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イライラする上司を「黙らす」効果的な方法とは?

横山信弘経営コラムニスト
ちょっと黙っててほしいなァ……(写真:アフロ)

話をしていてイライラする上司

話をしていてイライラする上司はいませんか。会社や同僚、お客様の悪口を言う。仕事の愚痴をこぼす。過去の自慢話に明け暮れる。家庭の不満をぶちまける。内容はそれほど問題はなくても、忙しいときにかぎって、やたらと長話をしてくる上司にもイライラしますよね。相手が上司ですから、「いま忙しいので、あとにしてくれませんか?」とは、なかなか言えません。

現実的かどうかは別にして、このような問題の解決方法は3つあります。

1.反論する

2.無視する

3.黙らす

お互いが協力し合って、何らかの問題を解決したり、目標を達成させる場合は、正しいコミュニケーションをとって話を前に進めなければなりません。ですから「反論」をし、相手の考えを改めてもらう必要があるでしょう。しかし、単なる雑談や、表面的なコミュニケーションをしている場合なら、「無視」も選択肢のひとつ。しかし前述したとおり、相手が上司なら、無視することはなかなかできません。

それに「反論」も「無視」も、上司との関係をぎこちなくさせます。しこりを残すことは間違いないでしょう。それでも問題がない間柄ならばよい。しかし、上司との関係は維持しつつ、それでいて、いい加減、黙ってもらいたい場合はどうするか。

そこで、相手にストレスを与えずに「黙ってもらえる方法」を考えてみます。100%誰にでも効果てきめんの手法ではありませんが、試す価値はある方法です。その方法とは、「話の軸を捻じる」やり方です。

話を逸らそうとしてはダメ

たとえ雑談でも、必ず話の論点となる「軸」があります。同僚に対する批判という軸、新しい企画に対する不満という軸、今年の新入社員が想像以上に期待を下回ったという軸……等。簡単に、やりとりを書いてみましょう。

「今年入社した新入社員、どう思う? ひどいな。まさか、あんなにひどいとは思わなかった。この前もさ、エレベーターで会っても私に何も挨拶せず、ずっとスマホを見てるんだ。エレベーターに乗っているときぐらい、スマホなんか見なくてもいいだろう。そう思わないか」

「そうですね……」

「3日間の新入社員研修を受けたはずだ。なのに上司に挨拶もできないだなんて、どうかしてる。そういえば、今年から新入社員研修をお願いした研修会社どこだっけ?」

「さあ……」

「人事部の問題だよな。採用プロセスがおかしいから、あんな新入社員が入ってくるわけだし、変な研修会社に頼むから、ちゃんと教育がされないんだ」

「たまたま、じゃないでしょうか。私が接しているかぎり、今年の新入社員の皆さんは、みんな礼儀正しいですよ」

「おいおいどこが! 誰の話をしてんの? 言ってみてよ。どこに配属した誰が礼儀正しいの? 教えてほしいねェ。え? 誰のこと?」

「ああ、もういい加減にしてほしい。イライラする……。30分後には提出しなくちゃいけない資料作りをしてる最中なのに……」

……と、イライラする上司とこのように「軸」――論点を合わせて話をしようとすると、よけいにイライラする事態になります。そこで「話の軸を捻じる」のです。「逸らす」のではありません。

「課長、そんなこと言ってないで、明日の課長会議の準備でもしたらどうですか。そうだ! 係長が課長に話をしたがっているような気がしますよ」

などとしらじらしく逸らそうとすると、

「おいおい、話を逸らそうとしたってダメだよ。もう一回聞くけど、誰が礼儀正しい新入社員だって? ん? 教えてくれよ。今すぐ」

このような、最悪の展開になるかもしれません。ですから「捻じる」のです。

話を「逸らす」のではなく「捻じる」

相手の話の論点……「軸」に合わせるのではなく、話の「枝葉」に合わせて話を組み立てる努力をする。そうすると、うまく「捻じる」ことができます。特定のワード(単語)だけをピックアップし、そのワードを中心にセンテンスを回転させると、見事に話の軸を捻じることができます。

「今年入社した新入社員、どう思う? ひどいな。まさか、あんなにひどいとは思わなかった。この前もさ、エレベーターで会っても私に何も挨拶せず、ずっとスマホを見てるんだ。エレベーターに乗っているときぐらい、スマホなんか見なくてもいいだろう。そう思わないか」

「ああ、いますよね。エレベーターでスマホばかり見てる人。私も今朝、会いましたよ。ヒドイ人が」

「ヒドイ人?」

「はい。本当にヒドイんですよ。聞いてください。朝、オフィスのエレベーターに乗ろうとしたら、目の前で扉が閉まろうとするんです。中に人がいるんですよ。でもスマホをずっと見ているせいで、『開く』ボタンを押してくれなかったんです」

「ほう……」

「ヒドくないですか? こっちは朝の出勤で急いでいるのに。6階で降りた40代ぐらいの男性です」

「6階かァ」

「6階って、どういう会社が入ってるんでしたっけ?」

「確か小さな商社と、IT企業だったような気がするけど……」

自分自身も、今年入社した社員に問題が多いと感じているなら「そうそう! そうですよね。私もそう思ってました」と調子を合わせることはできます。しかし、そう思ってもいないのに、自分に嘘をついてまで話を合わせることは難しいはず。そういう場合は、このように話の軸を捻じり続け、話を「あさっての方向」へ無理やり飛ばします。上司の高ぶっている感情も、徐々に落ち着いてくるかもしれないからです。

イライラする上司と話をするときの対処法として、「話の軸を捻じる」やり方を、活用してみてはいかがでしょうか。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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