大雪に警戒 年末年始の寒気南下は西日本中心から北陸・北日本中心へ
等圧線の間隔
12月29日は、2つの前線を伴った低気圧が日本列島を通過し、西高東低の冬型の気圧配置が強まり、北から寒気が南下しています。
12月30日の予想天気図をみると、等圧線の間隔が西日本で狭くなっています(図1)。
等圧線の間隔が狭いほど強い風が吹きますので、30日9時の予想天気図は、西日本は強い北寄りの風によって強い寒気が南下することを示しています。
また、31日9時の予想天気図では、等圧線の間隔が狭いのは北陸から東北地方です。
そして、西日本の等圧線の間隔は少し広がっており、寒気は引き続き南下しているものの、30日に比べれば南下は少し弱まることを示しています。
日本列島に南下する寒気の目安として、上空約5500mの気温が使われます。
上空約5500mの気温が氷点下30度以下なら強い寒気、氷点下36度以下なら非常に強い寒気で大雪の可能性もあります。
現在南下している寒気は、北海道では、氷点下36度どころか、氷点下42度以下という、真冬でもなかなか出現しない強烈なものです(図2)。
そして、氷点下36度という非常に強い寒気は北陸まで、氷点下30度という強い寒気も関東南部から西日本まで南下してきます。
今回の寒気南下は、まず西日本中心、その後は北陸から北日本が中心となり、寒さと大雪に警戒の年末年始となる見込みです。
大雪警報の可能性
気象庁では、5日先までに大雪警報を発表する可能性を「高」「中」の2段階で示した早期注意情報を発表しています(図3)。
これによると、12月30日は北陸から西日本の日本海側で、31日は東北の日本海側から北陸、西日本の日本海側の多くの府県で大雪警報を発表する可能性が「中」または「高」となっています。
しかし、年が変わった1月1日に大雪警報を発表する可能性が「中」または「高」となっているのが、東北地方日本海側から北陸、近畿の日本海側です。
つまり、大雪に警戒するのは西日本に日本海側では年末、北陸から東北日本海側では年末も年始もということになります。
12月中旬の寒波との違い
令和2年(2020年)は、日本列島に本格的な寒気が南下してきたのは、12月中旬の1波からです(図4)。
その後、周期的に寒気が南下し、年末年始の寒波は、4波といえるでしょう。
ただ、この4波は、今冬一番の寒気と言えるのですが、12月中旬の1波に比べ、北日本は強いものの、その他の地方は同程度というものです。
西日本までの広い地域を長期間にわたって覆うという寒気ではありません。
札幌の最高気温と最低気温の予報をみると、年末年始は12月中旬の寒気の時より最高気温、最低気温ともに低くなっています(図5)。
これに対し、東京では、12月中旬の寒気の時より最高気温は低いものの、最低気温は高くなっています(図6)。
また、福岡では、12月中旬の寒気の時より最高気温は同程度であるものの、最低気温は低くなっています(図7)。
北陸の大雪
年末年始の寒気南下により、日本海側の地方を中心に大雪に警戒が必要ですが、特に警戒が必要なのは北陸地方です。
12月30日から1月1日までの72時間(3日間)の降雪量は、北陸地方の山沿いを中心に1mを超え、特に新潟・福島県境から新潟・群馬県境にかけては2mを超える予想です(図8)。
新型コロナウィルスの感染防止対策で、年末年始の移動自粛が求められています。
年末年始の強い寒気の南下は、年末年始は家でじっとしていなさいという天の采配かもしれませんが、やむを得ない理由で移動する人も少なからずいると思います。
そのようなかたは、大雪による交通障害や施設への被害、ふぶきや吹きだまりによる交通障害、高波に警戒・注意してください。
また、路面の凍結、屋根からの落雪、停電や倒木などにも注意してください。
交通障害等で多くの人が巻き込まれると、それを救助する人も含め、密な状態が生じて感染拡大の要因になりかねません。
そして、ひっ迫している医療機関を、さらにひっ迫させ、医療崩壊を招く恐れもあります。
いつもの冬以上に、気象情報等の入手に努め、安全・安心対策をしっかり行う必要がある年末年始です。
タイトル画像、図2、図3、図8の出典:ウェザーマップ提供。
図1の出典:気象庁ホームページ。
図4の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに著者作成。
図5、図6、図7の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに著者作成。