Yahoo!ニュース

これからの教育担当者に必要な5つの能力 連載(3)研修前、研修中、研修後に何をしているか

三城雄児治療家 ビジネスブレークスルー大学准教授 JIN-G創業者

連載企画 これからの教育担当者に必要な5つの能力

(3)研修前、研修中、研修後に何をしているか

まず第1に「研修前」の準備段階では、現場の社員たちが何に困っているのかを徹底的に洗い出しただろうか。各部門のキーパーソンにインタビューを実施したり、アンケート調査を実施したりしたか。経営者に中長期の事業方針を確認し、そのために必要な人材とはどのような人材なのか、どのような知識・技能・意識を社員に身につけてもらうことが今、必要なのかを議論したか。そのうえで、研修終了後の目標像を明らかにしただろうか。また、いったん研修を企画したら、本人が研修に参加する前に、当該研修の意義を本人やその上司にわかりやすく事前説明したか。

第2に「研修中」はどうだろう。積極的に研修受講生の輪の中に入り、受講者の議論内容や当該テーマにかける思いや課題を共有しただろうか。講義で分かりにくい点があったら、講師にフォローを依頼しただろうか。受講者の顔色をみながら、その講座の評価を実施していただろうか。そして、研修終了後に、講師に対して次の機会に向けたフィードバックを行っただろうか。

そして第3は「研修後」のフォローである。1人ひとりの受講生のその後の様子を観察しているだろうか。事後の変化についてモニタリングしているか。次なる課題をヒアリングしているか。

ビックピクチャーがない中で、日常的に研修プログラムをオペレーション志向で回すだけなら、研修部門に大卒の有能な社員を配属する必要はないだろう。現場の真のニーズを把握して人材開発施策に反映させるのが人材開発部門の正社員に求められる役割である。つまり、洗練されたオペレーションを行うために必要になるのは、コンサルタントのような「問題解決能力」である(図表3)。

(図表3)

画像

(第4回につづく)

治療家 ビジネスブレークスルー大学准教授 JIN-G創業者

早稲田大学政治経済学部卒業。銀行員、ベンチャー企業、コンサルファームを経て、JIN-G Groupを創業。グループ3社の経営をしながら、ビジネス・ブレークスルー大学准教授、タイ古式ヨガマッサージセラピストの活動に取組む。また、会社員としてコンサルファームのディレクターとしても活動し、新しい時代の働き方を自ら実践し、お客さまや学生に向け、組織変容や自己変容の支援をしている。組織/個人に対して、治療家として、東洋伝統医療の技能を活用。著書に「21世紀を勝ち抜く決め手 グローバル人材マネジメント」(日経BP社)「リーダーに強さはいらないーフォロワーを育て最高のチームをつくる」(あさ出版)がある。

三城雄児の最近の記事