シリア北部の国境地帯で、ロシア軍、トルコ軍、そして政府軍の代表が一堂に会す
英国で活動する反体制系NGOのシリア人権監視団は、ロシア軍憲兵隊、トルコ軍士官、シリア軍代表が6月11日、シリア北部のラッカ県アイン・イーサー市近郊に位置するタグリーブ村に一堂に会し、会合を開いたと発表した。
シリア人権監視団によると、同様の合同会合は、アレッポ県アイン・アラブ(コバネ)市近郊のガリーブ村でも開かれたという。
シリア事件監視団が公開した映像 には、ヘリコプターと装甲車で現地入りするトルコ軍士官の様子が撮影されている。
会合の目的は明らかではないが、ロシア軍は6月10日、アレッポ市とハサカ県を結ぶM4高速道路沿線に展開して道路を封鎖しており、これと関係があると思われる。
シリア北部は、2019年10月にロシアとトルコが交わした停戦合意に従い、クルド民族主義系の人民防衛隊(YPG)を主体とするシリア民主軍が撤退、これに代わってトルコがラッカ県のタッル・アブヤド市やハサカ県ラアス・アイン市を占領(「平和の泉」地域)、またそれ以外の国境地帯にはシリア軍とロシア軍が展開、両軍、そしてロシア・トルコ軍がそれぞれ合同パトロールを実施、警備にあたっている。
トルコ占領地の南側を走るM4高速道路沿線一帯には、シリア民主軍に加えて、シリア軍、ロシア軍が展開、5月25日にアレッポ市からハサカ県ヤアルビーヤ町にいたる全線が再開していた。
だが、6月の収穫期に入り、トルコ軍とその支援を受ける国民軍(Turkish-backed Free Syrian Army、TFSA)がM4高速道路沿線各所への砲撃を激化させ、穀物畑が火災の被害を受けている。
(「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」をもとに作成)