Yahoo!ニュース

男子セブンズ日本代表、オリンピックリオデジャネイロ大会出場権獲得の声【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
展望を語る瀬川ヘッドコーチ(前列右から3人目)(写真:田村翔/アフロスポーツ)

ワールドカップの次は、オリンピックでラグビーが観られる。

男子7人制日本代表は、11月7、8日、香港でのアジア予選を制してオリンピックリオデジャネイロ大会への出場権を掴んだ。ベスト4ないしメダル獲得を目指し、来年2月に再始動する。7人制ラグビーが正式種目となったのは今大会が初めて。

15人制代表は9~10月、4年に1度おこなわれるラグビーワールドカップのイングランド大会で史上最大の3勝をマークした。

国内がブームで沸き立つなか、9日、東京・羽田空港での7人制代表の会見にも多くのメディアが集まった。15人制日本代表経験のある藤田慶和(早稲田大学4年)や松井千土(同志社大学3年)は、流通経済大学の合谷和弘とともに情報番組の単独取材を受けていた。

以下、会見およびその後の囲み取材時の一問一答(一部)。

<瀬川智広ヘッドコーチ>

「自信はありましたが、一発勝負(10チーム参戦も、出場権獲得枠はわずか1)ということもあり、緊張しながら戦いました。ゲーム(香港代表との決勝戦)は香港スタジアムというアウェーのなか、先に点を取られてしまい、少しチームは浮足立ちました。ただ後半、走り勝てると思っていました(前半に0-10とビハインドを背負うも、24―10と逆転勝利)。ここがスタートライン。メダルを取るため、さらに強化を続けていきたいです」

――「走り勝つ」がテーマだったが。

「アジアのなかでは間違いなく走り勝てた。セブンズでは決勝戦だけ10分ハーフでおこなわれます(それ以外の試合は7分ハーフ)。香港代表戦では今大会初めての失点。いい形で立て直したいと思っていたなかでしたが、後半の仕切り直しのキックオフがうまくいかず、正直、まずいな、と。次の3本目(のトライ)が決まったら、どうかるかわからないところでした。ただ、そこから落ち着きを取り戻して得点でき、その後は1本返せば相手の足が止まると感じました。選手が躍動してくれたと思います」

――今後の展望。

「フィジカル的にもスピード的にも現在はトップ4に至っていないのが現状だと思います。まず1人ひとりが強くなる。少しでも速く早くなる。また、スピードを(試合守番まで)持続させる。それを個人個人の課題として取り組んでいきたいです。そして2月以降に新たなスコッドで動き出したとき、戦術面を含めて意思統一を図ってきたい」

<桑水流裕策キャプテン>

「素直にほっとしている。会社、所属地チームの理解と家族のサポートがあってこその勝利だと思います。いい準備をして、オリンピックではベスト4を目指します。それを目指せばメダルを見えてくるので、がんばっていきたい。女子7人制代表も香港大会で優勝。日本大会(28、29日)を前に(オリンピック出場へ)も大手をかけている状態です。揃って出場できることを願っています」

――(当方質問)今後の強化ポイントは。

「個人としてはフィジカルを上げていきたい。また、(定位置獲得やメンバー入りへの)競争があったことでチーム力がついた。(本戦までの)来季のスコッド内で、高いレベルの競争をして臨みたいです」

――ラグビー人気が高まっているなかだったが。

「ブームが巻き起こっているなか、(結果次第で)それを加速できるとを話していて、実際に優勝することができた。追い風になっていると思います」

<藤田慶和>

「セブンズ日本代表はスタートラインに立つことができました。しっかりいい準備をして、やるからには金メダルを狙えるよう努力をしたい」

――15人制のワールドカップに出場した唯一のメンバー。周囲へ助言は。

「僕はアドバイスをできる立場じゃないですけど、(イングランドでは)やってきたことを信じてやり抜けば強豪に勝てることを証明できたと思います。いい準備をできれば、結果がついてくる。いい準備を8月(オリンピック)までにやっていきたい」

<松井千土>

「予選に優勝してひと安心しているところはあります。スタートラインに立ったばかり。やるからには金メダルを目指す」

――(当方質問)今後の課題は。

「個人としては、世界に通用するフィジカルを身に付けて(来季のスコッドへ)戻ってきたいです」

――社会人とプレーして。

「最初はチーム最年少で入ったので、年の離れた方と話すことは難しい部分もありました。ただ、先輩方はたくさん話しかけてくれていたので、いまはコミュニケーションが取りやすいです。社会人の方には、大学生(の選手)にはない(プレー中の)コミュニケーション能力がある。自チームに帰った時に、先頭に立って学んだことを伝えたい」

<坂井克行 前キャプテン>

「こういった形で報告できることを嬉しく思います。我々の前からセブンズをやってきた方のおかげでもあると思います。自分を世界レベルに高められるよう、日々努力したい」

――(当方質問)今後、目標を叶えるには。

「まずは何としてもベスト4に入るという心構えが必要。個人としては、キックの精度やフィットネスをもっと上げたいと思います」

<レメキ ロマノ ラヴァ>

――(当方質問)決勝戦の逆転勝利。

「フィットネスの準備は俺らのほうが上だ、と。ずっとシャットアウトだったけど、決勝の前に坂井選手や桑水流選手が言っていた。『トライを取られても、パニックにならなくていいよ。絶対に俺らの方が走れるから』と。自分らのやりたいことをやれば絶対に勝てる、と。後半はボールを動かして、トライを取れた」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

すぐ人に話したくなるラグビー余話

税込550円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

有力選手やコーチのエピソードから、知る人ぞ知るあの人のインタビューまで。「ラグビーが好きでよかった」と思える話を伝えます。仕事や学業に置き換えられる話もある、かもしれません。もちろん、いわゆる「書くべきこと」からも逃げません。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

向風見也の最近の記事