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死角なし? アウディの新型TTを走らせた。

河口まなぶ自動車ジャーナリスト

3代目となるアウディTTは、欠点を見つけることが難しいほど完成度の高いスポーツカーだ。

1998年に登場した初代モデルでは、現代の自動車デザインにおけるアウディの存在感を一躍世に知らしめ、2006年に登場した2代目ではアルミとスチールのハイブリッドボディをいち早く採用した。そうして今年登場した3代目では、2代目をさらに発展させた上で、先進装備を多数盛り込んだ。

2.0Lの直列4気筒ターボエンジンは、トップモデルであるTTSでは最高出力286psを発生。その下に位置するTTおよびTTクワトロでは最高出力230psを発生する。今回もアルミを多用したスチールとのハイブリッドボディによって重量は1300kg台から1400kg台と比較的軽量に仕上がっているため、これらのエンジンとの組み合わせによって十二分の加速および動力性能を実現する。

アウディらしい高いクオリティに満ち溢れたエクステリアとインテリアは眺めるだけで満足できるほど。そうした環境に身を置いて、先の性能を堪能できるのだから堪らない。トランスミッションはツインクラッチ式マニュアルであるSトロニックで、2ペダルで存分にダイレクトな変速を楽しめる。もちろんAT免許で運転可能だ。

駆動方式はアウディのお家芸であるクワトロ(4輪駆動)。TTの最もベーシックなモデルではFFも存在する。どちらも高い走行性能を持っており、シーンを選ばずスポーツカーの走りを安心して楽しむことができるわけだ。

542〜768万円という価格帯で、これほど高い性能と品質をバランスしているスポーツカーはなかなか存在しない。ポルシェ・ケイマンなど他のドイツ勢に比べると若干リーズナブルな点もポイントになるだろう。

そう考えると新型TTはまさに「大人のためのスポーツカー」で、絶妙なポジショニングを築いている。しかもクールで精緻な感覚を漂わせているから、スポーツカーでありながらも乗って行く場所も問われない側面も持ち合わせている。またクーペはハッチバックを採用するため、ゴルフバックを始め趣味の道具も積載しやすく扱いやすいのも特徴だ。そしてもちろん、走りの方はアウディらしい清潔感あるスッキリとした感覚を漂わせながらも、スポーツを存分に味わえるものになっている。

スポーツカーゆえか最近話題のアダプティブクルーズコントロール等の安全装備が設定されないのが残念ではあるが、あらゆるシーンに映える1台であることは間違いない。

自動車ジャーナリスト

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTubeで独自の動画チャンネル「LOVECARS!TV!」(登録者数50万人)を持つ。

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