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打率2位と3位の選手たち。複数のシーズンでトップ3に入りながら一度も「首位打者」になれなかったのは

宇根夏樹ベースボール・ライター
今江敏晃 MARCH 13, 2008(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 昨シーズン、セ・リーグの首位打者は鈴木誠也(広島東洋カープ)が獲得し、2位にはダヤン・ビシエド(中日ドラゴンズ)、3位には糸井嘉男(阪神タイガース)が位置した。3人とも、打率トップ3に入るのは初めてのことではなく、ビシエドと糸井も、過去に首位打者となったことがある(糸井はパ・リーグで獲得)。

 一方、複数のシーズンで打率トップ3にランクインしながら、首位打者のタイトルを手にできなかった選手もいる。その人数は、これから首位打者となるかもしれない現役選手を除き、35人を数える。昨シーズンまでプレーしていた選手では、今江敏晃/年晶がそう。2010年の打率.331は、西岡剛(.346)と田中賢介(.335)に次ぐパ・リーグ3位。2013年の打率.325は、長谷川勇也(.341)に次ぐパ・リーグ2位だ。

 先月、「打率3割5分以上で「首位打者」を逃した選手たち。違う年に獲得した選手もいるが…」で書いた、田尾安志もその一人。また、セ・リーグ2位が2度の前田智徳は、1994年(.321)と1998年(.335)のどちらも、首位打者との差は3厘未満だった。

 打率トップ3が3度以上あり、首位打者は皆無という選手も6人いる。シルバー・コレクターではないが、近藤和彦は「ミスター打率2位」、葛城隆雄は「ミスター打率3位」といった感もある。

筆者作成
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 この6人の首位打者を「阻んだ」顔ぶれを見ると、目につくのは、首位打者7度の張本勲と6度の長嶋茂雄だ。1973年のパ・リーグでも、張本は土井正博のすぐ上の2位にいた。ちなみに、イチローが7年続けて首位打者を獲得した1994~2000年のパ・リーグ2位は、カズ山本(山本和範)、堀幸一片岡篤史フィル・クラーク平井光親松井稼頭央シャーマン・オバンドー、3位は、石井浩郎フリオ・フランコ、堀、鈴木健、クラーク、城島健司小笠原道大だった。この12人中、平井は1991年、小笠原は2002~03年に、両選手ともパ・リーグの首位打者を獲得。フランコもテキサス・レンジャーズ時代の1991年に、ア・リーグで首位打者のタイトルを手にした。

 なお、首位打者になったことがなく、打率トップ3が2度の現役選手は、中島宏之(現・読売ジャイアンツ/2008、2010年パ2位)、山田哲人(東京ヤクルトスワローズ/2014年セ3位、2015年セ2位)、筒香嘉智(現タンパベイ・レイズ/2015、2016年セ3位)、大島洋平(中日/2012、2017年セ3位)、近藤健介(北海道日本ハムファイターズ/2015、2018年パ3位)だ。この5人のうち、昨シーズンのトップ10入りは2人。大島(.312)はセ・リーグ4位、近藤(.302)はパ・リーグ6位に位置した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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