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【東京都杉並区】台湾の路地裏店の雰囲気と本場の味が楽しめる!昭和38年から続く西荻窪の老舗。

酔街草エディター・ライター(東京都杉並区)

『珍味亭』

両隣りのもつ焼きとジンギスカンの匂いに挟まれて、白地に緋文字で大きく「台湾料理」と描かれた暖簾をくぐる。店内は、小さな厨房の前にカウンター8席と2名用テーブルが1卓のみというこの上なくコンパクトな造りで、いつも満席に近い状態だ。

カウンターの朱色の化粧板と丸椅子ゆえに、一見、昔ながらの街中華屋のように見えるかもしれないが、『珍味亭』は、その名の通り豚の珍味で一杯呑めるという、杉並区界隈は及ばず都内でも貴重な台湾酒場なのである。

ほとんどの客が最初に頼むのが、この店一番の名物である「豚足」(700円)。八角の香りが漂う濃い目のしっかりとした味付けで、皮のゼラチン質はトロリと口の中でとろけてしまうほど。逆に骨の辺りはゴリゴリと弾力に富んだ歯ごたえで、指が汚れるのも何のその、手づかみにして豪快に貪り喰らうのがここでの流儀だ。

時間を置いて充分に味を染み込ませた豚足も旨いが、自分はタレがまだ熱々で湯気が出ている出来立てくらいが好み。何なら両方を半々で頼んで食べ比べしてみるのも一興だろう。

                                    *お酒は20歳になってから!
                                    *お酒は20歳になってから!

「ビール大瓶」(750円)、「ビール小瓶」(450円)。中国酒はずらりと10種類近くが揃う。物珍しさに誘われて、ついつい色々な種類を試したくなってしまうかもしれないが、中国酒には度数の高い物もあるため、飲み過ぎにはくれぐれもご用心! 

「豚耳」(450円)と「バラ肉」(450円)」半々の2点盛り。好みでニンニク醤油につけて味変も楽しめる。ちなみに、ニンニクの追加や醤油のお代わりは自由だ。

ビールから台湾紹興酒へと切り替える間合いで、これまた名物の「炒米粉(焼ビーフン)」(700円)を注文する。具は、もやし、ニラ、豚コマ肉のみと至ってシンプル。台湾の定番「滷汁(ルースイ)」が風味を際立たせ、しっかりと油を含ませつつもあっさりとした塩味。間違いなく病みつきになる旨さ!

”〆の麺”と言うよりも、この一皿を肴にすれば、さらに紹興酒のグラスが進むこと請け合いだ。この日は「魯卵(ローラン)」を1個、トッピングしてもらう。

「豚足」(700円)を筆頭に、珍味の種類は10種類ほど。意外に品数が少ないと感じられるかもしれないが、一人前でも結構なボリュームがある。記憶を辿ってみると、常連客からの要望で「豚足半分」(400円)や好きな組み合わせが選べる「2点盛」(500円)が登場したのは、割りと最近になってからの事。

品書きの中では、塩が添えられた「セロリ」(250円)が唯一の生野菜なのだが、なるほど油まみれになった口の中を浄化するにはもってこい。

戦後、台湾出身の初代が新宿の「思い出横丁」に開店し、昭和38年(1963年)に西荻窪の南口に移転。現在は、二代目の林重信さんと三代目の賢治さん親子が店を継いでいる。

話好きで、どんな話題にもついて来れる二人の博識ぶりには舌を巻く。自分のように親子との会話の掛け合いも楽しむために通い続ける客も少なくないはずだ。

地元住民から永く愛され続ける酒場には、その酒肴のみに留まらず、何かしら酔客を和ませる個性的な雰囲気が漂っている。

さてさて、今宵も大満足。ご馳走様!

『珍味亭』   Rettyページ

住所:東京都杉並区西荻南3-11-6
アクセス:JR西荻窪駅南口より徒歩1分
営業時間: 17:30~23:00
定休日:土曜日、日曜日、祝祭日

*予約不可

エディター・ライター(東京都杉並区)

中央線沿線の街並みとお酒をこよなく愛する、元・雑誌編集者です。長年に渡って杉並区の荻窪に在住。居酒屋をはじめ、グルメに関する話題・スポットを中心に、皆さんの役に立つ情報を発信して行きます。

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