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昨年タイトルを獲得した選手たちの今シーズン前半はどうだったのか。首位打者はリーグを移っても安打を量産

宇根夏樹ベースボール・ライター
ルイス・アライズ(マイアミ・マーリンズ)Jul 6, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨シーズン、ルイス・アライズ(当時ミネソタ・ツインズ/現マイアミ・マーリンズ)は、ア・リーグの首位打者を獲得した。今シーズンは、ナ・リーグの首位打者となりそうだ。ここまでの打率は.383。リーグ2位のロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)に、50ポイント以上の差をつけている(.001=1ポイントとして表記)。

 ちなみに、アライズは、前年に続いてオールスター・ゲームに選ばれ、今年は2打席ともヒットを打った。初選出の昨年は三振とヒットだったので、3打席連続安打を継続中ということになる。

 また、今年のオールスター・ゲームには、パブロ・ロペスも選出された。昨オフ、アライズとロペスは、チームを入れ替わった。1対3のトレードだ。2人のマイナーリーガーとともに、ロペスはマーリンズからツインズへ移った。

 昨シーズン、ロペスは、先発32登板で防御率3.75を記録した。今シーズンの前半は、先発18登板で防御率3.89だ。奪三振率は8.70→11.19、与四球率は2.65→2.43、FIPは3.71→3.17と推移している。オールスター・ゲームでは、被安打2本ながら、1イニングを投げて無失点。アライズとの対戦はなかった。

 アライズを除くと、昨シーズンの首位打者、本塁打王、打点王、盗塁王のうち、タイトルを獲得したのと同じ部門でリーグ・トップ5にランクインしている選手は3人いる。カイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)とアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)は、それぞれのリーグの本塁打5位タイ。ホルヘ・マテオ(ボルティモア・オリオールズ)は、ア・リーグの盗塁4位タイに位置する。

筆者作成
筆者作成

 シュワーバーの22本塁打は、ナ・リーグ1位のマット・オルソン(ブレーブス)と7本差だ。ジャッジは、6月上旬に離脱するまでに19本のホームランを打ち、その時点ではア・リーグ1位だったが、現在は1位の大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)と13本差。2位のルイス・ロバートJr.(シカゴ・ホワイトソックス)との差も、小さくはない。こちらは7本差だ。

 シュワーバーは、昨年6月の16本塁打を筆頭に、月間二桁本塁打を4度記録している。この実績からすると、2年連続本塁打王の可能性はまだありそうだ。だが、ナ・リーグには、オルソン以外にも25本塁打以上が2人いる。ピート・アロンゾ(ニューヨーク・メッツ)とムーキー・ベッツ(ロサンゼルス・ドジャース)が、26本のホームランを打っている。

 ジャッジは、本塁打王と打点王のどちらも難しい。2年連続本塁打王があるとすれば、トレード・デッドラインまでに大谷がナ・リーグのチームへ移籍→自身は遅くとも8月上旬に復帰→そこからホームランを量産、というシナリオ以外は考えにくい。

 マテオは、トップのエステウリー・ルイーズ(オークランド・アスレティックス)との差が21盗塁もある。ただ、ルイーズは、7月上旬に右肩を痛めた。このまま復帰できない場合――そうならないことを願うが――ア・リーグの盗塁王の行方は、混沌としてくるかもしれない。ルイーズに次ぐワンダー・フランコ(タンパベイ・レイズ)は、28盗塁だ。

 アロンゾは、4年ぶり2度目の本塁打王に加え、昨シーズンに続く2度目の打点王もあり得る。現時点の順位は、ナ・リーグ6位タイ。1位のオルソンとの差は11打点だ。

 昨シーズンのタイトル・ホルダーの投手たちについては、こちらで書いた。

「昨年タイトルを獲得した投手たちの今シーズン前半はどうだったのか。最多勝投手はここまで0勝」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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