最年少ドライバーはなんと10歳!グランツーリスモ日本一決定戦を戦う、世界レベルのツワモノ達
2020年、コロナ禍の自粛期間中にひときわ注目を集めたのが「eスポーツ」だ。
なかでもスポーツドライビング、自動車レースのゲームはハンドルコントローラーを使うため、現実(リアル)に最も近いeスポーツと言われている。
世界で最もポピュラーなドライビングシミュレーターソフトの一つ、「グランツーリスモ」シリーズを使った大会は毎回多くのエントリーを集め、世界選手権レースも開催されるほど。
今週末、12月26日(土)〜27日(日)には日本一を決める「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2020 KAGOSHIMA」がプレイステーション4の「グランツーリスモSPORT」を使って、オンライン対戦で実施される。
プレイステーションのYouTubeで生中継されるレースの見どころをご紹介しよう。
最年少は10歳が出場!プロとの差は僅か0.2秒
昨年は茨城国体の文化プログラムとして全国47都道府県の代表選手を集めた大会が開催されたが、今年は鹿児島国体がコロナ禍で中止となってしまった。
しかし、国体に向けたオンライン予選がすでに今年3月から始まっていた。残念ながら国体は中止されたが、夏に県代表から地域ごとのブロック代表を決めるオンラインレースを実施。少年の部20名、一般の部20名、合計40名の精鋭達が12月26日(土)〜27日(日)の全国大会への進出を決めた。
6歳から参戦できる少年の部に参戦するドライバーの平均年齢は15.3歳。中学生から高校生のドライバーが中心ではあるが、最年少で全国大会の進出を決めたのは兵庫県の石野弘貴(いしの・こうき/10歳)。なんと小学5年生のドライバーが関西ブロック代表決定戦で優勝。プレイヤー人口が多くレベルが高い関西ブロックの戦いを勝ち上がってきた。
(↑石野の全国大会進出を伝える神戸新聞のツイッター)
10歳の石野はオートポリスをFIA GT3に相当するGr.3車両でタイムアタックする都道府県予選で1分43秒995をマーク(兵庫県1位)。少年の部で43秒台をマークできたドライバーは全国でも数人だけだ。
実はオンラインで開催された都道府県予選はコロナ禍の自粛期間中だったこともあり、現実のモータースポーツ選手が多数トライ。SUPER GTやスーパーフォーミュラで活躍する福住仁嶺のタイムは1分43秒817(徳島県1位)。
10歳の石野のタイムはプロドライバーから約0.2秒以下の差というのだから、そのタイムがいかに凄いかが分かるだろう。
もちろんプロドライバーがさらに時間をかけて研究を重ねればさらに速いタイムをマークできるだろうから、比較するのは失礼な話だが、この条件で1分43秒台を出せるのは全参加者の中で上位1%未満の領域。限界とも言える領域に辿り着くのは並大抵の事ではなく、筆者はどれだけ頑張っても1分47秒台しか出せなかった。
【少年の部 出場選手】
植野冬夷(17歳/北海道)、伊藤颯太(16歳/秋田県)、鈴木聖弥(16歳/福島県)、山川凌河(17歳/長野県)、大塚悠登(17歳/石川県)、小林陽樹(12歳/茨城県)、佐々木唯人(17歳/東京都)、稲葉隼平(17歳/東京都)、三宅拓磨(16歳/東京都)、奥津陸(16歳/神奈川県)、佐藤彰太(17歳/三重県)、冬野凌羽(15歳/愛知県)、田中玄龍(12歳/愛知県)、曽我爽太(15歳/京都府)、稲田圭将(17歳/和歌山県)、石野弘貴(10歳/兵庫県)、石水優夢(15歳/岡山県)、稲田大翔(12歳/徳島県)、新木悠真(15歳/熊本県)、有川恒平(17歳/鹿児島県)
今年は自宅からオンライン参戦
「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 KAGOSHIMA」は全員がオンライン参加でレースを実施する。つまり自宅の慣れた環境からレースに参加することができるわけだ。
昨年の茨城国体では県代表決定戦、全国大会がオフライン開催=イベント会場での実施だった。普段自分が使い慣れているコントローラーとは別のものを使い、お客さんに見られているという緊張感の中でレースをしなくてはならなかったのだ。
ただ、今年はオンライン対戦のため、自身の本来の実力、集中力を発揮することができ、レースはかなりクオリティの高いものになるだろう。
YouTubeで中継されるレースでぜひ見て欲しいのが選手達のマナーとスポーツマンシップだ。自動車レースのゲームというと現実ではあり得ない無茶なドライビングをするイメージがあるが、FIA(国際自動車連盟)公認の国際レースも開催する「グランツーリスモ」では現実のモータースポーツと同じく相手のドライバーを思うスポーツマンシップが求められる。
無理なツッコミによる追突、執拗なブロック、コース外走行などには減速などのペナルティが下るため、無茶なドライビングは自分にとってマイナスにしかならない。全国大会に出てくるようなトップドライバーはコーナーでのバトルもしっかりと相手にスペースを残して、接触スレスレのバトルを展開するので、本当に見ごたえたっぷりだ。
誰が速いか、というレース本来の視点にプラスして、勝負の分かれ目となる冷静なレース運びやレース戦略の巧みさも感じ取りながらレースを見て欲しい。グランツーリスモでは時に現実のレース以上にドラマティックなレースが生まれることも多いのだ。
【全国大会フォーマット】
・少年の部
準決勝レース1: 鈴鹿サーキット/ロードスター・ツーリングカー
準決勝レース2: レッドブルリンク/Gr3
決勝: オートポリス/レッドブルX2014 ジュニア
・一般の部
準決勝レース1: 富士スピードウェイ/日産GT-R ニスモ
準決勝レース2: インテルラゴス/Gr3
決勝: スパフランコルシャン/スーパーフォーミュラSF19 トヨタ
世界三冠の宮園か、山中の連覇か?
まだ運転免許が取得できない年齢の少年の部にも驚かされるが、FIAグランツーリスモ選手権にも参戦するトップドライバーが出場する一般の部(18歳以上)のレースは要注目である。
昨年の一般の部は各都道府県代表選手2名がペアを組み、耐久レース形式で戦う団体戦だった。しかし、今年は少年の部と同様に個人戦として開催される。
全国大会20名の選手を選ぶブロック代表決定戦からレベルの高いバトルが見られた一般の部では、国際レース大会にも出場するトップドライバーですら敗退するという波乱続き。昨年のウイナーである栃木県代表の一人、高橋拓也はオンライン予選で敗退してしまった。
一方でもう一人の栃木県代表、山中智瑛(やまなか・ともあき)は冷静なレース運びで全国大会に進出。山中は先日行われた「ポルシェ・eスポーツレーシングジャパン シーズン2」でも優勝するなど好調で、今大会の連覇を狙う。
その山中の最大のライバルとなるのが、今年FIAグランツーリスモ選手権の2部門、GRスープラGTカップの3つで世界一に輝いた兵庫県代表の宮園拓真(みやぞの・たくま)だ。2月にシドニーで開催されたワールドツアーでFIAグランツーリスモ選手権ネイションズカップ初優勝を飾って以来、勢いに乗る宮園。その巧みな世界ナンバーワンのレースメイクは今大会でも要注目だ。
さらに昨年は2位で涙を飲んだ愛知県代表の川上奏(かわかみ・かなた)、長和樹(ちょう・かずき)は2人とも全国大会進出。昨年3位の大阪府代表、今村駿佑(いまむら・しゅんすけ)など山中、宮園のライバルは多い。
日本一を決定する最後の決勝レースはクルマのチョイスが分かれない、スーパーフォーミュラSF19・トヨタを使ったスパ・フランコルシャンでのワンメイクレースが設定されており、世界トップクラスのガチンコ勝負が見られそうだ。
レースの模様はプレイステーションのYouTubeチャンネルで生中継される
【一般の部 出場選手】
黒畑蓉(24歳/北海道)、髙橋泰斗(20歳/宮城県)、滝田歩夢(26歳/石川県)、杉守翔平(28歳/富山県)、林裕樹(19歳/東京都)、森龍太郎(23歳/東京都)、鍋谷奏輝(19歳/埼玉県)、谷孝二(24歳/埼玉県)、山中智瑛(26歳/栃木県)、川上奏(24歳/愛知県)、加藤達彦(20歳/愛知県)、長和樹(27歳/愛知県)、今村駿佑(21歳/大阪府)、三宅陽大(19歳/大阪府)、宮園拓真(20歳/兵庫県)、奥本博志(19歳/岡山県)、松坂康永(22歳/高知県)、中村勇斗(18歳/福岡県)、井芹颯真(19歳/熊本県)、吉元陵(30歳/鹿児島県)