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ついカッコつけちゃう私。ホッとできる男性を見つけました~お見合いおじさん活動月報(8)~

大宮冬洋フリーライター
筆者主催の読者交流食事会「スナック大宮」でカップルが自然発生しました

 自分も楽しくて他人の役にも立てる趣味がほしいと思ったのです。恋バナと会食が大好きな僕が見つけたのが、お見合いおじさん活動:略称おみおじ。自分の周囲にいる独身男女に声をかけて引き合わせる活動です。

 僕は友人でもあるイラストレーターのつぼい氏と組んで、2014年の春からおみおじを楽しんでいます(今までの活動レポートはこちらこちら)。僕の人脈をオネット(大宮ネットワーク)、つぼいさんの人脈はツヴォイと称して、男女それぞれ4名の会員に良さそうな独身者を紹介しているのです。

 僕たちのおみおじによって結婚した人は今のところ1名のみ。でも、いまだ独身の会員からも感謝されていますよ。友人知人のお墨付きの独身異性と出会えることって、年齢を重ねるごとに少なくなっていくからです。おみおじで恋愛感度を向上させ、別の場所で見つけた相手と結ばれた「卒業生」は過去4名います。「私は婚活自体に向いていないことがわかった」と去って行った人も4名いますが、それもまた有意義な自己発見ですよね。

 結婚願望がある独身男女に優しくお節介する! 愛すべき隣人の婚活を結婚相談所やネットだけに任せておかない! 全国に広まってほしい「おみおじ」の実例をリポートします。

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 先月のことですけど、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』に出てくる御曹司の島谷くんが縁談を持ち込まれましたね。当事者である「若い2人」の意思などはほとんど考慮されません。両家が末永く繁栄するための婚姻なのです。ある意味では楽だな、と僕は思いました。知恵も経験もある親たちが結婚を決めてくれるのですから。

 現代の一般人はそうはいきません。結婚相談所やネットサービスによる「お見合い」は当たり前になりつつありますが、最終的に選んで決めるのはあくまで本人たち。100人の女性と会っても1人にしか気持ちが動かない男性がいたとして、同じぐらいの恋愛感度の女性とお見合いした場合、彼らがカップルになる確率は1万分の1という計算になるでしょうか。さらに結婚まで至る確率は……。お見合いおじさんの僕としては気が遠くなります。

 お見合いが無駄とは言いません。カップルにならなかったとしても、いろんな異性と対面することは自分を知って磨くことに役立つからです。でも、結婚にはつながりにくい気がしています。未熟な僕はときどき頭に来てしまうのです。「次に紹介する人とは最低でも2回はデートして、できれば交際してください! 手もつながないうちからダメ出しするのはおかしいですよ」とオネットメンバーの男女に説いたりしています。「また大宮さんが無理なこと言っている」と笑われて終わりですけどね。

スナック大宮(筆者主催の読者交流食事会)でカップル誕生!

 思わぬところから朗報が届きました。僕が毎月やっている読者交流食事会「スナック大宮」のお客さん同士がカップルになったというのです。女性のほうからわざわざご報告メールが届きました。この食事会はお見合いパーティーなどではありませんが、お客さんの7割ぐらいは独身の男女なので、恋が生まれてもおかしくはないですよね。僕が東京滞在中に愛用している門前仲町の喫茶店「東亜サプライ」に来てもらい、おいしいナポリタンスパゲティを一緒に食べながら話を聞くことにしましょう。

 メールをくれた美幸さん(36歳)は、スナック大宮に2度来てくれました。2度目の参加で、お相手の誠二さん(39歳)と出会ったそうです。

 大学卒業後はアメリカで5年も働いていた美幸さん。現地のアメリカ人とお付き合いしていた経験もある国際派で、現在は外資系企業で管理職に就いています。趣味のテニスで仲間はできるけれど、「好きだと気づいた頃には友人関係になってしまっている」という悩みを抱えていました。30歳を過ぎたあたりから焦りを感じ続けていたようです。

 男性に求めるものは1つだけ。テンポのいい会話のキャッチボールができること。これが意外と難しいんですけどね……。スナック大宮の男性客はいかがでしたか?

「最初に参加したときに会った男性のことはあまり覚えていません。むしろ女性同士でフランクに恋愛話ができて楽しかった記憶があります。大宮さんをはじめ、男性の意見や気持ちも率直に聞くことができました」

 30歳を過ぎると、同世代はどんどん結婚していくし、自分の社会的な立場も上がっていきます。「フランクに恋愛話」をする場所は少なくなりますよね。

 2度目にスナック大宮に参加した際、席替えをしてから隣に座ったのが誠二さんでした。そうでしたっけ? 僕は接客に必死でまったく覚えていません。正直に言えば、かなり恰幅がいい誠二さんはノーマークでした。いわゆる「いい人」で、男女関係に発展するような人ではないと思っていたのです。このあたりで僕のバカさが露呈していますね。

「婚活などのいろんなテーマで話をしていて、誠二さんが車の話に反応してくれたことを覚えています。私もこだわりがある車に乗っているので、わかってもらえてうれしかったです。この人とは連絡先を交換してもいいな、と思いました」

 スナック大宮の終了後、駅に向かって歩いていたときに誠二さんが美幸さんに追いつきLINEを交換したとのこと。その1週間後には飲みに行き、「ずっとしゃべり続けて楽しかった」と美幸さん。とにかく会話重視の女性なのです。さらに、美幸さんの愛車はカーマニアの誠二さんが「以前に買おうかどうか迷っていた車種」だと判明。交代で運転しながら神奈川県の峠までドライブをし、帰り際に誠二さんが告白してくれました。

「こんなに長い時間、一緒にいて居心地がいいんだから付き合おうよ」

 美幸さんはもちろんOK。会話だけでなく交際までのテンポもいいですね! 

36歳女性管理職。車の話をテンポよくできる男性を好きになりました

 実は男気のある人だった誠二さん。IT企業で新規事業開発の仕事をしています。いろんなことに興味がある男性なので適職でしょう。スナック大宮には1年半ほどから数か月おきに来てくれている常連さんです。美幸さんの第一印象を聞いてみました。

「仕事が忙しそうな人だな、と思いました。話してみたら、話題がどんどん変わっても大丈夫な頭がいい女性で、しかも車遊びに理解がある! 帰りがけにLINE交換ができてよかったです」

 忙しそうだという第一印象に関して。美幸さんはリラックスした表情で告白します。

「私はついキャリアウーマンを演じてしまう癖があります。肩肘を張って生きているんです。でも、誠二さんはカッコつけない私でも受け入れてくれます。久しぶりにホッとできる相手を見つけました」

 スナック大宮は昭和の香りが漂うお店でのゆるい食事会です。そこでも「キャリアウーマン」を演じていたなんてちょっと重症ですね。そんな美幸さんの本質を見抜いた誠二さんはすごいです。そして、車という少しマニアックな共通の趣味にも感謝ですね。

「車好きの人が集まる会もあります。でも、そこは男性が9割です。スナック大宮がなかったら、美幸さんとは間違いなく出会えていません。いろんな男女と幅広く出会えて、なおかつ大宮さんの記事という共通の話題があるスナック大宮に参加したおかげです」

 僕にまで感謝してくれる誠二さん。大人の余裕ですね。なんだかカッコよく見えてきました。

 様々な人が利害関係抜きで集まる場は、スナック大宮だけではもちろんありません。「共通の話題」があり、男女比が偏り過ぎず、ちょっとしたおしゃべりを楽しむ仲間を作れそうな場を探すことがポイントだと思います。気軽に出かけてみると、意外なところで良き出会いが待っているかもしれません。

(僕とつぼいさん以外の登場人物は仮名です)

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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