【札幌市中央区】知事公館の秋景色がピーク。多層的に重なる歴史を感じて散歩しよう。
少しの間、仕事で北海道を離れており、ポストの間隔が空いてしまいましたが、札幌に戻ってきてびっくり。もう秋も終盤ですね!
今日は知事公館に仕事の関係で立ち寄りましたので、その秋景色の写真を掲載します。
合わせて、この建物はいろいろな歴史が重なった場所でもありますので、それも少しだけ紹介しますね。
実は、元々は三井の栄華を象徴する「三井クラブ」だった。
この英国スタイルの建物は、三井合名会社が森源三氏の敷地と邸宅を購入した後して「三井別邸」として使用していた時、1936年にその別邸の新館として建設されたものなのです。通称「三井クラブ」と呼ばれていました。
戦後は米軍に接収された後、1953年に道有地となり、旧三井別邸の新館は「知事公館」として使用され始めたのです。
当時、北海道の炭鉱は飛ぶ鳥を落とす勢いでした。三井は1899年に北炭(北海道炭礦汽船)の経営にも参画して、北炭と合わせて実質的に北海道最大の石炭取り扱いを誇る企業グループとなりました。1937年には小樽に三井物産小樽支店(現在の松田ビル)を建設し、札幌ではこのように瀟洒で大きな別邸新館を作ったのです。
同時期の1937年に永山武四郎邸に併設された三菱合資会社の保養施設「三菱鉱業寮」との大きさを比較すると、いかに当時の三井の勢いがすごかったのかを思い知らされます。
建物に隣接した芝生エリアは、わんちゃんは入ることができないので、ご注意くださいね。
知事公館をめぐる、さらに古い歴史、「メム」。
札幌は明治に入って計画的に開墾され、整地されましたが、この知事公館スペースや隣の植物園のスペースは、それ以前の原始の札幌の姿が残っていると言われます。ちょうどこの北1条通りあたりに、地層の関係で地下水がアイヌでいうところのメムという泉になって湧きてくる地点が点在しています。この敷地内では、その崖線のメムから出てくる水の流れによって侵食された凹凸由来の地形が残っていると思われます。
おそらくこの敷地には2つのメムがあり、それらからの湧水が「セロンペツ川」となって最終的には昔の石狩川水系に流れ込んでいました。
ここにもたたずむ安田侃氏「意心帰」周囲の紅葉が綺麗。
美唄生まれの世界的な彫刻家、安田侃氏の14トンにもなる重厚な作品「意心帰」の周囲に、数はわずかですが桜と楓の見事な紅葉がありました。緑の芝生、白い大理石、そして紅葉のコントラストはとても綺麗。
紅葉の盛りは、おそらくこの週末くらいまでかなと思いますので、ぜひお時間ある方は立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
■知事公館■
住所:札幌市中央区北1条西16丁目
TEL : 011-611-4221
開館時間:9:00~17:00
閉館日:土曜日・日曜日・祝日、年末年始(12月29日~1月3日)
見学に当たっての留意事項
・行事の開催、公務等により見学できない場合もあり
■庭園(公開区)■
開放期間(土日・祝日を含む)
・4月29日~9月30日 8:45~17:30
・10月1日~10月31日 8:45~17:00
・11月1日~11月30日 8:45~16:00
閉園期間
12月1日~4月28日まで
オフィシャルサイトは、こちら。