【富田林市】佐備地区にある岸之本橋は、富田林唯一の日本近代土木遺産!どんな橋なのか見てきました。
日本近代土木遺産をご存じでしょうか?これは公益社団法人土木学会が、幕末以降、西洋の近代土木技術が導入されてから第二次世界大戦頃までにつくられた土木施設のうち、現存しているものを、全国調査を行って順次遺産として定義している物です。
重要性の高いものからABCとランク付けされており、年々その数は増加。2008年に発行された改訂版では2800もの近代土木遺産が発見、指定されています。
ちなみに千早赤阪村と河内長野市を結んでいた千早洞も日本の近代土木遺産のCランクに指定されています。
では、富田林には日本近代土木遺産はあるのか調べてみました。するとひとつだけありました。それは岸之本橋(Cランク)です。しかしこの橋は富田林市のどこにあるのでしょうか?
岸之本橋を調べると、佐備地区にありました。佐備川に架かる橋で、南北に走っているバス道から岸之本地区に向かう途中にある橋です。
さて、実際の岸之本橋を見てみましょう。富田林駅から金剛バスの東條線に乗り込みます。最寄りのバス停は東条小学校前もしくは上佐備バス停下車です。
バスを降りると農作物を生産している地域とあって「夢農空間 東條てんこもり」の看板が見えます。
バス道を少し歩き、日本カーペット工業の横の道を東方向に曲がります。
佐備川の東にある岸之本地区方向に歩いて行くと。
やがて橋が見えてきました。これが岸之本橋です。
橋にはっきりと名前が刻まれていますね。
岸之本橋は「きしのもとはし(ばし?)」と読むようです。
岸之本橋は1931(昭和4)年7月に建設されました。そのため富田林市の防災マップでは補修が必要とメモ書きされています。
橋を渡ってみましょう。橋の長さは情報が無くてわかりませんでしたが、見たところ十数メートルくらいでしょうか?
橋の西側は、川の水が見えず竹やぶで覆われていました。残念なことに、下には降りられそうにないです。
しばらく歩くと佐備川の流れが見えてきました。これは上流(南側)方面をみたところ。
それに対して下流(北側)を見るとこんな感じで、川の段差が見えました。
さて、上の部分だけ見ると石でできた古い橋というのがわかりますが、それほど長くないし、見た目特徴があるように見えません。しかしこの橋はアーチ橋で、どうやら橋の下の方に特徴があるようです。
土木遺産の資料には、岸之本橋はRC充腹アーチとありますが、RCとは鉄筋コンクリートを使用している橋のことです。
それに対してPCとは、プレストレスト・コンクリートと呼ばれるひび割れの発生を防ぐ素材を使った橋です。
次に充腹アーチとあります。これは何かと調べてみると、アーチ橋は人や車などが通行できる路面の位置により上路、中路、下路と分かれていること。充腹アーチはその中の上路式に該当します。
上路式の中でも路面の間に材料が隙間なく敷き詰められているのが充腹アーチです。これは橋の素材に石材を使っていた古い形式の橋のスタイル。
橋から少し離れた位置から見ると、岸之本橋が充腹アーチであることがわかりました。
別の角度から見てみましょう。上からだと橋の欄干と道路があるだけなのに、横から見ると歴史のあるアーチ橋というのがわかります。
日本近代土木遺産ではCランクに位置づけられている富田林市唯一の岸之本橋。単なる古い橋というだけでなく、その橋が遺産として指定されているのを知ると、また違ったイメージで見られますね。ぜひ、美しい橋の横からの姿を見てください。
岸之本橋
住所:大阪府富田林市佐備
アクセス:富田林駅からバス、東条小学校前又は上佐備バス停下車徒歩5分
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