【浅草】人気店のフランス伝統菓子が味わえるアンティークショップ併設カフェ
カフェライターなかくき くみこが実際に訪れた1,500軒以上のカフェのなかから、大人が心から満足できるような魅力的なカフェを紹介する連載「大人のための東京カフェ案内」。第16回目は、今年6月浅草にオープンしたアンティークカフェを紹介します。
アンティーク家具を扱うセレクトショップの2階にカフェがオープン
浅草の観音裏エリアに佇む、ヨーロッパのアンティーク家具を中心にしたセレクトショップ「annorum(アンノルム)」。2023年6月、その建物内にカフェがオープンしました。
木造住宅をリノベーションした建物で、1階がショップ、2階がカフェになっています。
入り口の古い扉を開けると、「愛着からくる豊かさ」をコンセプトに店主の田中貴之さんがセレクトしたアイテムが並びます。
アンティーク家具のほかにも、トレンドに左右されず長く着られる服や、履き心地にこだわった靴、日常の料理を美しく見せてくれるうつわなどを販売しています。
2階に広がっているのは、アンティーク家具をゆったりと配した贅沢なカフェスペース。置かれているのは1920〜1970年代頃にベルギーやオランダ、ドイツなどの一般家庭で使用されていた家具が多いそう。
塗装を剥離した無垢の木のやわらかな風合いや、手仕事の繊細さが感じられる家具や雑貨の数々。長年誰かに慈しまれてきたものたちに囲まれていると、ふわっと心の中に温かい気持ちが広がっていきます。
大切に受け継がれてきた家具だからこそ持つ魅力
田中さんが最初に惹かれた「暮らしを豊かにするもの」、それはお花だったのだそう。惹かれた理由は「そこに置くだけで空間の雰囲気までガラリと変えてしまうから」。
その後、お花を飾るための花器に興味が広がり、料理を盛りつけるうつわや、そのうつわを置く家具……、とだんだん大きなものへと興味が移り変わっていったのだとか。
最終的にヨーロッパのアンティーク家具にたどり着いた田中さん。食品関係の会社に勤める傍ら、33歳の夏、アンティークショップを開業しました。
そんな田中さんにアンティーク家具が持つ魅力について伺うと、「アンティークテーブルの引き出しなんかを開けると、時々落書きが残っていたりするんです。そういうのを見ると思わずうれしくなるんですよね。
アンティークの魅力は、モノに蓄積された時間や、そのモノに対して誰かが持っていた愛着を受け継いでいけるところだと思います」と教えてくれました。
カフェだからこそアンティークの魅力をより感じられる
2019年8月にオープンしたアンティークショップ「アンノルム」。どうしてこのタイミングでカフェを開いたのでしょうか。
「4年間アンティークの家具屋をやってきたんですが、もっといろんな人にアンティークや、愛着からくる豊かさを知ってもらう機会を作りたかったんです」と、田中さん。
「アンノルム」だけだった頃は、来店客はどうしてもアンティーク好きな人だけに限られていました。しかしカフェをオープンしてからは、この空間を求めて様々な人たちが訪れるようになったのだそうです。
カフェを訪れたお客さんたちは、お茶を楽しみながらアンティークチェアの座り心地を体感したり、長年使い込まれたテーブルの良さを知ったりと、アンティーク家具の魅力に気軽に触れることができます。
もちろんカフェとして利用するだけでOKですが、カフェで使用されている家具はすべて購入可能。驚いたことに、私が一ヶ月前に訪れた時と比べるとなんと約半分もの家具が入れ替わっていました。
カフェ目的で訪れた20代のカップルがテーブルを買って帰る、なんていうこともしばしばあるそう。カフェだからこそアンティーク家具の魅力をより実感できるのかもしれません。
“浅草の良店が手がける美味しいもの”が楽しめる
「アンノルムカフェ」では、浅草に長く暮らしていた田中さんがセレクトする“浅草の美味しいもの”が味わえるのも魅力。
スイーツを監修するのは、レシピ本も出版している天然酵母パン店「粉花(このはな)」。同店のレシピで作るヨーロッパの伝統菓子「ファーブルトン」(600円)は、プリンとカヌレの中間のようなプルンとした食感。一口食べると卵の濃厚なコクや甘みが口の中に広がります。
季節のフルーツを使用した「シロップソーダ」(700円)は常時4〜5種類を用意。取材時に提供されていたのはアプリコット、プラム、ストロベリー、ラズベリー、ピーチの5種類でした。季節ごとに使われる食材が変化していくので通う楽しみも。
コーヒーは、味わいに定評のある自家焙煎コーヒー店「蕪木」が手がけるオリジナルブレンドを使用。注文を受けてから一杯ずつハンドドリップで抽出しています。
オリジナルブレンドの製作を依頼した際は、「蕪木」オーナーである蕪木祐介氏自らが同店を訪れ、店のイメージに合う味わいを考案したのだとか。田中さんいわく「優しく爽やかな香りが感じられる、角のない丸い味わい」に仕上げられています。
今秋には、季節限定商品として「お芋のバスクチーズケーキ」も登場予定です。
実は私が同店を知ったのは、浅草に事務所を構える友人が教えてくれたことがきっかけでした。彼女いわく、「店主の田中さんはとっても話しやすくて、いい人!」。
実際に田中さんにお会いすると、人との間に壁を作らず安心感を与える人でした。カフェにとって雰囲気は大切な要素の一つ。この店の居心地がいい理由はきっと、田中さんの価値観がベースに流れているからなのでしょう。
アンティーク家具に囲まれた空間で、美味しいスイーツやドリンクが楽しめる「アンノルムカフェ」。心満たされる時間が過ごしたい時、ぜひ訪れてみてくださいね。
【店舗情報】
店名/annorum cafe(アンノルムカフェ)
住所/東京都台東区浅草4-7-11
公式サイト/https://www.instagram.com/annorum_cafe/(外部サイト)
アクセス/つくばエクスプレス 浅草駅より徒歩10分、東京メトロ銀座線他 浅草駅より徒歩11分
定休日/不定休
営業時間/11時〜18時
※営業時間については変更になる場合があります。訪問前に公式インスタグラムを確認ください。
※新型コロナウイルス感染症対策により店舗の休業や営業時間の変更など、掲載内容と異なる場合があります。訪問される前に最新情報をご確認されることをおすすめします。
本連載では、今後も都内にある魅力的なカフェを紹介していきます。ご興味のある方はプロフィールからフォローをして頂けるとうれしいです。