野球観戦で……」と自己紹介している君島光輝。他にも最近流れ始めたモスバーガー『フォカッチャサンド馬蹄形ソーセージ&グランピングソース』など、Webと合わせ計8本のCMに出演中。さらにポスター系の広告も2本。この2年で契約期間が終わったものを含めると計15本を数え、顔を知られてきた。すべてオーディションで選ばれたという。現在27歳の彼女のCM映えはどこから来ているのか? 素顔から探ってみた。
ウェディングドレスをたくさん試着できました
「『オーネット』のCMが流れ始めた頃、反響はありました。『あれ光輝じゃない?』という連絡が来たり、ウェディングドレスを着ているので『結婚しちゃったね』と言われたり(笑)。フィッティングのとき、自分が本当に結婚式を挙げるとしても、こんなにたくさん試着できないと思うくらい、たくさんドレスを着させていただいたうえ、自分が一番好きだったものを使ってもらえたんです!」
撮影の思い出を何とも楽しげに語る君島。CMそのまま、ハツラツとして明るい印象だ。
「オーディションでは『趣味は野球観戦で、イタリアンというより中華が好きかな』からの台詞を言ったんですけど、サラッと流されて終わった感じで『たぶん落ちたな』と思いました。そしたら2次、3次と呼んでいただいて、最終的に決まってビックリ(笑)。どこが良かったのか、聞くと意識しちゃいそうなので、聞かないことにしました」
CMでの台詞に関して、君島自身は「私は野球もサッカーも観戦して、イタリアンも中華も好きです(笑)。でも、『2人で飼うなら猫より犬』は自分も同じです」という。実際、彼女のツイッターでも、ヘッダー画像は愛犬・ハムの写真が使われている。
撮影で気づいたらハンバーガーを5個分食べていて
今年5月から放送の池田模範堂『アセムヒEX』のCMでは、しかめっ面で汗かぶれをかくところから一転、スッキリした笑顔を見せている。
「オーディションでは『本当にかかなくていい』と言われたんですけど、私も敏感肌で夏はかゆくなるのを思い出して、入り込んでかきまくってしまって。家に帰って鏡を見たら、首が真っ赤っ赤(笑)。『やっちゃった!』と思いました」
本番の撮影では、その首をかくシーンは何パターンも撮ったそう。
「10パターンくらい撮ったかな。すごくかゆそうなバージョンとか、お上品にかくバージョンとか。自分でも完成してから『これが良かったんだ』と思いました。一度『しかめっ面すぎる』と言われて(笑)、ちょっと抑えたのが使われたみたいです」
最近流れ始めたのが、モスバーガーの新商品『フォカッチャサンド馬蹄形ソーセージ&グランピングソース』。本格的な食品のCMは初めてだった。
「撮影中、毎カット食べていました(笑)。おいしかったので、トータルで5個分くらい食べたと思います。あとで、みんなが『お腹すいたね』と言う時間になっても、私はすいてなくて、『撮影であれだけ食べたからな』と得した気分でした(笑)」
気負わなくなったらオーディションに受かるように
こうしたCMは、すべてオーディションからキャスティングされたもの。この1年半で急に受かることが多くなったという。
「10代の頃は『受かりにいくぞ!』と気負っていましたけど、いろいろな方とお話しさせていただいて、『受かるかどうかは、その人が良かったかダメだったかでなく、ハマるかハマらないかだから』と言われたんです。それをきっかけに、気負わずオーディションを楽しむようになったのが、大きいのかなと思います」
客観的には、どのCMでも君島のさわやかな笑顔が目を引く。さらに、『オーネット』のように台詞があると、張りがありつつ柔らかい声も印象に残る。
「自分で笑顔が売りだと思ったことはないですけど、『さわやかだね』と言っていただけることは増えました。声も意識はしていませんけど、電話とかでよく特徴的だと言われます」
自分で意外だった商品のCMが決まったことも?
「マウスピース用洗浄剤の『ポリデントデンタルラボ』の動画に受かって、私って清潔感があるんだなと嬉しくなりました(笑)。“矯正女子会”ということで、現場では楽屋でもセットチェンジの合間も、『どこのパフェがおいしい』とか『うちで飼ってるプードルがかわいい』とか、そんな話でずっと盛り上がっていて。その雰囲気が自然とCMにも出せたと思います」
疲れて座っていた地下鉄のホームでスカウト
君島は東京生まれだが、鹿児島、三重と引っ越しが続いた。高校に進学する際に東京に戻り、若槻千夏、菜々緒、トリンドル玲奈らが所属するプラチナムプロダクションにスカウトされた。
「スカウトというと原宿の竹下通りとかが多いと思いますけど、私は地下鉄の明治神宮前駅のホームでした。東京に来たばかりの頃、友だちと原宿で遊んだ帰りで、たくさん歩いて人の多さにも慣れてなくて、疲れてしまったんです。ベンチにしゃがみこんでいたら、具合悪そうに見えたみたいで、マネージャーさんが『大丈夫ですか?』と声を掛けてくれて。顔を上げて『大丈夫です』と言ったら、『あっ。良かったら、うちの事務所にどう?』と言われたのがきっかけでした(笑)」
自分でも小さい頃から、芸能界に憧れは持っていた。
「3歳の頃から、ずっと『テレビに出たい』と言ってました。家族にカメラを向けられると、歌ったり踊ったりしていて。きっかけはアニメの『(美少女戦士)セーラームーン』。テレビ画面でしか会えなくて、みんなに好かれる人になりたかったんです。スカウトされた頃は現実的に『私なんかに芸能界は難しい』と考えて、英語の先生か保育士も選択肢にしてましたけど、お声を掛けていただいたので『やる!』と決めました」
映画は良いところを巻き戻しながら観ます
2012年にアイドルグループのメンバーとしてデビュー。本人は元から女優志望で、3年の活動を経て卒業してからは、多くの舞台やドラマなどに出演してきた。
「母親が女優になりたかった人で、小さい頃から『光輝は女優になれたらいいね』と言われていたのが、ずっと頭の片隅にありました。それと、ドラマの『1リットルの涙』を観て、自分の人生とまったく関係ない人物の物語にこんなに泣けるのは素敵だなと。私も発信する側になりたいと思いました」
今も趣味に“観劇・映画鑑賞”を挙げ、サブスクで多くの作品を観ているという。
「最近また観て、やっぱりいいなと思ったのが『ユリゴコロ』です。人間くささが出ていて、モヤッとしたものが心の中に残る終わり方も好きです。『スーパーナチュラル』はすごく楽しくて、観始まると止まりませんでした。韓国映画の『君の誕生日』は表現方法が日本と違っていて、グッとくるポイントもあって良かったです」
ただ楽しむだけでなく、女優らしい見方もしている。
「台詞やシーンやカメラアングルが良かったと思ったら、何回も何回も巻き戻して観るんです。2時間の映画を観るのに3時間かかります(笑)。もし私がこのアングルで撮ってもらえたら、間をマネしたいとか、こういうふうにしたらきれいに映るとか、ノートに書いていて。カメラマンさんはもちろんきれいに撮ってくださいますけど、こちらからも提示し合えたら、より良いものが作れると思うんです」
田原俊彦さんとのラジオは両親が大喜びでした
今年6月からは、田原俊彦のインターネットラジオ『DOUBLE T リラックスタイム16』でアシスタントを務めている。
「田原さんは大スターのイメージでしたね。このお仕事が決まったとき、私よりも両親が『本当に!?』って、すごく喜んでました(笑)。田原さんは気さくな方で、私の緊張を解くようにお話しいただいて、私も根がおしゃべりなので楽しくやらせていただいてます」
明るくトークを弾ませているが、『ザ・ベストテン』などテレビ黄金時代の歌番組がテーマになったり、田原から「飛びます飛びます」などと昭和ネタを振られたりも。
「知らないものは『知りません』と素直に言ってます(笑)。でも、昔のヒット曲は最近のテレビでも名場面として流れたりするので、『それ聴いたことあります』ということも多くて」
ツイッターでは、「最近ふと、人との会話の中にヒントを見つける事が多い」と書いていたことがあった。
「年齢が上の方は人生経験が豊富で、ポロッと出た言葉に背中を押されることが多いです。映画に出させていただいたとき、監督さんが『眠いけど、やらなきゃいけないから頑張ろう』と何気なくおっしゃって。『こんなすごい方でも、そういうことを考えているんだ。私も眠いとか言ってられない』と、火がつきました。名言とかより、軽いニュアンスのほうが響くと思います」
「脂が乗ったね」と言われる女優になれたら
自分の性格については「昔はすごくネガティブ気質でした」と話す。
「すぐ落ち込んだり、気にしたり、自分が言ったことで『あの人はイヤな想いをしてないかな』と寝られなくなったりも、よくしてました。でも、友だちから『昨日、光輝にあんなことを言っちゃって眠れなかった。ごめん』と謝られたとき、私は何も気にしてなくて爆睡していたんですよ(笑)。逆のパターンで、相手は気にしてないことも多いのかなと気づけました」
明るく活発に見えて、根本的には繊細なよう。ネガティブな頃は、この仕事をやめようと思ったことも?
「向いてない、もうやめようと思ったことはありますけど、本気だったかというと、たぶん構ってほしかったんでしょうね(笑)。そういうときは求人サイトを見て、『イタリアンのお店で働くのもいいな』とか思うんですけど、パッとテレビを観ると『やっぱりここに出たい』という気持ちになります。結局、この仕事が大好きなんですね。今はネガティブな時間を減らして、自分も周りの人も楽しくなるように生きていきたいです」
CM出演が続くのを足掛かりに、目指してきた女優の仕事にも「全力ダッシュで頑張っていきます!」と意欲を燃やす。5年後、10年後に向けた展望もあるだろうか?
「『脂が乗ったね』と言われる女優になれたらいいなと思います(笑)。人生経験もちょっとは積んで、恥とかも全部捨てるお仕事もしていたいです。もちろんCMも10社、20社、30社と増やして(笑)、求められることには全部応えていきます!」
Profile
君島光輝(きみじま・みつき)
1994年8月10日生まれ、東京都出身。
スカウトから2012年にデビュー。2019年より『オーネット』CMに出演。他に、池田模範堂『アセムヒEX』、ポリデント『デンタルラボ』、モスバーガー『フォカッチャサンド馬蹄形ソーセージ&グランピングソース』、ベルジャパン『KIRI』などのCMに出演中。ドラマ『スイートリベンジ』、『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』、『サイレーンの懺悔』、舞台『遙かなる時空の中で5 風花記』、『夢色キャスト』などに出演。インターネットラジオ『田原俊彦 DOUBLE T リラックスタイム16』でアシスタント。