保護した猫の目が痛々しい症状… それって、飼い主にも感染の可能性がある病気かも?
子猫が産まれるシーズンになっています。猫の保護活動をしている知人から子猫の写真が送られてきました。このような子猫の目ヤニは、よくある症状です。その場合、科学的に正しい知識を持っていないと飼い主が感染する可能性もあります。その辺りも今回、解説をしましょう。
子猫の目が開いていないけれど、大丈夫?
子猫を保護したけれど「目が開いていないの」という知人からのメールが届きました。こういうケースは「子猫なので、まだ目が開いていないのかな?」と思わず、すぐに、動物病院に連れていってくださいね(子猫の目は生後4~13日ぐらいでだんだんと開きます。はっきり見えていないですが、目がずっと閉じているということはないので、注意してください)。
子猫の目が閉じている原因
子猫の目が閉じている原因は、以下のようなものです。
・猫クラミジア感染症
・猫ウイルル性鼻気管炎猫(猫ヘルペスウイルスFHV)
・猫カリシウイルス感染症(FCV)
・他の細菌感染
このような病気がありますので、かかりつけ医と相談し適切な治療をしてくださいね。
目を閉じているのを放置すると失明の危険も
目は、寝ているとき以外は開いていないと、失明の原因にもなります。
角膜が濁り、角膜潰瘍になったりもするので、将来的に失明してしまう可能性もありますので、様子を見ていないですぐに動物病院にいってくださいね。
飼い主にうつる可能性があるクラミジアとは
猫のクラミジアが人にも感染するので、まずは、猫から感染する人のクラミジア症を説明します。
人のクラミジアの症状とは
人のクラミジア感染症といえば、性感染症が一般的ですが、今回、お話するのは、猫からかかるクラミジア症で、人畜共通感染症です。猫のクラミジア症が感染した場合は、多くは、結膜炎になります。人の場合は、初期の診断が大変難しい病気です。以前、猫がクラミジア症になっていて、飼い主が結膜炎になり、眼科に行きましたが、なかなか治らず、眼科で飼い主が、「猫のクラミジア症だ」と伝えてやっと飼い主が治ったことがありました。
(人の症状)
・まぶたがはれ、結膜が充血
・目ヤニが出始めます。
(人のクラミジア結膜炎の治療)
抗生物質を含んだ点眼薬や眼軟膏と内服薬を医師の指示に従い使用します。
感染した場合は、すぐに、医師の診察、検査を受け、適切な処置と治療をしっかりと受けて、完治するようにしてください。
猫
(原因)
クラミジア(細菌やウイルスでもない病原体)
母子感染(母猫から感染)
飛沫感染(咳やくしゃみなどの飛沫から感染)
接触感染(グルーミングなどでクラミジアを持っている猫から感染)
(症状)
クラミジアが目や鼻の粘膜の炎症を起こします。
目ヤニなどを伴う結膜炎を発症します。
クラミジア単独でなることは、少なく猫ウイルス性鼻気管炎猫や猫カリシウイルス感染症と同時に感染することが多いです。
(治療)
抗生物質の投与です。約4週間継続して投与します。子猫の時期は、母体免疫が切れる時期なので、薬が効きにくいこともありますので、その場合は、栄養価の高いフードをしっかり与えて免疫があがる治療も並行してやりましょう。
(予防)
ワクチンを接種すれば予防できます。5種混合ワクチン、7種混合ワクチンが猫クラミジア感染症をカバーしています。全てのワクチンに、クラミジア感染症がカバーされていないので、注意してくださいね。
まとめ
猫クラミジア感染症は人獣共通感染症です。感染の疑いのある子猫の世話をした後は、必ず手を洗うようにしましょう。猫のクラミジア症が人に感染することは、そう多くないですが、注意が必要ですね。どんな病気が、人畜共通感染症かをしっかり勉強しましょう。人も猫も健康な生活を望んでいます。