チャンピオン夫妻のジム
第53代日本フェザー級チャンピオンの梅津宏治と、第2代WBAライトミニマム級、同アトム級暫定、第3代IBFアトム級王者だった宮尾綾香夫妻が、JR「馬橋」駅前に「フィットネス ボクシング RPG」ジムをオープンして、まもなく3カ月になる。
現役時代から、知性派ボクサーとして定評のあった梅津は語る。
「都内に比べると人口は少ないですが、予定通り順調に会員数も増えております。8割の方が初心者で、3分の1が女性会員と、開業前のイメージ通りです。皆様素敵な方ばかりで、ジムの雰囲気もとても良いです!」
チャンピオン夫妻が会員さんと接する時に気をつけている事は?と訊ねると、梅津は答えた。
「何気ない会話や指導中に、その方が何を求めているかを汲み取り、それぞれの方の目標に合わせたトレーニングメニューを考えています。男女共に、筋肉をつけたいという会員さんは沢山おりますので、私達夫婦も一緒に筋トレしており、これが結構盛り上がるんですよ(笑)。
もう一点は、大手スポーツジムとは違うので、会員さんとの距離が遠くならないようにと考えていますね。もちろん、会員さんに馴れ馴れしくするわけではなく、和気藹々と皆様が楽しめる絶妙な距離感を意識しております。10年、20年と、会員様に楽しく通って頂けるような、アットホームなジムを目指しています」
梅津と宮尾はこの2カ月で、新たな発見をした。
「何かを始めるのに、年齢は関係ないのだなと思いました。初心者の方が圧倒的で、79歳からボクシングを始める方もおられます。特に61歳の男性開業医、須郷正德院長のボクシングに対する向上心や練習量には驚かされました。週4日くらいご来館されております。そして、週に1回は、90分のパーソナルトレーニングも受けていらっしゃいます。毎回、スタミナと技術の向上に、本当に吃驚しますよ。
当ジムはお盆期間中も営業していたのですが、お盆期間中、毎日練習に来られてパーソナルトレーニングも1日おきに行いました。最終日のトレーニング後、素敵な笑顔で『小学生以来の、楽しい夏休みをありがとうございました!』と、とても嬉しいお言葉を頂きました。その際、『何歳になっても心と身体が充実していれば、楽しみながら何でも出来るんだな』と感じました」
梅津はしみじみと言う。
「私は現役時代からフィットネスボクシングジム開業を考えておりましたが、かなり遅いタイミングでの開業となりました。日本チャンピオン返り咲きの目標を果たしたくて、39歳まで現役を続け、引退後は嫁に出会ってしまい(笑)、嫁の世界チャンピオン返り咲きという目標を果たすために、46歳になってしまいました。
何歳まで元気に動けるのか?という、年齢的な不安がありましたが、須郷先生のお陰で、その不安も払拭されました」
夫婦でチャンピオンベルトを巻いた、質の高い指導法が「フィットネス ボクシング RPG」ジムの売りである。2人共20年以上のボクシングキャリアがあり、男性も女性もしっかり指導出来る。男性チャンピオンのフィットネス・ボクシングジムというのは沢山あるが、女子世界チャンピオンが店長というジムは見当たらない。
「やはり、女性トレーナーに指導を受けたいと思う女性は沢山います。さらに、その女性トレーナーが世界チャンピオンで鍼灸師という事は、指導や会話に大きな説得力があると感じます。
時々、女性だけの時間帯があるのですが、女子の部活のようで本当に楽しそうです。あの雰囲気は、男性トレーナーには絶対に出せないと思います」
梅津は結んだ。
「とにかく、怪我なくボクシングを楽しむ! が、我がジムのモットーです。<ボクシングを楽しむことにより、健康に笑顔に!>がスローガンですかね。身体(体幹・体軸)の使い方をしっかり学んで頂き、怪我をしない身体作りとフォームを丁寧に指導いたします。
プロボクシングは、勝負事であり減量や大怪我などもある過酷なスポーツなので、選手によっては厳しくしなければならない時もあると思います。でも、フィットネスボクシングは、とにかく怪我なく楽しく! ですね。繰り返しになりますが、ボクシングという素晴らしいスポーツを、怪我なく楽しんで頂き健康になって頂きたいと考えております」
チャンプオン夫妻の表情から、充実度が伝わってきた。