「北欧の暮らしって実際どうなの?」、自分の目で見てみよう スウェーデンAirbnbから
(写真映えする)「おしゃれなインテリアのお家を探してください」という業務指令を、日本のメディアから受けることがある。
確かに、おしゃれな家はあるし、他者が憧れそうなライフスタイルをしている人もいる。
そうではない場合もあるが、そういう家はメディアでは紹介されない。
今回、9月9日のスウェーデン総選挙の取材を目的に、1~10日に首都ストックホルムでAirbnbに滞在していた。そこで、ふと思ったことがある。
北欧の暮らしは実際どうか?
現地の人はどんな暮らしをしているか?
自分で確認したいなら、Airbnbは意外といい手段かもしれない(※全部自腹で払っており、これは広告記事ではない)。
私がAirbnbを選んだ理由は、選挙の取材では地元の人と話すことが重要だから。
だから、東西南北とエリアがばらばらに位置し、スーパーホスト認定を受けている人と直接交流できる4家庭を選んだ。
ホストには、事前に記事にするかもしれないこと、写真撮影の許可を取ってから宿泊を決定。
料金
1軒目×2泊 合計1万4282円
2軒目×2泊 合計1万2445円
3軒目×2泊 合計1万2974円(朝食+専用バスルーム付き)
4軒目×3泊 合計1万8920円(バスタブ付き)
私は毎日帰宅してから、その日に疑問に思っていたことや、資料に理解できないスウェーデン語があると、すぐにホストに聞いていた。
相談できるホストファミリーがいる、勉強中の留学生のような環境だったかもしれない。
ホストやそのご家族も一緒に住んでいたため、ありのままの地元の人々の暮らしぶりや冷蔵庫の中を見ることができる。
雑誌やネットで出てくるような、「おお!」というインテリアの家ばかりではない。
滞在先がいまいちだった時、正直に評価をつけにくい
4軒全てが日本人旅行者に紹介できるようなレベルだったわけではない。
2軒目は、郊外で離れていること、ほかの旅行者とバスルームなどを共有する、バスルームの独特のにおいなど、「なぜ、スーパーホスト?」と思ったこともあった。
ホストは親切だったので、滞在後にサイトで評価をつける際には迷ってしまった(正直に、★は5点満点中3点にした)。
自分がこの立場になって初めて思ったのだが、「ホストは親切だが、環境は微妙だった」時、評価をつけることにためらう人は他にもいるのではないだろうか。
現地でみる、さまざまな家族のありかた
「最初は生活費の足しになるようにと思って始めたけれど、世界中からの旅行者との交流が楽しくてしかたない」と話していたホストのエヴァさん。
「娘のお小遣いになるように、夏休みだけ娘の部屋を貸し出しているの。娘はこの間は父親のところにいるわ」とホストのモニカさん。
数軒まわっていると、いろいろな家族の形があることにも気づく。
地元の人とじっくり話をしてみたいなら
どのホストも、9日当日に投票する有権者だったため、選挙の話では毎晩盛り上がった。
自分がどのような政策に興味があり、どの党に嫌悪感を感じているか。Airbnbを通しての環境でなければ、こんなにも突っ込んだ話はできなかったかもしれない。
私が普段、公園や通りで、突然地元の人に話しかける時とは違う言葉を、キッチンでは聞くことができたと思う。
体験で現地を知る
Airbnbには、「宿泊」のほかに「体験」というオプションもある。
写真撮影、地元の観光スポット巡り、茶道など、特別な体験にお金を支払うプログラムだ。
興味本位で、「娘と父と、ヴィンテージ&レトロショップ巡り」を注文クリックしてみた。
土曜日に二時間半、地元の歴史とヴィンテージに詳しい2人と一緒に、セーデルマルム地区を歩く。
たくさんのショップをまわり、地元の話もたくさん聞けて、物価の高い国で2人もエキスパートがついてくれるなら、3752円は安いなと思った(ペットボトルの水もくれる。何度も言うが、北欧は物価が高い)。
この二人と歩いている時も、ツアーにはたまたま私しかいなかったため、始終選挙の話になった。
どこの党に投票するか、迷っている娘を説得しようとする父親。家族の会話は、聞いていてほほえましかった。
北欧フィルターがかかっていない、飾らない地元の生活に触れる
私のように、9泊の滞在で、4家庭も移動するのは、金銭的には節約にはなっていない。移動するほど、時間や体力をロスし、家庭ごとにサービス料金や清掃料金も加算されるからだ。
チェックアウトは11時、チェックインは午後以降のところも多いため、中央駅の有料ロッカーにスーツケースを頻繁に預けてもいた。
とはいえ、Airbnbでなければ、地元の人とこのようには交流はできなかっただろう。
毎日の会話からはたくさんのことを学び、地元ならではの飾らない家庭環境をみることができる。勉強料と考えると、安いくらいだ(物価や人件費の高いノルウェーから来ていたので、余計に全てがリーズナブルにも感じた)。
メディアや企業による「北欧フィルター」がかかっていない、北欧現地の様子を知るには、Airbnbは予想以上にいい手段なのかもしれないと思った。
「AirbnbやUberは北欧ノルウェーでどうなのか?ベルゲンで民泊を試してみた」
Photo&Text: Asaki Abumi