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台風上陸ゼロ 10月の台風は?

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
2019年10月の台風19号では1都12県に大雨特別警報が出された(著者作成)

 例年は9月までに台風が約2個上陸するが、今年はゼロ。10月に上陸した台風は平均して4年~5年に1個の割合で、2000年以降、すべて強い勢力だった。さらに、10月は台風が東日本に近づきやすい特徴もある。

9月まで上陸ゼロは11年ぶり

 今年は台風10号を含めて5個の台風が日本に接近しました。しかし、上陸した台風はありません(9月19日現在)。この時期まで台風が上陸しないのは2009年以来11年ぶりのことです。

 上陸は台風の中心が九州、四国、本州、北海道の海岸線に達した場合を言い、小さい島や半島を横切り、短い時間で海に出てしまう場合は通過とします。そのため、沖縄は上陸ではなく、通過です。

 9月まで台風が上陸しなかった年は少なく、1951年以降ではここに示した6年だけです。

9月まで台風が上陸しなかった年をまとめた表(1951年~2019年:著者作成)
9月まで台風が上陸しなかった年をまとめた表(1951年~2019年:著者作成)

 そのうちの4年(2008年、2000年、1986年、1984年)は一年を通して上陸がありませんでした。

10月に上陸した台風はどのくらいあるのでしょう

 1951年以降、平均すると4年~5年に1個の割合で台風が上陸しています。1955年、2004年、2014年は2個上陸しました。

10月に上陸した台風の数を年別にグラフにしたもの(1951年~2019年:著者作成)
10月に上陸した台風の数を年別にグラフにしたもの(1951年~2019年:著者作成)

 これを10年ごとにまとめてみると、1950年代は4個、その後は少なくなり、2000年代以降は再び4個です。

10月に上陸した台風の数を10年ごとにまとめたもの(1951年~2019年:著者作成)
10月に上陸した台風の数を10年ごとにまとめたもの(1951年~2019年:著者作成)

 これだけで増えているとは言えないけれど、2000年以降、8個すべてが強い勢力で上陸しています。10月も台風の影響が大きいように感じるのはこのせいかもしれません。

10月は東日本に近づきやすい

 台風が進むコースは季節によって違いがあります。8月・9月は九州や四国に近づく台風が多い一方で、10月は東日本に近づく台風が増えます。それは今年の台風10号と2019年10月の台風19号のコースを比べるとわかります。

台風のコースと太平洋高気圧を示した図(上図は2020年台風10号、下図は2019年台風19号:著者作成)
台風のコースと太平洋高気圧を示した図(上図は2020年台風10号、下図は2019年台風19号:著者作成)

 夏は太平洋高気圧が日本列島を覆うため、台風は沖縄から西日本に近づくコースを取りやすくなります。一方、10月になると、太平洋高気圧は徐々に日本列島から退き、台風は東日本に近づくコースを進みやすくなるのです。

台風はいつまで?

 今年、発生した台風は9月19日現在、11個です。例年、この時期には19個くらい台風が発生しているので、今年は少ない。このあとも次々と発生するのでしょうか。

 最新の1か月予報によると、来月前半(10月3日~16日)は南シナ海やフィリピンの北で対流活動が活発になる予想です。これを示したのがこちらの予想図です。

200hPa速度ポテンシャル図(気象庁ホームページより)
200hPa速度ポテンシャル図(気象庁ホームページより)

 200hPa速度ポテンシャル図と言って、熱帯域の対流活動をみたものです。寒色は上層で平年より発散が強く、雲が活発に発生することを示しています。5日以上先になると、台風を直接、予想することはできませんが、台風が発生する海域の状況から(間接的に)台風の見通しを立てるのです。

 9月20日午前、日本の南には熱帯低気圧があります。来月前半にかけても台風が発生しやすい状況が続くとみられ、台風シーズンの終わりはまだ先になりそうです。

【参考資料】

気象庁ホームページ:過去の台風資料

気象庁:全般季節予報支援資料 1か月予報(9月19日~10月18日)、2020年9月17日発表

気象庁ホームページ:Tokyo Climate Center、JMA's Ensemble Prediction System、One-month Prediction

【訂正】9月20日17時50分

「この時期まで台風が上陸しないのは2009年以来10年ぶりのこと」と書きましたが、正しくは「11年ぶり」です。

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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