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関東・東海で春一番 春の嵐のち冬の嵐で北日本・北陸はかなりの積雪が残っている所への降雪に注意

饒村曜気象予報士
関東・東海に春一番が吹いた時の気象衛星画像(3月5日12時)

春一番

 令和4年(2022年)3月5日、発達中の低気圧が沿海州から日本海北部沿海州を通過したため、関東甲信地方と東海地方で春一番が観測されました(図1)。

図1 地上天気図(3月5日12時)
図1 地上天気図(3月5日12時)

 2月15日に北陸地方で前年より5日早く春一番が吹いていますので、それに次ぐ春一番です。

 「春一番」の基準は地方により異なりますが、立春(今年は2月4日)から春分(今年は3月21日)までの間に日本海で低気圧が発達し、南寄りの風が強く吹いて気温が上昇することが目安です(表)。

表 「春一番」を発表する目安となる定義
表 「春一番」を発表する目安となる定義

 昨年までの関東地方の春一番の基準は、東京都千代田区北の丸公園にある風速計で平均風速8メートル以上を観測したかどうかでした。

 房総半島の館山や、東京都大田区の羽田空港などで平均風速が8メートル以上の強い風が吹いていても、「春一番」にはしなかったのですが、ことしから下記のように定義が少し変わっています。

関東地方の「春一番」は、下記事項を基本として総合的に判断して発表する。

1 立春から春分までの間で、

2 日本海に低気圧があり、

3 関東地方における最大風速が、おおむね風力5(風速8メートル)以上の南寄りの風が吹いて、昇温した場合。

 ただ、2月5日は、東京・北の丸公園での最大風速は南南西の風8.3メートル(15時31分)、最大瞬間風速は南南西の風14.6メートル(16時30分)、最高気温17.9度(14時30分)ですので、これまでの基準でも、今年の基準でも、3月6日に春一番です。

 春一番が吹いて気温が上昇し、関東から東海では4月上旬並みの気温となっています。

 しかし、低気圧や前線が通過した6日は、寒気が再び南下しますので、つかぬまの暖かさになりそうです。

各地の10日間予報

 各地の10日間予報をみると、寒気が再び南下するといっても、一頃の寒さにはなりません(図2)。

図2 各地の10日間予報(数字は最高気温)
図2 各地の10日間予報(数字は最高気温)

 3月6日の名古屋の最高気温が9度と一桁ですが、東日本から西日本の多くの地点では寒くなるといっても10度はあります。

 平年並みも、一年で一番寒い1月下旬ころと比べると5度程度高くなっていますので、平年並みにといっても一頃の寒さではありません。

 そして、低気圧が通過してほぼ全国的に雨となる14日までは、晴れの日が続く所が多い予報となっています。

北日本・北陸の雪

 関東・東海に春一番を吹かせた春の嵐の次は、西高東低の冬型の気圧配置となって寒気が南下してきます(図3)。

図3 予想天気図(左は6日9時、右は7日9時の予想)
図3 予想天気図(左は6日9時、右は7日9時の予想)

 このため、3月6日は北日本を中心に暴風が吹き、北日本と北陸で50センチ以上の雪が降る見込みです(図4)。

図4 3月8日3時までの48時間予想降雪量
図4 3月8日3時までの48時間予想降雪量

 これまで平年より多くの雪が降り、かなりの積雪が残っている所への降雪です(図5)。

図5 積雪深(3月6日2時現在)
図5 積雪深(3月6日2時現在)

 なだれや落雪の危険性が非常に高い降雪ですので、十分な注意が必要です。

 変わりやすい季節ですが、季節は着実に暖かい春に近づいています。

 ただ、早春の常として寒暖差が大きい日が続きますので、体調管理に気を付けてください。

タイトル画像、図2、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図3の出典:気象庁ホームページ。

表の出典:気象庁資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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