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ブラジル人ジャーナリストが語る「カタールW杯は頂くよ」

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:ロイター/アフロ)

 ブラジル南部のリオグランデ・ド・スル州ポルトアレグレ。

 今日、ブラジル1部リーグに所属し、2006年のクラブワールドカップを制したSCインテルナシオナルと、現在2部に低迷しているものの、1983年に東京で行われたインターコンチネンタルカップ(トヨタカップ)で勝利したグレミオFBPAのホームタウンだ。街も2つのチームのファンで二分される。

撮影:筆者
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 2012年より、グレミオFBPAのコメンテイターとして、全てのゲームを実況席から見つめるコボイ・マリオにカタールW杯を占ってもらった。

 「今回のブラジルは強いよ。南米予選もまったく危なげなく、無敗で突破しただろう。6度目のVを成し遂げるに相応しいチームだと確信している。ワールドカップを制するチームって、いつも常識外だよね。今のセレソンには、それがあると思うんだ。失点が少ないうえに、得点力がある。エースのネイマールだけじゃなく、多彩な攻撃ができるのが強みだ。穴が見当たらない!

 ただ、当然のことながらワールドカップ本戦は激しいゲームが続くさ。大きな論議も生まれるだろう。それでも、全てを超越できるチームに仕上がっている気がする。問題なしと言っていいんじゃないかな。

 セレソンは、国民全員の期待を背負っている。2014年のブラジル大会でドイツに1-7と惨敗し、ロシア大会でも準々決勝でベルギーにやられた(1-2)。その反省を生かして、若返りを図ったよね。だからこそ、今があると信じている。我々はいつだって、セレソンが勝つためにサポートするさ。是が非でも、6度目のタイトルを獲得してもらいたい」

撮影:筆者
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 とはいえ、ブラジルもコロナ禍の影響は大きく、1部リーグでさえスタディアムが常に満員という訳ではない。まして、マリオが取材するグレミオFBPAは2部リーグにいることもあり、空席が目立つ。それは、サッカー大国ブラジルとは思えないほどの光景だ。

 カタールでのカナリアの活躍は、ブラジルの明日を大きく左右しそうだ。

 「きっと、全てを変えてくれると信じて、応援するだけだね」

撮影:筆者
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 さて、ドイツ、スペイン、コスタリカと同組に入ったサムライブルーに関する印象も訊ねた。

 「日本代表は、よく戦うチームだなって感じる。難しいグループに入ってしまったよね。その点はアンラッキーと言わざるを得ない。でも、ベスト16に進出する可能性がゼロじゃない。

 今、ドイツとスペインは、驚くべきレベルのサッカーを見せている。非常にクオリティーが高い。日本が立ち向かうには、走り勝つこと、そしてハードワークしかないだろう。僕の口からは『Good luck!』としか言えないな」

 刻一刻と開幕に向かうカタールW杯。世界中が熱く燃えるのは間も無くだ。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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