井上尚弥の未来のライバル? 五輪2大会連続金メダル キューバの至宝ロベイシー・ラミレスがプロデビュー
ロベイシー・ラミレス(キューバ)
1993年12月20日生まれ 25歳
キューバのトップアマとして活躍し、2012年のロンドン五輪ではフライ級、2016年のリオ五輪ではバンタム級で金メダル獲得。その過程でタグ・ニャンバヤル(モンゴル)、シャクール・スティーブンソン(アメリカ)、マイケル・コンラン(イギリス)といった多くの強豪を破った。その後に亡命し、プロ入りに向けてトップランクと契約。8月10日にフィラデルフィアのリアコーラスセンターでアダン・ゴンサレス(アメリカ)とデビュー戦を行う。プロではフェザー級で戦う予定という。
アマ王者がプロの栄光を求めて亡命
ーーいよいよ今週末にプロデビューですね。
RR : 2日後、自分のスキルを披露できるのが楽しみです。ウェイトも問題なく、昨日の時点で125.5パウンドでした。もうあとは戦うだけです。
ーーデビュー戦を前に「スポーツ・イラストレイテッド」誌にあなたのスリリングな亡命の過程をレポートした記事が出て、反響はかなりあったんじゃないですか?
RR : アメリカでファンベースを築いていく上で、ああいった詳細なストーリーで経歴を知ってもらえることは助けになると思います。ただ、だからといって私がやるべきことは変わりません。プロボクサーとして向上し、実際にリング上で結果を出さなければいけない。記事が話題になったのは良かったですが、証明しなければいけないことはたくさんあります。
ーーただ、あのような経験を味わうと、以降は何事も恐れることはなく、ボクシングをより大切に感じ、ボクサーとしてのキャリアにも助けになるのではないかと感じました。
RR : 亡命を目指している過程はとてもストレスフルな時間でした。フィジカル面で得るものはありませんでしたが、1人でいる時間が非常に長く、親しい人たちからも離れ、自分自身がどういう人間かを省みる機会になりました。ある意味、私という人間を変えた経験だったと思います。付け加えると、アメリカでプロになり、ボクサーとしてのメンタリティも変わりました。キューバではアマチュアファイターとして国やチームメイトのために戦っていましたが、重圧もあり、モチベーションを保つのが難しいことも多かった。それが今、アメリカで自分とその家族の明るい未来のために戦うことになります。すべての経験を経て、これからはよりボクシングに集中できると思っています。
ーープロではファンを喜ばせることが重要になりますが、キューバ出身選手は必ずしも攻撃的な選手ばかりではありません。KOは常に意識して戦うつもりですか?
RR : ノックアウトだけを追い求めるつもりはないですが、対戦相手を可能な限り弱らせ、具体的にはボディ打ちを積極的に取り入れようと考えています。相手が疲弊したと感じたら、攻撃を強め、KOを目指すでしょう。とにかく重要なのは相手にダメージを与えること。その結果としてKOできれば素晴らしく、判定になるにしろ、明白な形で勝てるように心がけていきます。
井上の試合は「見ていない」
ーー現在はどこに住んで、どんな生活をしているのでしょうか?
RR : フロリダ州のセントピーターズバーグに住み、ボクシングに集中しています。日々、トレーニングだけで、他には何もしていません。
ーー亡命に成功してプロボクサーとしての名誉を追い求めることができるようになった代償として、家族には逢えなくなりました。母国のことを考えたり、家族を恋しく思うことは頻繁にありますか?
RR : もちろんです。いつも家族のことを考えています。
ーーどのくらい頻繁に試合をこなしていきたいですか?
RR : トップランクが試合を組んでくれる限り、いつでも、どこでも戦います。私は仕事をこなすためにアメリカに来たんです。健康さえ保てれば、多くの試合をこなして素晴らしいキャリアを築き上げていきたいです。
ーーいずれ井上尚弥(大橋)がフェザー級まで上がり、あなたのライバルになるのではないかと一部から期待されています。井上の印象を話してもらえますか?
RR : 井上に関しては多くの評判を聞いています。スキルとパワーがあって、とても強い選手であることはもちろん知っています。ただ、実はまだ彼の試合をフルに見たことはありません。普段の私はボクシングはほとんど見ないんですよ。自分が試合をするだけで十分で、対戦相手の映像もあまり見ませんでした。サッカーを見る方が好きなんです(笑)
ーー(笑)。そんなあなたもアマ時代からのライバルで、リオ五輪の決勝で下したシャクール・スティーブンソンの試合は見てきたのではないでしょうか。プロ転向後の彼の成長振りをどう思いますか?
RR : 彼の試合もハイライトしか見てません。ハイライト映像からでも、すでにワールドクラスのトップファイターに成長していることはわかります。いずれ時が来れば、再び戦うことになるのでしょう。その時には私の方も準備ができているはずです。アマチュア時代も映像で彼の研究などすることはなく、それでも勝ったのは私の方でした。