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記録より記憶に焼き付いたアイドル。髙畑結希のSKE48卒業公演で感じた陽だまり

斉藤貴志芸能ライター/編集者
(C)2024 Zest, Inc.

 アイドルのグループからの卒業といえば、今年話題になったのは柏木由紀。AKB48で17年間、32歳まで活動を続け、3月にぴあアリーナMMで卒業コンサートを行った。また、乃木坂46でセンターも務めた山下美月は、5月に東京ドームでの2日間にわたる卒業コンサートで、アイドル活動を締め括った。

 ただ、卒業シングルも用意されて、こうした大々的なコンサートで旅立つアイドルは、ごくひと握りに過ぎない。昨年から卒業ラッシュとなった48グループで、卒業コンサートを行ったのは本田仁美(AKB48)、江籠裕奈(SKE48/卒業記念ソロライブ)、渋谷凪咲(NMB48)、矢吹奈子、運上弘菜、田中美久(HKT48)、中井りか、本間日陽(NGT48)に止まる。

 他は原点の劇場での卒業公演が最後になるのが恒例だ(柏木らも卒業コンサートのあとに劇場公演を最後にしている)。知名度の高いアイドル以外は、その模様が報じられることも少ない。しかし、そこにはそれぞれのアイドルの物語と、ドームにも劣らないファンの想いが満ちている。

選抜メンバー最年長・28歳の中堅

 SKE48の髙畑結希が、名古屋・栄のSKE48劇場で6月30日に行われたチームE「声出していこーぜ!!!」公演で、グループを卒業した。直近の選抜メンバーでは最年長の28歳。2020年から選抜入りを続けていたが、ポジション的にはフロントというわけでなく、“中堅”という見え方だっただろう。

 ただ、落語に取り組んだり、料理レシピを公開したり、舞台に出演したりと、個人での活動も精力的。インスタグラムのフォロワー数はSKE48で一番だった。

 卒業公演には満員の300人が詰め掛けた。ファン有志の卒業企画実行委員会による、手書き文字と写真で髙畑の軌跡をていねいに収めた冊子が配られる。開演の17時が迫り、会場に流れた髙畑の影ナレ。

「最後のアイドル姿をしっかり焼き付けてください。忘れられない日にしましょう!」

SKE48劇場(サンシャインサカエ公式サイトより)
SKE48劇場(サンシャインサカエ公式サイトより)

スーツ姿で“髙畑商事の社長”になって

 ここで、取材者としての髙畑結希とのちょっとした関わりについて、少し触れさせてもらいたい。

 もともとSKE48で、デビュー初期からよく取材させてもらっていたのは、高柳明音と須田亜香里。弱小アイドル誌の仕事をしていた頃、松井珠理奈や松井玲奈は多忙でなかなか出てもらえず、3番手的なところにいた彼女たちの時間をもらうことが多かったのだ。結果的に2人が長年グループにいて、つき合いも長くなり、卒業後も取材させてもらっている。

 そんな中、個人的に髙畑結希が最初に気になったのは、2015年に7期生オーディションの合格者発表を見たとき。小・中学生が多かった中で19歳。グループでどう過ごしていくのだろうと。

 その後、OLふうのスーツ姿で特典会に出ているのを何かで目にした。地元の香川で会社員経験があるのを活かし、自身が社長、ファンが社員の“髙畑商事”を設立したとのことだった。

 選抜総選挙のポスターや政見放送でもスーツ姿で「面白いな」と思った。落語や料理も始めるにつけ、「何をどう考えているんだろう?」と話を聞きたい興味が高まる。かと言って、高柳や須田のように取材させてもらう機会はなかった。

髙畑結希公式Xより
髙畑結希公式Xより

選抜入りしても取材の機会は逃し続けて

 SKE48の取材は基本、CDリリースの際にプロモーションとして行われる。選抜メンバーから10人ほどが取材要員として、2日くらい東京に。媒体からある程度の希望メンバーを出しつつ、割り振られていく。

 なので基本、選抜メンバーしか取材チャンスはない。髙畑が選抜入りしたのは2020年の『ソーユートコあるよね?』から。当時24歳で初選抜の最年長記録だった。これで取材メンバーにも入ってくれたら……と考えたが、そう単純な話でもない。

 同人誌ではないのだから、ただ個人的な興味で取材を申し込むわけにもいかない。特にこの「Yahoo!ニュース/エキスパート」の自分のページでは、グループでも1人のメンバーを掘り下げる方針にしていて。

 『ソーユートコあるよね?』は髙畑の初選抜であると同時に、須田の初センターで高柳の最後のシングルでもあった。珠理奈、大場美奈、須田の卒業シングルでも、彼女たちの単独取材をさせてもらった。『好きになっちゃった』ではスーパールーキーと呼ばれて研究生で選抜入りした原優寧を。

 ずっと見てきた髙畑の取材もさせてもらいたかったが、取材メンバーに入っていても、各シングルのタイミングで話題性を客観的に考え、他のメンバーへのオファーを優先した。

やっと30分の単独取材で語ってくれたこと

 今年2月の『愛のホログラム』のリリースでは、取材メンバーがギリギリに決まったのか、誰が入っているのかわからず希望も出せないまま割り振られた。「Yahoo!ニュース」にはセンターの末永桜花を含む5人。その中に、たまたま髙畑結希の名前もあったのだ。

 ここしかない。本当は5人で1時間の取材という話だったが、考えた末に無理を言って、「最年長」との名目で髙畑単独と他の4人で30分ずつという形にしてもらった。長年聞きたいことがあり、『愛のホログラム』にも触れるとなると30分では短すぎたが、髙畑は初対面のライターにいろいろ語ってくれた。

会社員からSKE48に加入して9年。選抜最年長・髙畑結希インタビュー

 「麗和落語」も観に行き、また取材できればいいなと思っていたら、程なく卒業発表。結果的に『愛のホログラム』が最後のシングルに。もうリリースインタビューはない。また事務所に無理を聞いていただき、卒業インタビューの時間を、幕張メッセでの握手会で上京したタイミングで取ってもらった。

大人からのアイドル活動を卒業する髙畑結希インタビュー【前編】

大人からのアイドル活動を卒業する髙畑結希インタビュー【後編】

 個人的な話は短くするつもりだったが、結構長くなってしまった。ご容赦を。ともあれ卒業公演も見届けたいと、埼玉から名古屋まで出向くことにした。

スタートから通常ポジションで

 卒業公演は『overture(SKE48 ver.)』からの『貴方へ』で幕を開けた。髙畑はこの夜の主役ではあっても、チームEの公演として通常のポジション。笑顔で弾むように踊り、スカートが翻るターンも見せる。前に出てくると「はーたごん!」とコールが起こった。

 ユーロビートの『単推しシンドローム』ではクールさを見せて、同期の末永と並んでセンターにも立つ。さらに、青と紫の衣装に早替えした『誰しもいつか止まる心臓を』から『声出していこーぜ!!!』とノリノリで進み、髙畑もずっと笑顔を浮かべながら、ハツラツと踊っていた。この日ばかりは誰がセンターに立っていようと、髙畑から一瞬たりとも目を離したくなかった。

(C)2024 Zest, Inc.
(C)2024 Zest, Inc.

「グチャグチャになっても最後までSKEらしく」

 自己紹介ではメンバーが髙畑との思い出話をしていく。かわいくて若く見える外見から、倉島杏実に「同い年ですか?」と聞かれ、シレッと「19歳です」と答え、唯一の年上の斉藤真木子には「はたごんが踊れるようになりました」と言われていた。

 池田楓は髙畑につけられた“ちゃんぽん池田”のニックネームを卒業後も使う許可を得る。「ダンス苦手仲間」という鈴木恋奈に「これから1人でどうすれば」と聞かれると、「1人でいけるよ。頑張ってください」と励ましていた。

 髙畑自身の番になると「はたごんと一緒にうどん食べに行く~?」と、お馴染みのキャッチフレーズを。客席ではサプライズで、「9年間たくさんの幸せをありがとう」とのメッセージカードがあちこちで掲げられた。

 「あっという間に卒業が来て、まだフワフワしています。どれだけグチャグチャになってもいいなと思うので、汗びっしょりで最後までSKEらしいパフォーマンスを見届けてください」と話した。

ラテン調のユニット曲をしなやかに

 ユニット曲コーナーでは最後に、浅井裕華、鎌田菜月、森本くるみと共に、ラテンナンバー『ねえ 横浜のあの子を好きになっちゃったの?』を披露。髙畑はセンターでの座りから立ち上がって、しなやかに踊り「ねえ」の台詞も。サビではクロスステップや大きな手振りも見せながら、遠距離恋愛の哀感を表現していた。

 歌い終わって「一番緊張した」と表情を緩める。3人に囲まれてのMCでは、ひとつ前の林美澪のソロ曲『星の雫』で、髙畑自身が「私のことを想って歌ってね」と頼み、裏でニヤニヤしながら聴いていた……と暴露された。

 卒業公演は後半に入る。『Loose control』では長い髪を振り乱してアゲていき、重低音が響く『Don’t judge me』では大人の顔を見せる。照明が明るくなって華やぐ『グーとパー』は、満面の笑みを浮かべて楽しげ。客席では、髙畑のカラーの青と白のサイリウムが振られ続ける。最後はグーを突き出してキメた。

ポンコツのようで実はあざとい女?

 MCでは髙畑らがハケていたところで、熊崎晴香が『Don’t judge me』の髙畑の振りがカッコ良かった話をしたが、菅原茉椰が動画を観ていたら、その振りが1人だけ全然違っていたことがわかり、ダメ出しをしたとか。

 斉藤からは「最初の頃は踊りを見るだけでイライラしたけど(笑)、チームメイトになると『癒されてる?』と思った」との話が出て、髙畑は実は人を転がすあざとい女だと盛り上がった。

 制服衣装に着替えた髙畑らが入ってきてMCを替わると、相川暖花から本番で曲の2サビになっても髙畑がステージに出てこなかったとのポンコツエピソードが語られ、「モニターでみんなを見て夢中になっていて……(笑)」と弁解する。

 本編ラストは『Long long way home』。<それじゃまた明日と手を振って>という、卒業公演に似つかわしいバラードだが、髙畑は相変わらず笑顔を浮かべ続けていた。

互いに「ありがとう」の気持ちを込めて

 「ありがとうございました」と全員が退場したあと、熱い「はたごん」コールを受けてアンコールへ。『ぎゃぎゃぎゃわいい』では、片手を回して片脚を上げる振りでキュートさを発揮。切なさが漂う『君ダケ好キダッタ私ヲ置イテユク』では前にも出て、自分のパートをまっとうしていく。

 チームのリーダー・佐藤佳穂が「ファンの人も、はたごんさんのやさしさに救われた思い出があると思います。最後にありがとうの気持ちを込めて歌います」と曲振りをして、『あなたへ』が披露された。

 髙畑はメンバー1人1人とタッチを交わし、アイコンタクトを取りながら歌っていく。時折り天を仰いだり、一瞬目をつぶったりはしながら、やはり笑顔のまま。<世界で1番大きな愛をくれるあなたへ>は、髙畑自身とメンバーとファンそれぞれに重なる想いだろうか。青と白のサイリウムに合わせて腕を左右に振って歌い、公演17曲の幕を閉じた。

同期たちと歌ったWアンコール

 SKE48に加入して3396日。暗転した会場で女性ファンの「アイドルになってくれてありがとう。出会ってくれてありがとう」との口上に続き、より盛大な「はたごん」コールが送られた。

 Wアンコールは卒業コーナー。ステージには黒の衣装に着替えた髙畑が、末永、相川、浅井にチームKⅡの太田彩夏と7期生5人の真ん中で姿を現す。歌ったのはカップリング曲ながら、髙畑が初めてセンターを務めた『人生の無駄遣い』。

 当時は期待していた初選抜が叶わず、人生どん底だったのが、この曲の歌詞が響いて楽しく生きていこうと思えたと、取材で語っていた。スピード感のあるナンバーを堂々と歌い上げてみせた。

 1人で一度ハケて、入れ替わりで菅原とチームSの上村亜柚香、KⅡの水野愛理とドラフト2期生の3人が入り、7D2が揃う。髙畑について「空気を読むのが上手で元気になる言葉をたくさん掛けてくれる」「握手会で服を貸したら返ってきたのは3年後」「カラオケでFRUITS ZIPPERさんの『わたしの一番かわいいところ』を歌ったら<ねえ? ねえ? ねえ?>以外は1コも合ってなかった」といった逸話が出て、笑いも起きた。

ダンスを陰で一生懸命練習していて

 スクリーンに、会社員からアイドルになった髙畑の軌跡を追ったVTRが流れる。おぼこかったオーディションやお披露目の頃から、選抜総選挙でのランクイン、初選抜など懐かしい映像の数々が感慨深い。

 終わると白とピンクの卒業ドレスをまとった髙畑本人が現れ、拍手と歓声を浴びた。7D2で歌ったのは、AKB48の卒業ソング『桜の花びらたち』。最初はドラフト2期生の3人と、続いて7期生の4人と並び、ひらひらと手振りを付けながら、軽やかな歌声を聞かせた。

 「私にとって大切な曲を、大好きなみんなと歌えたのが嬉しい」と話した髙畑。他のメンバーもステージに入ってきて、卒業セレモニーに。ファンからの贈り物として、青と白それぞれの大きな花束と花冠が渡された。メンバーを代表して、同期の太田が手紙を読む。

「年の離れたメンバーと、同じ目線で寄り添ってくれたやさしさに感謝します。ダンスを陰で一生懸命練習していた真面目さは、ファンの方にも届いていたと思うし、私の選抜入りを一緒に喜んでくれたのも覚えてます。卒業後は女優さんになるということで、有言実行する姿を同期として誇りに思います」

 涙混じりの朗読に、客席からもすすり泣きが聞こえた。髙畑は「9年間、相談に乗ってくれたり、選抜でいつも近くにいてくれたり。これからも友だちとして、仲良くしてください」と返した。

母からの手紙の温かいエール

 さらに、鎌田が「結希へ」という髙畑の母からの手紙を代読。

「9年間お疲れさま。全力で走り切ったね。負けず嫌いで、やるからには本気でまっすぐ。忍耐力は強みだね。好きなことに挑戦している姿は、いつもキラキラでした。この9年はお母さんにとっても宝物。感動をくれた結希を誇りに思います。明日からは新しい挑戦の始まり。挑戦することに年齢制限はないよ。どんなときも結希は結希らしく、いつもの笑顔で人生を楽しいものにしてください」

 温かいエールに、髙畑は「まさか母からお手紙をもらうなんて……」と言いながら、「心配もたくさんかけたと思うんですけど、毎日たくさんの愛を感じました」と感謝を伝えた。

「辛かったはずが楽しい思い出しか出てきません」

 そしていよいよ、髙畑からの最後のあいさつ。

「幕が開いた瞬間、すごい熱量のコールとペンライトに、これが最後だと胸に来るものがあって。やっと卒業の実感が湧いてきました。9年間、悔しかったこと、辛かったことがめっちゃあったはずなのに、楽しい思い出しか出てきません」

 そう話し始めた髙畑。この日の公演で彼女だけを目で追っていても、見失う瞬間は少なからずあった。つまり、センターとかソロとか目立つパートは、あまり与えられていなかった。確かに「悔しかったこと、辛かったこと」が多いアイドル人生だったのかもしれない。

 それでも「今すごく幸せな気持ちでステージに立っています」との言葉が、すべての答えを物語っているように思えた。

「自分の夢を口にすることは勇気が必要。総選挙でランクインしたいと言うのをためらってしまうときがありました。でも、ファンの皆さんが『想いは伝えないとダメだよ。もっとファンを頼って』と言ってくださって。生誕祭で勇気を出して伝えたら、『一緒に叶えよう』と背中を押してくれました」

 卒業ドレスについては「かわいいものが好きなので、アイドルの最後にピンクが着たいとお願いしました」とのこと。アクセサリーにも触れて、「オーディションのとき、香川で一番オシャレなワンピースと真珠のネックレスを着けて行ったら、『授業参観みたい』とイジられて(笑)。9年越しのパールのネックレス、似合う女性になれましたか?」と問い掛けると、拍手を浴びた。

「どんな瞬間も頭はファンの方のことでいっぱい」

 髙畑の話は続く。

「私をキラキラのアイドルにしてくれた皆さん、ありがとうございました。これからは女優として活動できるように覚悟を持って、最初に掲げた夢を1から追い掛けていけたら」

「9年間アイドルをまっとうできたと、自信を持って言えます。どんな瞬間も私の頭の中は、ファンの方のことでいっぱいでした。どうやったら喜んでもらえるか。好きになってもらえるか。考えている時間が多かったです」

 ずっと笑顔の髙畑が、少しだけ涙声になった。終演が近付く中で、今後のお知らせも。個人のファンクラブサイトの開設。ABCクッキングスタジオでの料理教室の開催。FM香川でのラジオ番組『髙畑結希のさぬきの「き」はゆうきの「き」。』のスタート。香川のフェスに向けたYouTubeチャンネルの始動。

 この日は触れられなかったが、11月には舞台にも出演する。卒業時点でこれだけ先々の仕事が決まっているのは、多彩な活動に取り組んできた成果だ。

最後まで涙はなく笑顔を見せて

 「9年間、たくさんの幸せをありがとうございました」と繰り返し、いよいよラストナンバーへ。「私の人生が大きく変わった1曲。最後に笑って終わりたいので」と選んだのは、初選抜を果たした『ソーユートコあるよね?』だった。

 ドレスでセンターに立って、コールを受けて、さわやかにエネルギッシュに歌っていく。本当に最後の最後まで涙はなく、笑顔を見せていた。そして、満足感でいっぱいのような表情だった。他のメンバーが去ったステージに1人で残り、ファンと最後に「はたごん」三唱。髙畑結希の9年間のアイドル人生は幕を下ろした。

挑戦に年齢は関係なく物語がまた始まる

 決してトップアイドルではなかった髙畑結希に、アリーナのような大々的な花道は用意されなかった。キャパ300人の劇場で迎えたフィナーレ。だが、そこに集ったファンには、最後のアイドル姿が確かに焼き付いたはずだ。

 寂しさはありつつ、旅立ちを心から祝福できる、陽だまりの中のような温かさ。これは劇場だから、そして、髙畑結希だから感じられたのかもしれない。

 振り返れば、髙畑はずっとそうだった。陽の目を見ないときも、自ら小さくても明るい光を発しようとしていた。個人で切り拓いた活動も含め、「次は何をするんだろう」と楽しませてくれた。順位とか選抜とかを超えて、記憶に残るアイドルだった。

 もともと会社員を経て、20歳になる年から始めたアイドル。卒業したら、もうすぐ29歳を迎える。髙畑は最後のMCの中で、母の手紙の言葉を受けて「挑戦に年齢は関係ないので、これからもいろいろやっていきたい」とも話していた。何だか、こちらも元気づけられる。

 最初に華々しい卒業コンサートを行ったアイドルを挙げたが、逆にアイドル時代は選抜にも入らなかったのに、卒業後に大活躍している例もある。髙畑自身がどんな形での成功を望んでいるのかわからないが、より心弾む物語が、きっとこれから始まるのだと思う。

(C)2024 Zest, Inc.
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芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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